「絵本に出合う」カテゴリーアーカイブ

「丸の内ブックカフェ」

 クリップしている東京新聞の記事、飲食しながら絵本が読める「丸の内ブックカフェ」。この取り組み、朝日新聞でもasahi.com: 「絵本の面白さ知って」丸の内ブックカフェ開催中-文化・芸能の記事で取り上げられていました。

 東京、丸の内周辺のカフェ22店が4月16日から5月1日まで、飲食しながら絵本が読める「丸の内ブックカフェ」になるそうです。4月23日の「子ども読書の日」にちなんで、文化庁と大手町・丸の内・有楽町再開発計画推進協議会が共催、朝日新聞社が協力しているとのこと。

 発案者は文化庁長官の河合隼雄さん。「カフェでお父さんたちが読んだらおもろいやないか」ということで始まったのだそうです。カフェに置かれる絵本は計12冊。河合さんや谷川俊太郎さん、斉藤由貴さん、阿川佐和子さんらがセレクト。手にとって自由に読むことができます。お父さん向けの絵本ガイドも用意され、5月1日までは近くの丸善や冨山房書店などの3つの店舗ですぐに購入できるそうです。いや、これは、すごいですね。

 こういう試みを見ると、やっぱり絵本は本当に流行っているんだなあとあらためて実感しますね。従来、絵本がなかった空間にどんどん絵本が入ってきている、そんな印象を受けます。

 その結果として、河合さんが言われているように、日頃あまり絵本に接する機会のないお父さんやサラリーマンの方々が絵本に目を開かれるのなら、それはとても有意義と思います。これをきっかけに、自宅でもお父さんが絵本の読み聞かせを始めるようになるかもしれませんね。

 ただ、一つ気になるのは、こういう取り組みが主に大人に向けてなされていること。上記の河合さんの言にもありますが、絵本をカフェに置いて誰に読んでもらいたいのかといえば、あくまで大人。これで本当によいのかなと少し疑問もわいてきます。

 たとえば、今回の試みに参加したカフェに親子連れが気楽に入っていけるのかどうか。そのカフェで小さな子どもたちが絵本に楽しく接したり、あるいはお父さんやお母さんと一緒に絵本を読めるのかどうか……。もしそうではないなら、いったい、このカフェに置かれている絵本とは何なのだろう? 何かズレているような……。

 まあ、ちょっと考えすぎかもしれません。でも、カフェという空間は、なかなか小さな子ども連れでは入りにくいことが多いんですね。だから、せっかくカフェに絵本を置くなら、そこが同時に子どもたちも楽しく過ごせる場であってほしいと思います。もしかすると、「丸の内ブックカフェ」でも、そういう工夫をしているところがあるのかもしれませんが……。

 あと、今回の試み、共催している文化庁大手町・丸の内・有楽町地区 再開発計画推進協議会のウェブサイトには、とくに情報が見あたりませんでした。私の検索の仕方が悪いのかもしれませんが、参加しているカフェの所在地や連絡先、そこに置かれている絵本の一覧、また誰がどんな絵本をセレクトしたのか、といったことくらいは知りたいところです。まあ、まだ始まったばかりなので、そのうち情報が掲載されるかもしれません。

【追記(2005年5月4日)】

 上記で関係サイトに情報が掲載されていないと書きましたが、どうやら、私の勘違いのようです。この間に情報掲載ページを見つけました。大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会と文部科学省が推進している「丸の内元気文化プロジェクト」のサイト、Marunouchi.comのイベント開催実績一覧のページ、Marunouchi.comです。今回の実施店舗とおすすめ絵本の取り扱い書店のリストが載っていました。

 「丸の内ブックカフェ」は5月1日までなので、もう終了していますが、店舗と書店のリストを引用しておこうと思います。

<丸の内ブックカフェ実施店舗>

  • エクセルシオールカフェ(丸の内トラストタワー店、丸の内ビル店)
  • スターバックスコーヒー(KDDI大手町ビル店、新大手町ビル店、丸の内三菱信託銀行ビル店、JR東京駅日本橋口店、丸の内ビル店、丸の内三菱ビル店、丸の内新東京ビル店)
  • タリーズコーヒー(大手町日本ビル店、丸の内古河ビル店、パシフィックセンチュリープレイス丸の内店)
  • チェーロ(東銀ビル)
  • 三菱電機 DCROSS(三菱電機ビル)
  • フラッグスカフェ(三菱電機ビル)
  • ガストロパブ クーパーズ(三菱ビル)
  • 相田みつを美術館内(東京国際フォーラム)
  • Marunouchi Cafe(新東京ビル)

<お薦めの絵本の取扱書店>

  • 冨山房書店(丸の内MY PLAZA)
  • 丸善(丸の内オアゾ丸の内本店、丸ビル店)

