「絵本に関するウェブサイト」カテゴリーアーカイブ

福音館子どもの本ブログがスタート

 少々、遅れた話題ですが、福音館書店のブログ、「福音館子どもの本ブログ」が3月2日から公開されています。福音館子どもの本ブログです。

 福音館書店のブログというと、「こどものとも」の全バックナンバーを1年間かけて紹介したこどものとも50周年記念ブログが知られています。そのなかの福音館書店から(第54回)、また「福音館子どもの本ブログ」についてに説明がありますが、今後は「福音館子どもの本ブログ」をメインにするようです。

「こどものとも50周年記念ブログ」のコンテンツもすべて、新しいブログに移転するとのこと。「50周年記念ブログ」のコンテンツは本当に貴重なものと思います。それが、場所は変わるものの、以前と変わらず誰でも閲覧できるのは、素晴らしいです。

 また、新ブログでは、「こどものとも傑作集」新規製版にちなみ、絵本の製版について精興社の技術担当の方の連載が掲載されています。こちらも非常に興味深い。これからも、ぜひ、絵本を支えている方々の記事を期待したいです。

 さらに、今後は「母の友」のブログもスタートとのこと。どんな内容になるのかな。こちらも期待大ですね。

 ところで、新ブログは、ニフティのココログ上で運営されています。「50周年記念ブログ」は福音館書店さんの自サイトで運営されていました。少々うがった見方かもしれませんが、これは、ブログ運営の負担を軽減するためかもしれません。

 「50周年記念ブログ」では、以前からスパム・トラックバックが集まっているようでした。このあたりにも、自サイトでの運営の難しさが表れている気がします。

 とはいえ、運営に難しさがあるからといって止めてしまうのではなく、よりよい環境でさらに充実した情報発信に取り組まれているのは、本当にすごいです。これは、福音館書店の担当の方の熱意の表れのように思いました。

「こどものとも50周年記念ブログ」が完結

 久しぶりのエントリーで、しかも少々遅れた話題です。福音館書店のこどものとも50周年記念ブログが先週、完結しました。最近は企業ブログがかなり注目されています。そんななかで、福音館書店のこのブログは、非常に先駆的ですぐれた取り組みじゃないかなと思います。

 私はあまりよい読者ではなかったのですが、まだ1年ほどは公開されているとのこと、ぜひ少しずつ読んでいきたいです。

 でも、思うのですが、せっかくのこの取り組み、1年と言わず、ずっと残してほしいです。記録としても本当に貴重です。「こどものとも」は単に福音館書店の月刊誌であるのみならず、日本の絵本の歴史のきわめて重要な部分を担ってきたと思います。その意味でも、今回のブログは、絵本に関心を持つ人たち、これから絵本に関心を持つであろう人たちのためにも、ぜひ残してほしいです。いわば公共物として誰もが閲覧できるような状態で残していただけたらと思います。

 現在のまま残すことに一つだけ問題があるとしたら、(これは勘違いかもしれませんが)コメントとトラックバックのスパムをどう管理するかでしょうか。いま現在も、トラックバックスパムが散見されます。これについては、一定期間の後に、新規のコメントとトラックバックを受け付けない設定にすればよいと思います。双方向性がなくなったとしても、「こどものとも50周年記念ブログ」の貴重さは失われないと思います。

こどものとも50周年記念ブログを企画・制作、Dcube Co., Ltd.(株式会社ディキューブ)

 ネットをさまよっていて偶然見つけたのですが、こどものとも50周年記念ブログの企画・制作は、Dcube Co., Ltd.(株式会社ディキューブ)という会社が担当されたそうです。ディキューブのブログ、Dcublogにプレスリリースも含めた記事、Dcublog: 福音館書店「こどものとも50周年記念ブログ」をリリースしましたが掲載されていました。

