3冊目。子どもを食べられてしまった「しょうと」の鬼退治の物語。「しょうと」というのは、鳥のほおじろのことで、中国地方での呼び名だそうです。この絵本、いろいろ謎があります。最初に出てくる「おじぞうさん」はどうして鬼退治にいっしょに行かないのか? 赤鬼、青鬼、黒鬼の3匹が「しょうと」の子どもをのみこんでいるのに、どうして退治されるのは赤鬼だけなのか? うーん、何かありそうです。
それはともかく、川端健生さんの絵がよいです。おさえた色合いにかすれた筆致、キャンバス(?)の生地がそのまま生かされていて、昔話の雰囲気を出しています。
▼稲田和子 再話/川端健生 画『しょうとのおにたいじ』「こどものとも」1996年2月号(通巻479号)、福音館書店、1996年