この絵本では、地の紙の肌色と黒以外の色は、ごく一部にしか使われていません。そのため、たとえば「さる」と「びっき」が作るお餅の白や「さる」の顔やおしりの赤、季節の移り変わりを表す一筆の緑や茶が、印象深く鮮烈です。それがこの絵本の魅力の一つと思います。
▼武田正 再話/梶山俊夫 画『さるとびっき』「こどものとも(年中向き)」福音館書店、1982年
この絵本では、地の紙の肌色と黒以外の色は、ごく一部にしか使われていません。そのため、たとえば「さる」と「びっき」が作るお餅の白や「さる」の顔やおしりの赤、季節の移り変わりを表す一筆の緑や茶が、印象深く鮮烈です。それがこの絵本の魅力の一つと思います。
▼武田正 再話/梶山俊夫 画『さるとびっき』「こどものとも(年中向き)」福音館書店、1982年
今日は2冊。「ルネくん」と「フープはかせ」と「ゼンマイロボット5ごう」が「ロボットのくに」を救うという物語。この絵本はうちの子どもの大のお気に入りで、もう何十回も読んでいます。全体にわたってコマ割りがされ、またセリフはフキダシになっており、絵本というよりマンガといった方がよいかも。セリフが割と多いので、読み聞かせも大変。でも、ロボットや恐竜など、子どもの好きなものがいろいろ登場します。うちで持っているのは「こどものとも」ですが、1996年に「こどものとも傑作集」として単行本化されています。
▼たむら しげる『ロボットのくにSOS』「こどものとも」1991年1月号(通巻418号)、福音館書店、1991年
レーザー光線銃ビービーをおもちゃ屋さんで見つけた「ぼく」。でもお母さんは買ってくれません。そこで、バナナを光線銃に見たてて遊びます。イヌやタバコのおじさんを退治(?)していく様子がおかしいです。最後は「おにいちゃん」との対決。兄弟遊びの描写は、いとうさんの他の絵本にもたしかあって、うちの子どもに教えてもらいました。さすが、よく覚えている(^^;)。
▼いとう ひろし『レーザーこうせんじゅうビービー』童心社、1998年
2冊目はまたまた『かいぶつ ぞろぞろ』。この絵本では、ネーデルランドと日本、それぞれの古い地獄絵が載っていて比較できるようになっています。うちの子どもは、どちらかというとネーデルランドのものが恐いと言っていました。ヨーロッパの地獄絵は恐怖の描写が徹底しているかもしれません。日本のものは、もちろん恐いは恐いのですが、なんとなくユーモラスなところがあります。
▼辻村益朗 構成・文『かいぶつ ぞろぞろ』福音館書店、2004年
今日は3冊。やっぱり夏といえば幽霊。この絵本の幽霊は、井戸で冷やしていたスイカを食べたばかりに人間の言うことをきかなければならなくなります。せなさんの他のおばけ絵本と同じく、とてもユーモラスな描写。うちの子どもに一番うけていたのは、たくさんの蚊を退治する場面でした。幽霊がどうやって蚊をパチン、パチンとつぶしていくのか、これは見ものです。
▼くろだ かおる 作/せな けいこ 絵『ゆうれいとすいか』ひかりのくに、1997年
なんといったらいいのか、すべてが圧倒的に構築された絵本。何一つとしてゆるがせにしないで徹底的に作り込まれているように感じます。カラーとモノクロ(?)の組み合わせの妙、場面転換のリズム、独自な味わいの字体、幾何学化され抽象化された輪郭、画面に広がっていく不思議な文様、……実に美しい。私がえらそうに言えることではありませんが、まさに一級の芸術作品と思います。しかも、それだけではありません。なおかつユーモラスなところがまたすごい! この絵本、おすすめです。
▼瀬川康男『ぼうし』福音館書店、1987年
今日は2冊。双子(?)の幼い子ども、「むくむくちゃん」と「ぷくぷくちゃん」が、森のなかで「かあさんうさぎ」に連れられていくという物語。原書の刊行は1906年。すでに100年近くの時間がたっているわけですが、まったく古さを感じさせません。
絵のページはどれも、上5分の1がモノクロ、下5分の4がカラーで2つの絵に分かれています。上と下とで互いに結びつき立体的なメッセージを発しているかのようです。また、カラーで描かれた森のなかの様子は、ほとんどどのページも下3分の1に「むくむくちゃん」と「ぷくぷくちゃん」、ウサギたちが配置され、上3分の2は並んだ木々の幹と枝が描かれています。その統一的な美しさにはため息が出ます。
そしてこの描写のリズムが崩れるのが、「おとうさん」である「森の番人」が子どもたちを見つけ家に連れ帰る最後の2ページ。非常に象徴的です。この絵本、おすすめです。
▼ジビュレ・フォン・オルファース/秦 理絵子 訳『うさぎのくにへ』平凡社、2003年
恐いと言えば、この絵本の「おおぐいひょうたん」。半端じゃなく恐いです。なにせ「にくが くいたい、にくが……」「にくだ、にく、もっと にくが くいたい……」と言って、足の指にしゃぶりついてくるんですよ。ヒツジも牛もラクダも何十匹も食べてしまうのです。がぶりと食いついたら、ぜんぜん離れない……。いや、物語のラストではちゃんと退治されるのですが、でも恐い。さすがに今回はうちの子どもも「恐いねー」と言っていました(^^;)。あ、念のため付言すると、この絵本はとてもおもしろい絵本です。恐いは恐いけど、おすすめです。
▼吉沢葉子 再話/斎藤隆夫 絵『おおぐいひょうたん』「こどものとも」1999年1月号(通巻514号)、福音館書店、1999年
この絵本、表紙・裏表紙の見返しには、得体の知れない生き物の影がたくさん描き込まれています。物語のなかで一番不気味なのが「サンヨルチュウ」。真っ黒で足が何本もあり、虫のような生き物。何十匹もいて「いつも すなに つばを まぜて くろい まちを つくっています」。「パチャリントくん」たちが壊して壊しても、別の場所にどんどん黒いまちを作っていく様子が、なんとも気味が悪い。でも、それもまた、この絵本の魅力です。
▼長谷川摂子 さく/スズキコージ え『たいこたたきのパチャリントくん』「こどものとも」2000年3月号(通巻528号)、福音館書店、2000年
今日は3冊。この絵本はベラルーシ(Belarus)の昔話をもとにしています。ベラルーシってどこだろうと思い、調べてみました。外務省のウェブサイトのベラルーシ共和国のセクション。歴史や政治制度、経済などの基本的な情報が掲載されています。
▼内田莉莎子 訳/小野かおる 絵『くまのしっぽ』「こどものとも年中向き」1996年9月号(通巻126号)、福音館書店、1996年