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稲田和子/川端健生『しょうとのおにたいじ』

 この絵本、2年ほど前にも簡単な紹介のエントリーを書いています。稲田和子/川端健生『しょうとのおにたいじ』です。

 そのときは、いろいろ謎があるなあと思っていたのですが、最近、やっと分かりました。うちの子どもと一緒に読んでいて、ハッと気が付いたのですが、鬼が「3匹」というのは、そういうわけだったんですね。地の文には何も語られていませんが、絵のなかにさりげなく描き込まれています。

 もう一つ、この絵本の裏表紙もまた、物語の結末を表現していることに気付きました。本文は、鬼退治の少しだけ残酷な描写で終わっているのですが、裏表紙には、その後の「しょうと」の姿が描かれていると思います。「しょうと」がどこにいるかがポイントかなと思いました。

 上記の両方とも、文には表されることなく、絵のみによって表現されています。川端さんの絵の描写は、なかなかすごいです。

 というか、このくらい最初に読んだとき気付よ、自分、って感じですね(^^;)。

▼稲田和子 再話/川端健生 画『しょうとのおにたいじ』「こどものとも」1996年2月号(通巻479号)、福音館書店、1996年、[印刷・製本:精興社]

稲田和子/川端健生『しょうとのおにたいじ』

 3冊目。子どもを食べられてしまった「しょうと」の鬼退治の物語。「しょうと」というのは、鳥のほおじろのことで、中国地方での呼び名だそうです。この絵本、いろいろ謎があります。最初に出てくる「おじぞうさん」はどうして鬼退治にいっしょに行かないのか? 赤鬼、青鬼、黒鬼の3匹が「しょうと」の子どもをのみこんでいるのに、どうして退治されるのは赤鬼だけなのか? うーん、何かありそうです。

 それはともかく、川端健生さんの絵がよいです。おさえた色合いにかすれた筆致、キャンバス(?)の生地がそのまま生かされていて、昔話の雰囲気を出しています。

▼稲田和子 再話/川端健生 画『しょうとのおにたいじ』「こどものとも」1996年2月号(通巻479号)、福音館書店、1996年