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赤羽末吉『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』

 この第3巻では、みんなで協力して戦をやめさせます。初登場のかみなり、「へそとりごろべえ」は、「へそとりき」なんていう道具を持っているのですが、これが見たところ、まさにビールの栓抜き! これを使って、戦を起こしている赤と緑の殿様のおへそを「ぽこん」「ぽこん」と取っていきます。すると、殿様は、おなかに力が入らず腰が抜けて立てなくなるのです。いや、実におかしい。そして、呼んだらすぐ来る「ぽんた」と「こんた」の活躍もあり(たくさんのカエルとタコが大行進している画面のすごさ!)、戦はおしまい。最後に「けん」は「おとう」と再会できるのですが、その画面には小さな花が赤で描き込まれていて、なかなか印象的。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』福音館書店、1986年

赤羽末吉『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』

 「おへそがえる・ごん」シリーズの第3巻。完結編です。今回は、かみなりの「へそとりごろべえ」が登場。「ごん」や「けん」、「どん」、そして「ぽんた」と「こんた」、みんなで協力して、「あかぐん」と「みどりぐん」のいくさをやめさせます。ユーモラスな描写は相変わらず絶好調で大いに笑ったのですが、と同時に、今回は激しい戦争とそれがもらたらすものが印象深く描かれています。シリーズの他の巻と同じく、白と黒以外は赤と緑の2色のみが使われているのですが、その赤の色使いがこれまでになく鮮烈。それは表紙にもはっきりと表れていて、子どもを背負って走る「おへそがえる・ごん」を赤黒い炎が取り巻いています。ところで、「おへそがえる・ごん」シリーズ、これで終わりだと思うとなんだか悲しいです。第3巻で物語はもちろん完結していますが、登場するキャラクターの実に生き生きとした活躍からすると、まだまだおもしろい続きがありそうなのに、もうおしまい。名残惜しい気持ちになりました。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』福音館書店、1986年