 会社・事業案内 Dcube Co., Ltd.を見てみると、ディキューブは書籍の印刷を中心とした萩原印刷の子会社で、出版社のサイト構築、ネット上での出版社の事業展開や販売促進のサポートが主要業務のようです。

 それで、こどものとも50周年記念ブログですが、上記のプレスリリースでは、今回のウェブログの記事管理の特徴についても説明されています。トップページに時系列で記事を並べるのではなく、カテゴリー別の最新記事1件を載せるというやり方です。これは、ウェブログの活用法としては、なかなか新鮮で、おもしろい試みと思います。

 福音館書店で担当されている販売促進部宣伝企画課の方のコメントも掲載されていました。少し引用します。

「こどものとも」バックナンバー全点の紹介を、1週間毎に少しずつ公開していくという今回の企画は、図鑑や百科事典を週刊誌として少しずつ刊行していくというかつて流行った出版形態を、ホームページでやってみたらどうなるか、という試みだったわけですが、ブログを利用することで、読者からの反応をビビッドに受けとめることができ、非常に刺激的です。

 週刊誌スタイルの出版形態をウェブサイトでやってみるとのこと、なるほどなあと納得しました。このやり方、他の出版社のサイトでもウェブログの導入を促すかもしれませんね。

 ただ、ちょっと気になるのは、このまま各カテゴリーの記事がどんどん増えていったとき、過去記事へのアクセスがきちんと確保されるかどうか。1年間限定、50回分なので大丈夫なのかもしれませんが、たとえば「こどものとも」バックナンバー 過去の話題のページだと、過去のバックナンバーの紹介がどんどんページ下部に下がっていきます。なんとなくですが、更新を重ねるごとにアクセスしずらくなるように思いました。

 それと、たとえば刊行年や絵本作家名をキーにして、該当するバックナンバーがリスト化されていると便利かなという気もします。もちろん、Movable Type の標準機能で記事検索が可能なので問題ないとも言えますが、とはいえ、何か一工夫あると、もっとよいような……。

こどものとも50周年記念ブログの鳥越信さんのエッセイ

 こどものとも50周年記念ブログ、今回は1957年度刊行の12冊の紹介です。なかでも注目は長新太さんの絵本デビュー作、がんばれ さるの さらんくん。画像は表紙しか見られませんが、当時の「こどものとも」のラインナップと比べると、かなり異色かも。写実的でもなければメルヘン調でもなく、省略と誇張が効いていて、独特のラディカルさを感じます。2006年1月に復刊予定とのことですが、今度、図書館に行ったとき「こどものとも傑作集」版がないかどうか探してみようと思います。ぜひ読んでみたいです。
 当時の「ことものとも」のなかで長さんの絵が個性的であることに関わると思うのですが、鳥越信さんのエッセイ、「こどものとも」創刊のころもたいへん興味深く読みました。
 またもやはじめて知ったのですが、鳥越さんは、岩波書店編集部で絵本シリーズ「岩波の子どもの本」や「岩波少年文庫」を担当され、また岩波書店退職後も、絵本と児童文学の世界でいろんな取り組みを続けてこられた方だそうです。
 それで、今回のエッセイで鳥越さんは、「こどものとも」が創刊されたときの印象を記されています。とてもおもしろいと思ったのは、「こどものとも」の一冊一作主義に感動すると同時にかなり失望された点。一つは絵が白い部分のないべったりと描かれたものであったことで、もう一つは名作の再話・翻案絵本が含まれていたことです。
 たしかに、サイトに掲載されている「こどものとも」の表紙画像を見直してみると、たいてい紙面全体に彩色されており、白い空間を生かしたものはあまり見あたりません。描き方や筆遣いの違いは当然でしょうが、白い空間の扱いもまた、その後の絵本との大きな違いと言えそうです。いまの絵本からすると、どことなく違和感があり、その理由の一つが、空間と色のつかみ方なのかなと思います。
 しかしまあ、サイトには表紙画像しか載っていないので、本文では違うものがあるかもしれませんね。鳥越さんも創刊号の「ビップとちょうちょう」について書かれているわけですし、いいかげんなことは言えません。
 ただ、当然のことではありますが、絵本の表現が、歴史的にいろんな試行錯誤をへて、広げられ深められてきたことは確かかと思います。その一つの表れが、鳥越さんが指摘されている、紙面の白い部分の扱いではないかなあと考えました。
 それはともかく、鳥越さんの今回のエッセイは割と辛口。「50周年おめでとう」とお祝いするのではなく、間違っていたと思われる点も率直に指摘する(しかも、ご自身が担当された「岩波の子どもの本」の誤りも同時にきちんと書く)。これはなかなかすごいことではないかと思います。そして、そのエッセイを掲載する福音館書店もすばらしいなと思いました。

