佐々木マキ『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』

 「ムッシュ・ムニエル」は魔術師のヤギ。子どもを一人さらって弟子にしようとするのですが……という物語。主人公「ムッシュ・ムニエル」は、外見が服を着たヤギそのまま(りっぱな角!)で、人間のまちをすたすた歩き、しかもホテルに部屋もとります。とぼけた様子がよいです。男の子をさらう魔法もユニーク。というか、どうしてこれでうまくいくのかよく分かりません(^^;)。冷静に考えると、けっこうこわい話なのかもしれませんが、おそろしいことはまったくなく、物語も描写もニコリと微笑が合っています。あるいは、魔術師にさらわれ弟子になって諸国をめぐるというのは、子どもにとっては(いや大人にとっても)けっこう魅力的かも。
▼佐々木マキ『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』絵本館、2000年

ジャック・デュケノワ『おばけの地下室たんけん』

 今日は2冊。「アンリ」「リュシー」「ジョルジュ」「エドワール」のなかよしおばけがトランプ遊びをしていると、夜中の12時に地下室から「どすん!「どすん!」「どすん!」とすごい音が聞こえてきます。そこで、みんなでこわごわ地下室に下りていくと……という物語。おばけなのに暗闇をこわがるのがおかしい。食べたものによって体が変わってしまうというこのシリーズの趣向もちゃんと出てきます。で、一番の注目はやはり「グリグリおばちゃん」。パンクです。原書の刊行は1996年。
▼ジャック・デュケノワ/大澤晶 訳『おばけの地下室たんけん』ほるぷ出版、1999年

車光照ほか/松岡享子『いつも いっしょ どうぶつとくらすアジアのこどもたち』

 アジアの子どもたちと動物とのふれあいを扱った写真絵本。ほほえましい写真が多く、読んでいるとき、うちの子どももニコニコしていました。今日とくにおもしろがっていたのは、水牛の背中で算数の勉強をしている写真。付けられた文章には、動物たちの声を代弁したものもあり、それもおもしろいようです。
▼車光照ほか 写真/松岡享子 文『いつも いっしょ どうぶつとくらすアジアのこどもたち』「こどものとも」1994年2月号(通巻455号)、福音館書店、1994年

井口真吾『バンロッホのはちみつ』

 今日は2冊。この絵本の主人公「バンロッホ」は、テディベアなので、もちろん表情はありません。でも、それがまた独特のおかしさを生んでいます。クスクス笑える感じです。今回うちの子どもは、ラストページの「かたつむり」に注目していました。よく見ると目も口も鼻もなんだかおかしいと言っていました。たしかに、ちょっと普通の「かたつむり」とは違っています。
▼井口真吾『バンロッホのはちみつ』学研、2001年

平山暉彦『へんてこロボットのぼうけん』

 またまた『へんてこロボットのぼうけん』。今日うちの子どもは、合体した「へんてこロボット」の足になるコンパスに興味を引かれていました。くるくるとまわるコンパスのダンス。うちの子どもはいまお絵かきに熱中しているのですが、コンパスを使ってみたいようです。
▼平山暉彦『へんてこロボットのぼうけん』「こどものとも年中向き」2003年3月号(通巻204号)、福音館書店、2003年

たむらしげる『おばけのコンサート』

 今日は2冊。子どもに言われてはじめて気が付いたのですが、この絵本では、ロボットの「ランスロット」以外にも、たむらさんの他の絵本のキャラクターが登場しています。それは『ネズミのヒコーキ』(あかね書房)の主人公の「ネズミ」。小さく描き込まれているのですが、みんなといっしょに踊っています。うちの子ども、よく気が付いたなあ、ちょっと、びっくりしました(^^;)。この絵本には、まだ他にもそういうキャラクターが出ていそうな気がします。
▼たむらしげる『おばけのコンサート』福音館書店、2004年

赤羽末吉『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』

 この第3巻では、みんなで協力して戦をやめさせます。初登場のかみなり、「へそとりごろべえ」は、「へそとりき」なんていう道具を持っているのですが、これが見たところ、まさにビールの栓抜き! これを使って、戦を起こしている赤と緑の殿様のおへそを「ぽこん」「ぽこん」と取っていきます。すると、殿様は、おなかに力が入らず腰が抜けて立てなくなるのです。いや、実におかしい。そして、呼んだらすぐ来る「ぽんた」と「こんた」の活躍もあり(たくさんのカエルとタコが大行進している画面のすごさ!)、戦はおしまい。最後に「けん」は「おとう」と再会できるのですが、その画面には小さな花が赤で描き込まれていて、なかなか印象的。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』福音館書店、1986年

荒井良二『そのつもり』

 今日は2冊。「そのつ森」の空き地で開かれていた動物たちの会議は、大きなウシが草を食べに「ニューッ」と出てきて中断するのですが、このウシが実にでかい! いっしょにいる人間と比べると、とんでもなく大きいです。うちの子どもも「大きすぎだねえ」と言っていました。あらためてよく見ると、前の方の画面にも小さく描き込まれていたことが分かります。この大きなウシが草をはみ、人間がその下でごろりと横になっている画面は、動物たちの混乱した会議と対照的に、のんびりしています。
▼荒井良二『そのつもり』講談社、1997年

アネット・チゾン、タラス・テーラー『まほうにかかった動物たち』

 今日は1冊。この絵本のストーリーは、よく考えてみると、いわば人造生物(?)の悲哀を描いたものとも言えそうです。「人間にきらわれるのがいやなんです」「ほかの動物とちがうからって、人間が悪者あつかいするんだ」と「ハービィ」に訴えています。最後は「ハービィ」とイヌの「アンジェロ」が友だちになり、みんなで楽しくパーティなんですが、これで本当にいいのかなと少し疑問。それはともかく、生命をいとおしむという「おばけのバーバパパ」シリーズと共通のモチーフが読みとれるような気がしました。
▼アネット・チゾン、タラス・テーラー/竹林亜紀 訳『まほうにかかった動物たち』評論社、1984年

ジョン・バーニンガム『ねえ、どれが いい?』

 これはおもしろい! いろんなおかしな選択肢が見開き2ページに描かれ、「ねえ、どれが いい?」と尋ねられます。どれもちょっと遠慮したいものが多くて、なんだか究極の選択のようになり、おかしい。家族みんなで「うーん」と考え、自分はこれ、私はこれ、と楽しみました。読み終わったあとでうちの子どもが一番いいなと言っていたのは、「ネコとボクシング」と「小人の宝探しの手伝い」の2つ(^^;)。原書の刊行は1978年。この絵本、おすすめです。
 ところで、この絵本を読む前にうちの子どもは表紙を見て「『アボガドベイビー』を描いた人が描いているんでしょ?」と聞いてきました。『アボガドベイビー』はジョン・バーニンガムさんの絵本で、だいぶ前に図書館から借りて読んで、うちの子どもがけっこう気に入っていたのです。『ねえ、どれが いい?』の表紙の子どもの描き方から分かったようで、子どもはよく見ているなと思いました。ちなみに、『アボガドベイビー』もとてもおもしろい絵本で、おすすめです。
▼ジョン・バーニンガム/まつかわまゆみ 訳『ねえ、どれが いい?』評論社、1983年