この絵本、表紙・裏表紙の見返しには、得体の知れない生き物の影がたくさん描き込まれています。物語のなかで一番不気味なのが「サンヨルチュウ」。真っ黒で足が何本もあり、虫のような生き物。何十匹もいて「いつも すなに つばを まぜて くろい まちを つくっています」。「パチャリントくん」たちが壊して壊しても、別の場所にどんどん黒いまちを作っていく様子が、なんとも気味が悪い。でも、それもまた、この絵本の魅力です。
▼長谷川摂子 さく/スズキコージ え『たいこたたきのパチャリントくん』「こどものとも」2000年3月号(通巻528号)、福音館書店、2000年