こどものとも50周年記念ブログがスタート

 先月から楽しみにしていた、福音館書店の月刊物語絵本「こどものとも」の創刊50周年記念ウェブログがスタートしました。こどものとも50周年記念ブログです。

 ウェブログのよくあるパターンとは違って、トップページの記事リストは時系列ではなく、カテゴリー別になっているようです。もちろん、コメントもトラックバックもOKみたいです。

 初回は、1956年(昭和31年)の創刊号から1年分のバックナンバー12冊の紹介、1956年度の社会の出来事や世相を記した「そのころあったこと」、そして、エッセイは社会福祉法人井の頭保育園の創始者である福知トシさん。

 バックナンバー12冊を見てみると、 ぞうのたまごの たまごやきがあります。なんと長新太さんが絵を描かれたものよりかなり以前に、別の方の絵で刊行されていたんですね。長さんの絵とはだいぶ趣が違います。

 また、当時の「こどものとも」には、 マッチうりのしょうじょといった名作のダイジェストも入っていたんですね。はじめて知りました。

 エッセイでは、福知トシさんが、「こどものとも」創刊号『ビップとちょうちょう』が保育園に届いたときのことを記されています。私は福知さんのことをこれまで全く知らなかったのですが、エッセイからリンクされているプロフィール、がんばる人 第30回 福知 トシを読むと、戦後の保育園作りにたいへんな努力をされた方でした。このプロフィールの文章も実に印象深く、ぜひ一読をおすすめします。

 ところで、今回のウェブログは、公開が当初の告知よりだいぶ遅れましたが、どうも技術的な問題が若干あったようです。BLOG界の出来事:06/24-BLOG界の出来事経由で知った記事、O saisons, o chateaux…:ブログ、やっと納品に、そんなことが書かれていました。「某大手児童書版元のブログ」という表現になっていますが、児童書出版元で現在、ウェブログを構築・公開しているのは、たぶん福音館書店だけですよね。

 どんな環境でも適切に表示されるウェブページを作るのは、本当に大変なことと思います。ウェブログという新しい仕組みを導入するのであれば、なおさらかもしれません。

 私たち閲覧者は表に見える部分しか知らないわけですが、それを支える裏方の苦労と努力を少しかいま見た気がします。

日本絵本賞

 第9回日本絵本賞の各賞が決まったそうです。OKI*IKU Note さん経由で知りました。毎日新聞の記事です。

 検索してみたらウェブサイトもありました。賞の主旨説明のところを引用します。

(社)全国学校図書館協議会と毎日新聞社とによって、平成7年度より「絵本芸術の普及、絵本読書の振興、絵本出版の発展に寄与する」ことを目的に創設されました。賞には「日本絵本大賞」、「日本絵本賞」、「日本絵本賞翻訳絵本賞」のほか、今回皆様に投票をお願いする「日本絵本賞読者賞【山田養蜂場賞】」があります。

 このうち、日本絵本賞読者賞【山田養蜂場賞】は、「候補絵本選定委員会」が24冊の候補絵本を選び、そのなかから読者にハガキで投票してもらって、もっとも得票数が多かった絵本が受賞するとのこと。