 もしかすると、継続して絵本を置いているカフェもあるかもしれませんね。期間中の反響やその後についても知りたいところです。

「パパとあそぼう」:お父さんの育児講座

 クリップしている朝日新聞の記事、子育て支援センターで講座 asahi.com : マイタウン熊本 – 朝日新聞地域情報。熊本市の総合子育て支援センターが、毎月第二土曜日に、父親向けの育児講座「パパとあそぼう」を開いているそうです。内容は、おもちゃ作りなどで、絵本の読み聞かせ指導もあります。

 なかなか楽しそうなのですが、参加者がとても少なく、平均2、3人にとどまるとのこと。記事で取り上げられていた4月9日はたったの1人(1組)だけです。

 まあ、土曜日とはいっても仕事が忙しく、時間がとれないお父さんが多いかもしれませんね。

 あるいは、講座の存在がまだあまり知られていないのかも。検索してみると、熊本市子育て支援ホームページがありました。ざっと見たかぎりでは、4・5月の予定表には記載されていましたが、専用ページは見つかりませんでした。せっかくなので、もう少し情報を掲載した方がよいように思います。

 また、講座の内容を少し工夫すると、参加者が増えるかもしれませんね。どちらかといえば、屋内での遊びではなく、外遊びを中心にプログラムを組むと参加しやすいかもと思いました。

 あと、それなりに意識はあっても、講座にまで出かけるのはちょっと、と抵抗を感じているお父さんが多いんじゃないかな。何となく恥ずかしいとか、あるいは、講座でわざわざ「教えて」もらわなくても大丈夫!といった意識もあるでしょう。

 でも、たとえば私のばあい、絵本はともかく、それ以外の遊びについては、正直言って、あまり自信ないです。自分の父親の世代と比べるなら、遊びのノウハウが足りないなあと感じています。だから、こういう講座はとても貴重。潜在的ニーズはかなりあると思うのですが、どうでしょう。

 それに、記事のなかで紹介されている、参加したお父さんの次の言葉も大事ですね。

参加の動機は、子供を預かることで奥さんの息抜きになればと思ったからという。

 お母さんにとって、自分の時間がほしいというのは本当に切実と思います。私なんか、ぜんぜん妻の負担を軽減できていなくてダメなんですが、お父さんがこういう講座に参加して少しでも子育てに参加すると、だいぶ違ってくると思います。

 しかしまあ、よそのことをとやかく言う前に、自分こそ、しっかりしないとね。

お父さんのための書店の絵本コーナー

 クリップしている記事、パパ絵本読んで! 書店に特設売り場 職場へ配達 : 出版トピック : 本よみうり堂 : Yomiuri On-Line (読売新聞)。お父さんと絵本を結びつける取り組み、かなり広がっているようです。リードを引用します。

父親が子どもと絵本を読む機会を増やしてもらおうと、書店や父親グループが様々な取り組みを行っている。

 本文で取り上げられているのは、ご存じ、絵本ナビ パパ’s絵本プロジェクト。そして、全国に約150店舗ある未来屋書店での取り組みです。

 未来屋書店では、先日出版された「パパ’s絵本プロジェクト」の『絵本であそぼ!』(小学館)で紹介されている絵本、70~80冊をセレクト。書店の中央の目立つ場所に、父親向けの絵本コーナーを設置したそうです。掲載されている写真を見ると、表紙を前に出して絵本がずらっと並べられています。これは、すごい! 店舗の担当者の方のお話も載っていましたが、「このコーナーを設けたことで、会社帰りにスーツ姿で絵本を買っていく男性も増えた」とのこと。

 「パパ’s絵本プロジェクト」関連だと、メンバーで絵本ナビ事務局の金柿秀幸さんが編集された『幸せの絵本』についても、リブロ池袋本店や東京・浜松町のブックストア談でフェアが開催されている(された)そうです。金柿さんのウェブログ、Making of 『幸せの絵本』に記事が書かれていました。

 お父さんと絵本を結びつける取り組み、個々の書店に徐々に浸透していることが分かります。お父さんにとって、絵本がどんどん身近になっていることの表れとも言えそうです。

 また、こういう取り組みは、書店にとって、たぶんメリットがあるんじゃないかなと思いました。少々うがった見方かもしれませんが、話題になりますし、なにより新しい購買者を発掘できますよね。

 上記の記事では、お父さんの職場に定期的に絵本を届ける、絵本ナビのサービス、絵本ナビ 絵本クラブも紹介されていました。現在、60人ほどが利用しているそうです。

 子どもと一緒に絵本を読むことの楽しさ・おもしろさ、これは一度知ってしまうと、もう病みつきです(^^;)。そのうち、お父さんが子どもと一緒に絵本を読むことは、別に特別なことではなく、当たり前のことになるんじゃないかな。

TULLY’S COFFEE(タリーズコーヒー)の「タリーズ・ピクチャーブックアワード」

 先日、タリーズコーヒーに偶然たちよったときのこと。カウンターの前に見慣れない絵本が数冊、並んでいるのです。なんだろうと思い、店員さんに聞いてみたところ、「タリーズ・ピクチャーブックアワード 2004」の受賞作とのこと。説明の載っている「TULLY’S TIMES」をもらって帰りました。

