なんといったらいいのか、すべてが圧倒的に構築された絵本。何一つとしてゆるがせにしないで徹底的に作り込まれているように感じます。カラーとモノクロ(?)の組み合わせの妙、場面転換のリズム、独自な味わいの字体、幾何学化され抽象化された輪郭、画面に広がっていく不思議な文様、……実に美しい。私がえらそうに言えることではありませんが、まさに一級の芸術作品と思います。しかも、それだけではありません。なおかつユーモラスなところがまたすごい! この絵本、おすすめです。
▼瀬川康男『ぼうし』福音館書店、1987年