 過去の受賞作品については、(社)全国学校図書館協議会のサイト学校図書館資料のセクション日本絵本賞受賞作品一覧で見ることができます。これはPDF文書になっています。

 また、この日本絵本賞以前に1978年から1992年まで実施されていた「絵本にっぽん賞」についても、同じく(社)全国学校図書館協議会の学校図書館資料のセクションのなかに、受賞作品一覧がPDF文書で提供されていました。

 ほかには、Yahoo!ブックスのウェブサイトのなかに、絵本・児童文学関係のいろんな賞の受賞作品リストがあります。こちらでは、書籍の画像もみれますし、イーエスブックスを通じて購入することもできるようです。

にしむらあつこさん関連のウェブサイト

 先日紹介した『ゆうびんやさんのホネホネさん』の作者、にしむらあつこさん関連のウェブサイトです。

 まず、P.1711たんじあきこさんのセクションにある、ゲスト・インタビュー

 P.1711 は、たんじあきこさん(イラストレーター)、丹地香さん(ニットデザイナー)、吉田晃さん(イラストレーター)の作品を展示したり、グッズを販売したりするウェブサイトとのこと。たんじさんのゲスト・インタビューの第2回に、にしむらさんが登場しています。

 実はにしむらさんはもともと服飾関係の仕事を志望されていたとのこと、絵本の道に進んだ経緯や、デビュー作『ゆうびんやさんのホネホネさん』の独特の輪郭線、好きな絵本、これからやりたい仕事などが、楽しい会話のなかで語られています。「ホネホネさん」の名前の由来も話されていました。

 続いて、絵本ハガキの店、パン・ポラリス活版所にしむらあつこさんのセクション

 このパン・ポラリス活版所さんでは、絵本作家さんの絵を使った絵ハガキを購入することができます。絵本からそのままとった絵以外にオリジナルの絵もあるそうです。絵本関連のイベントニュースやリンク集もとても充実していました。

 それで、にしむらさんのセクションでは、4種類のポストカードが掲載されています。ただ、残念ながら、そのうちの2種類は現在品切れ中とのこと。ほかには、著作リストやイベントの情報もありました。

 最後に番外編、ビワに関する健康情報や健康問題を扱う、ビワライフ・アンド・カンパニーのウェブサイト。サイト全体に、にしむらさんのイラストがたくさんあしらわれています。ニュースのセクションでも書かれていましたが、まるで、にしむらさんのウェブサイトのようです。

大阪府立国際児童文学館

 先日の出張のときにちょっとだけ時間があったので、大阪府立国際児童文学館に行ってきました。

 場所は大阪、北千里の万博公園のなか。はじめてだったので中央口から入ったら、自然文化公園の入園料を取られてしまいました。国際児童文学館それ自体は入館無料なのですが、中央口から行こうとすると入園料がかかってしまいます。万博公園の東口からだと、入園料を払う必要はなく、直接、国際児童文学館に行けるそうです。はじめて行く方はご注意を。

 それで、この国際児童文学館ですが、アジア最大の子どもの本の資料・情報・研究センターとのこと。国際的な規模で児童文学関係の資料を収集・保存し、整理・公開することが使命とされ、児童文学及び児童文学に関わる児童文化の調査・研究機関、その成果を利用者に提供する資料・情報センターというのが、この国際児童文学館の主旨だそうです。明治時代からの子どもの本をはじめ、海外の子どもの本も含めて67万点を所蔵しているとのこと。

 調査・研究機関とはいっても、1階には「子ども室」が設置してあり、そこには2万点の子どもの本や絵本が開架されています。これは貸出も可能とのこと。じっさいに訪れてみると、こぢんまりしてますが、なかなか居心地のよい空間でした。また、ちょうど、「ニッサン童話と絵本のグランプリ」入賞作品展がおこなわれていて、こちらも興味深かったです。