 それによると、このプロジェクトは、タリーズコーヒーの経営理念の一つである「子どもたち青少年の育成を促すために、地域社会に貢献する」に基づいてはじまったそうです。「絵本を通じて若手アーティストを発掘・育成し、またその絵本を読む子どもたちへ夢や希望を与えたい」というのがプロジェクトの主旨で、2003年が第一回、2004年は二回目の開催。

 TULLY’S COFFEE のサイトを検索してみると、次のページが見つかりました。

 上記のページによると、応募資格は「プロアマ・国籍・職業については不問。年齢35歳未満」。つまり、若手の発掘ということです。このアワードから、将来の絵本作家が生まれるかもしれませんね。

 あと、審査・選考は、タリーズコーヒーの来客者約300人と保育園の園児約100人によっておこなわれたそうです。絵本の専門家による審査ではなく、一般の方や子どもたちが審査するというのは、なかなかおもしろいですね。この手の公募としては珍しいかもしれません。

 受賞作はタリーズコーヒーの店舗で販売されるほか、上記のオンラインショップでも購入できるようです。ただ、2004年の入賞5作品は、現在すべて品切れ入荷待ちの状態。かなりの人気です。上記のオンラインショップでは「作者から子どもたちへのメッセージ」も読むことができます。

 絵本の売り上げの一部は、NGO 子どもたちのための国際援助団体:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに寄付するそうです。サイトをのぞいてみると、タリーズコーヒーも協賛企業の一つに挙がっていました。

 また、「TULLY’S TIMES」に載っていたのですが、タリーズコーヒーでは、絵本やおもちゃなどを用意したキッズコーナーを設置した店舗があるそうです。首都圏を中心に2005年3月現在で12店舗とのこと。アワードの受賞作品はこのキッズコーナーにも並べられるそうです。

 以上の取り組み、企業のいわゆる社会貢献活動の一つと言えます。絵本に焦点を当てたメセナは割と珍しい気がしますが、どうなんでしょう。そのうち時間があったら調べてみたいです。

 なんとなく思ったのですが、こういったメセナが行われるようになったのも、近年の絵本ブームが一つの契機になっているのかな。絵本作家を目指す人たちがそれなりに厚みのある層をなしており、また絵本を受容する側もより関心が高まり、しかも幅が広がっていること。絵本をめぐるこうした社会状況の変化を背景にして、一般企業がメセナの対象に絵本を加えるようになったのかもと考えました。

 でもまあ、もう少し調べてみないと分かりませんね。いいかげんなことは言えません(^^;)。

 それはともかく、2004年の受賞作のラインナップでは、最優秀作品賞を受賞した池内梢さんの『プンクトとことりたち』のほか、西村博子さんの『ここだよ!』と見杉宗則さんの『どうぶつむらのうんどうかい』がおもしろそう。次の機会があったら、タリーズコーヒーで読んでみたいです。

稲垣吾郎さんによる絵本の朗読:フジテレビ「忘文」

 ネットをさまよっていて偶然、知ったのが、フジテレビの番組「忘文」(わすれぶみ)。日曜は 早起きがオトク : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)という記事に紹介が載っていました。日曜日の早朝、午前5時45分から放映されている15分番組。ウェブサイトは忘文です。

 SMAPの稲垣吾郎さんが一般公募した手紙と絵本を1冊、朗読するという内容。「忘文」という名前は、中国の故事「忘草(わすれぐさ)」に由来し、「それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文」ということだそうです。手紙は、家族や友人に宛てたもので、その相手を前にして稲垣さんが読むとのこと。

 そして絵本。サイトには、2003年10月にスタートしたときからのバックナンバーが掲載されているのですが、当初は文学作品などのいわゆる「名文」を朗読していたようです。で、それが絵本に変わるのは、総集編をはさんで2004年の10月辺りから。そのラインナップをみると、佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』、ガース・ウイリアムズさんの『しろいうさぎとくろいうさぎ』、トミー・アンゲラーさんの『すてきな三にんぐみ』、レオ=レオニさんの『スイミー』といった名作が多いようです。でも、最新の3月13日は島田ゆかさんの『かばんうりのガラゴ』。

 どんなふうに読んでいるのかなあ。一度見てみたいです。稲垣さんの声は、割と落ち着いていると思うので、けっこう絵本の朗読に合うかもしれませんね。

 あと、撮影は公園など野外でおこなわれているそうです。緑のなかで日差しを浴びながら絵本を朗読する……。うーん、なんか、いいですねー。15分という短い番組ですが、日曜の朝にぴったり。

 あ、そうだ! うちの子どもに絵本を読むときも、たまに外で読むとよいかも。図書館や家のなかで読むのとは違い、もっと開放的で気持ちいいような気がします。

 もう少し暖かくなったら、一度、試してみたいですね。でもまあ、少し恥ずかしいかな(^^;)。