やぎゅう げんいちろう『あしのうらのはなし』

 今回うちの子どもの興味を引いていたのは、ゴリラの足と手、そして人間の足と手を比較したところ。ゴリラやオランウータンは、足のうらと手のひらがよく似ていて、足の親指も手の親指と同じく横に付いているのだそうです。足でモノをつかんだり木の枝をつかんだり自由にできるわけです。便利で楽しそうです。

▼やぎゅう げんいちろう『あしのうらのはなし』福音館書店、1982年

まど・みちお/スズキコージ『おならはえらい』

 今日は3冊。この絵本ではまどさんの詩が4つ収録されています。うちの子どもに一番うけていて、また私にとっても印象深いのは、やはり、タイトルにもなっている「おならはえらい」。引用します。

おならは えらい
でてきた とき
きちんと
あいさつ する
こんにちは でもあり
さようなら でもある
あいさつを…
せかいじゅうの
どこの だれにでも
わかる ことばで…
えらい
まったく えらい

 付けられているスズキさんの絵も、おおらかでインターナショナルです。

▼まど・みちお 詩/スズキコージ 絵『おならはえらい』童心社、1990年

ジョルジュ・キャストラ/ロドニィ・サン・エロワ/ルイジアーヌ・サン・フルラン/加古里子『ミラクルバナナ』

 ハイチのおばあちゃんが子どもたちに出すなぞなぞを通じて、バナナのすばらしさを描いた絵本。驚いたのは、この絵本はすべてバナナの紙で出来ていること。ハイチではバナナの木から紙を作る「バナナ・ペーパー・プロジェクト」が進められているそうです。巻末に詳しい説明がありました。バナナの茎から繊維を取り出している様子の写真も載っています。名古屋市立大学教授の森島紘史さんがプロジェクトのリーダーで、ウェブサイトもありました。活発な活動について、豊富な情報が提供されています。この絵本で使われている紙は、バナナの風合いを生かすため手すき風に製紙したそうですが、なかなか味わいがあります。

▼ジョルジュ・キャストラ/ロドニィ・サン・エロワ 作/ルイジアーヌ・サン・フルラン 絵/加古里子 文『ミラクルバナナ』学研、2001年

パット・ハッチンス『せかい一わるいかいじゅう』

 生まれたばかりの赤ちゃんかいじゅう「ビリー」とお姉さんの「ヘイゼル」。みんなが「ビリー」をかまうので、「ヘイゼル」はおもしろくありません。おかしいのは、どちらが「せかい一わるいかいじゅう」かを競ってるところ。「かいじゅう」にとっては、「かわいい」とか「えらい」ではなく、「わるい」が大事なんですね。価値の逆転がおもしろいです。

▼パット・ハッチンス/乾 侑美子 訳『せかい一わるいかいじゅう』偕成社、1990年

エリック・カール『ごちゃまぜカメレオン』

 今日は3冊。この絵本のおもしろいのは、まるで子どもがクレヨンでぬったように彩色されているところ。画面にさわると指に色がつきそうなくらい鮮やかです。カバーの説明によると、エリック・カールさんが子どもたちといっしょに動物の絵本を作ったときの体験がこの絵本のもとになっているそうです。動物の部分と部分をつなぎ合わせてごちゃまぜになればなるほど、子どもたちは大喜びしたとのこと。それがまたクレヨンのような彩色の理由なんだろうなと思います。

▼エリック・カール/八木田宜子『ごちゃまぜカメレオン』ほるぷ出版、1978年

長新太『くまさんの おなか』

 「ぬいぐるみのくまさん」のおなかに動物たちがどんどん入っていく物語。魚、カエル、ネコ、イヌ、ブタ、はてはゴリラ、そして最後は太陽まで「くまさん」のおなかのなかに入ろうとします。 なんとなく、エウゲーニー・M・ラチョフさんの『てぶくろ』を思い出しました。

 でも、こちらは手袋ならぬ、まぶしいピンクのぬいぐるみ。しかも、動物たちがそのおなかに入っていく様子がそのまま描かれています。ありえないかのように思えることが有無を言わさず描写されていて、その迫力には、クラクラきます。ゴリラが「くまさん」のおなかに半身をうずめている画面のすごさ! よく考えるとけっこう恐い話だと思うのですが、でもユーモラスな描写で、なんだか不思議な感覚になります。

 うちの子どもは、「くまさんは重くてたいへんだね」なんて言っていました(^^;)。この絵本、おすすめです。

▼長新太『くまさんの おなか』学研、1999年

佐藤さとる/田中清代『いってかえって星から星へ』

 この絵本では、ページのつくりに仕掛けがあります。ふつうに読んでいってラストページに来たら、くるっと逆さまにし、今度は逆に最初のページへと読み進んでいきます。つまり、同じ絵に2つの異なる文が付いており、全体として宇宙人(ミツバチ星人?)が地球にやって来てそしてまた宇宙に帰っていく様子が描かれているわけです。なかなかユニーク。宇宙から地球へ、地球から宇宙へという移動が、絵本の回転とページのめくりに定着していて、おもしろいです。

 佐藤さとるさんと田中清代さんのあとがきも興味深い内容でした。この絵本、おすすめです。

▼佐藤さとる 文/田中清代 絵『いってかえって星から星へ』ビリケン出版、2000年

やぎゅう げんいちろう『あしのうらのはなし』

 ラストは『あしのうらのはなし』。今日はつちふまずの説明のところで自分の足の裏を確かめたりしました。やぎゅうさんの描く人物は、みんな鼻の穴がりっぱだなあと、変なところに感心しました。

▼やぎゅう げんいちろう『あしのうらのはなし』福音館書店、1982年

くろだ かおる/せな けいこ『ゆうれいとすいか』

 またまた『ゆうれいとすいか』。この絵本の幽霊はぜんぜん怖がられていなくて、それがまたおかしいです。

やい やい、なに しやがる。ひとさまの すいかを
たべやがって! ゆうれいとして はずかしくないのか!
おう、べんしょうしてもらおう!

なんて言われて、しくしく、泣いています。

▼くろだ かおる 作/せな けいこ 絵『ゆうれいとすいか』ひかりのくに、1997年

白川三雄『みんなではしろう』

 今日は4冊。この絵本は、三輪車や自転車、ローラースケートやキックボードなど、いろんな乗り物にのったみんな(人間も動物も!)が公園に集まりいっしょに走るというストーリー。公園に集まるまでの描写がおもしろいです。画面の中央、奥に向かって道が続き、そこをみんなが順々に追いかけるようにして奥へ走っていきます。画面の視点は固定されていて、みんなが横を追い抜いていくような感覚になります。

▼白川三雄『みんなではしろう』「こどものとも年少版」2002年6月号(通巻303号)、福音館書店、2002年