 2階には「閲覧室」があり、ここで申し込めば閉架の書籍も手にとって見ることができます。ほかにも、2002年10月から現在までに出版された新刊の読み物や絵本や一般書など、約5000点が開架されていて、これは圧巻の一言。市販されていないものや各種の資料・図録などもそろっており、非常に充実しています。これまで知らなかった絵本や絵本に関する本もたくさん発見しました。ここは本当におすすめ。

 ただ、この「閲覧室」は、幼児や小中学生など子ども連れでは入れません。調査研究、資料提供の主旨からすると当然とも言えますが、ちょっと残念かな。

 検索してみると、ウェブサイトもありました。こちらも、きわめて充実しています。資料検索や施設案内はもちろんのこと、さまざまなイベントや展示の案内やレポート、専門的な研究紀要や報告書や出版物の案内、専門員や客員研究員の紹介、児童文学関連の新聞記事の紹介、関連学会や講演会のお知らせ、リンク集、などなど、たいへんな情報量です。

 主催のイベントや講演会も、とてもおもしろそうです。おはなしボランティアのスキルアップ講座やワークショップ、幼児から小中学生に向けてのプログラム、作家や児童文学者の方の講演会や人形劇や物語ライブ、おはなし会や物語体験クラブなど、私が大阪在住ならぜひ参加したいものが盛りだくさん。その他、ニッサン童話と絵本のグランプリ、国際グリム賞も主催しているそうです。

 このサイトでは、2003年に発行された「親と子が楽しむはじめての絵本」というリーフレットの中身も見ることができました。こちらも参考になります。

 ともあれ、施設もウェブサイトもたいへん充実していて、絵本や児童文学に関心のある方にはおすすめです。

いとうひろしさん関連のウェブサイト

 先日紹介した『どろんこ どろちゃん』の作者、いとうひろしさん関連のウェブサイトです。

 まず、絵本の出版社、絵本館作家紹介

 絵本館で絵本を出されている作家さんが紹介されており、そのなかに、いとうさんご自身のエッセーが掲載されています。原っぱで手にしたバッタの足から絵本が語られていて、おもしろいです。

絵本も同じです。自分の心をひらくきっかけにすぎません。絵本にかいてあることなんてどうでもいいんです。その先が絵本の楽しみ、おもしろさだと思います。

 絵本をきっかけにして心が開かれる、これは子どもだけではなく大人にも当てはまるかもしれませんね。

 続いて、同じく絵本館が書店向けに不定期に発行している絵本館通信「絵本はごちそう」Vol.4(2000.秋号)のなかの「きいてきいてコラム●いとうひろし」。これは、毎回、絵本作家の方にいろいろ質問して答えていただくコーナーのようです。

 いとうさんには、好きな季節、子どものときに大好きだった遊び、好きな食べ物、好きな作家や画家など、10この質問が出されています。好きな絵本も挙げられているので、そのうち読んでみようかなと思いました。桜を背景にしたいとうさんの写真も付いていました。

 とくにおもしろかった回答を2つ引用します。

3.歳をとったら、どんなおじいさんになりたいですか?
 すっごくいじ悪でヘンクツで回りの大人からはきらわれるのに、一部の子どもには、妙に好かれる変なおじいさん。
6.最近、思わずふきだしてしまった出来事は?
  5歳の息子とおふろに入っていました。彼はせっけんのついたスポンジで体をあらっています。「もっとごしごしとおしりもちゃんと洗って」と私。すると彼。「あっ! おしりの穴にせっけんのあわが入っちゃった。でも、いいか。これで、うんちもきれいになるしね」

 この絵本館通信「絵本はごちそう」は、他にもおもしろい記事がいっぱいあって、おすすめです。

 最後に、三井グループの三井広報委員会が発行している『三井グラフ』Volume130 JANUARY-MARCH 2003。特集が「絵本の楽しみ」で、そのなかの記事「この絵本が好き! 絵本のプロが自分のために選んだ5冊」にいとうさんも寄稿されています。

