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武田正/梶山俊夫『さるとびっき』

 この絵本では、地の紙の肌色と黒以外の色は、ごく一部にしか使われていません。そのため、たとえば「さる」と「びっき」が作るお餅の白や「さる」の顔やおしりの赤、季節の移り変わりを表す一筆の緑や茶が、印象深く鮮烈です。それがこの絵本の魅力の一つと思います。

▼武田正 再話/梶山俊夫 画『さるとびっき』「こどものとも(年中向き)」福音館書店、1982年

武田正/梶山俊夫『さるとびっき』

 山形の昔話をもとにした絵本。原話の語り手もおられて、山形県小国在住の川崎さんという方だそうです。最初は1982年に刊行され、その後、「こどものとも(年中向き)」1993年10月号で第2刷が発行されました。うちで持っているのはこの第2刷。「さる」とカエルの「びっき」が田んぼを作るというストーリーで、なぜサルのほっぺたとおしりが赤いのか、その由来がおもしろく語られています。

 物語はもちろん、梶山さんの絵がまたすばらしい。シンプルな線がユーモラスに「さる」と「びっき」を描き出し、肌色の地の紙面に限定された色使いで季節の移り変わりが表現されています。この絵本、おすすめです。

▼武田正 再話/梶山俊夫 画『さるとびっき』「こどものとも(年中向き)」福音館書店、1982年