 いとうさんが選んだ5冊は次のとおり。これらも、そのうち読んでみようかなと思いました。

  • 『きょうりゅうきょうりゅう』バイロン・バートン
  • 『ピッツァぼうや』ウィリアム・スタイグ
  • 『ベントリー・ビーバーのものがたり』マージョリー・W・シャーマット/リリアン・ホーバン
  • 『ゼラルダと人喰い鬼』トミー・ウンゲラー
  • 『アルド・わたしだけのひみつのともだち』ジョン・バーニンガム

 この『三井グラフ』Volume130 は、いとうさんの他に、内田麟太郎さん、西村繁男さん、長野ヒデ子さん、石津ちひろさんといった作家の方や、子どもの本専門店メルヘンハウスの三輪 哲さん、たんぽぽ館の小松崎辰子さんが、5冊の絵本を選んでエッセーを寄稿されています。他には、赤木かん子さんのエッセーとおすすめ絵本の紹介、読み聞かせについての記事もあり、なかなか充実しています。こちらもおすすめです。

飯野和好さん関連のウェブサイト

 チャンバラ時代劇絵本で有名な飯野和好さん関連のウェブサイト。検索してみたら、以前ふれた飯野和好痛快活劇ビデオのサイトのほかにも、いろいろと関連サイトがありました。

 まず、月刊誌『こどもの本』2001年5月号から1年間掲載されていた、飯野さんのエッセー「あぜみち話」。この雑誌は日本児童図書出版協会から刊行されているのですが、連載の第一回最終回がウェブ上で読むことができます。

 第一回のエッセーによると、『ハのハの小天狗』は飯野さんが絵本の世界に本格的に入ることになったきっかけの絵本とのこと。また、「ハのハの」の名前の由来も書かれていました。

 最終回では、江戸時代の渡世人の格好(股旅姿!)をして日本全国で読み語りをしていることにもふれられています。

 この連載、タイトルは飯野さんの手書き、たぶん子どものときの飯野さんを描いたイラストもあり、なかなかおもしろいです。機会があったら『こどもの本』のバックナンバーで他の回のエッセーも読んでみたいと思いました。

 続いて、『愛媛新聞』愛媛CATVで放送している「愛媛新聞きゃっちMAT.」「特集 絵本作家・飯野和好ワールド(上)」。これは2001年12月10日に放送されたもので、動画とテキストの両方が掲載されています。

 動画の方では、飯野さんが松山市内での読み語り会で股旅姿で『ねぎぼうずのあさたろう その1』の読み語りをしているときの様子が見られます。いやー、本当に浪曲の読み語り。非常にしぶくて、また楽しそうです。

 インタビューでは、浪曲風絵本が誕生したときの経緯や渡世人の格好で読み語りをすることの楽しさ、チャンバラ時代劇絵本の魅力などを語られています。とくに絵本の魅力について話されているところは必見です。

 この「特集 絵本作家・飯野和好ワールド」の(下)は見つかりませんでした。残念。

 最後に、「絵本の世界を通してココロの冒険旅行をおすすめする架空の会社」絵本旅行社「ご報告まで。(原画展・絵本講座レポート)」にある「飯野和好 絵本原画展」のレポート。この原画展は2002年の7月から8月に宮城県の仙台文学館で開催され、『ねぎぼうずのあさたろう』をはじめとして5作品の原画とアイディアメモが展示されたそうです。原画にそえられた飯野和好さん自筆のメッセージも「絵本旅行社」のゆきなさんがメモされていて、読むことができます。『ハのハの小天狗』の試作本も展示されていて、じっさいに公刊されたものとは構図が違うとのこと。他の絵本も、原画と印刷されたものでは色調がかなり違うそうで、興味深いです。