おばけの「アンリ」が友だちのおばけたちを招待したパーティのお話。登場するのは、みんな白いシーツをあたまからかぶったような西洋風のおばけ。「アンリ」が作った飲み物や料理を口にすると、白いからだ(?)の色が変わります。メインディッシュの特別メニューを食べると透明になったりして、なかなかおもしろい。うちの子どもにもうけていました。原書の刊行は1994年。
▼ジャック・デュケノワ/大澤晶 訳『おばけパーティ』ほるぷ出版、1995年
「絵本」カテゴリーアーカイブ
二宮由紀子/矢島秀之『けしごむくん』
今日は2冊。間違ったものの大嫌いな「けしごむくん」が、間違うのはふつうということを学ぶお話。まとめてしまうとこんなストーリーで、ちょっと道徳的ですが、「えんぴつくん」たちや「いろえんぴつくん」たちがたくさん登場して楽しい雰囲気の絵本です。「けしごむくん」は、「しろいろのいろえんぴつくん」の描いた白い絵を当てられなくて、絶対に間違わないことは無理なんだと知ります。真っ白で何が描いてあるのか、ぜんぜん分かりません。でもなあ、「しろいろのいろえんぴつくん」は、ちょっとズルしたんじゃないかなあ(^^;)。
▼二宮由紀子 作/矢島秀之 絵『けしごむくん』ひかりのくに、2002年
瀬田貞二/山本忠敬『ピー、うみへいく』
この絵本はもともとは1958年9月に『こどものとも』の1冊として刊行され、その後、2000年に『こどものとも年中向き』として第2刷が発行されたもの。港の小さな遊覧ボート「ピー」が防波堤の向こうの海に出ていく物語。嵐にまきこまれ「やっぱり港のなかがいいな」となる結末は、なかなか現実的です。人によっては夢がないと言われるかもしれません。それはともかく、波の描写が様式化されていて美しいです。
▼瀬田貞二 作/山本忠敬 絵『ピー、うみへいく』「こどものとも年中向き」2000年5月号(通巻170号)、福音館書店、2000年
林長閑/高田耕二/海野和男ほか『くわがたむし』
今日は2冊。この絵本は「プチしぜんのえほん」傑作シリーズの1冊で、もとは1985年発行を再発行したもの。クワガタムシの生態が多くの写真やイラストで説明されています。うちの子どもは、カブトムシよりクワガタムシの方が好きなようです。
▼林長閑 監修/高田耕二 絵/海野和男ほか 撮影『くわがたむし』学研、1990年
松岡達英『ぼくのロボット大旅行』
今日は3冊。これはおもしろい! 「ぼく」と「ミヨちゃん」の2人が大きなロボットを造り、それに乗って世界旅行に出かけます。1000メートルの深海から北極、アラスカ、アマゾン、オーストラリア、ニューギニア、ボルネオ、アフリカ。それぞれのページにはたくさんの動物や昆虫や植物が描き込まれています。大きなロボットがばんばん海を泳いで空を飛び、しかも画面いっぱいの動物たち、子どもにとっては(いや大人にとっても)たまらない魅力です。巻末のふろくには、登場した動物たちの名前も載っていました。この絵本、おすすめです。
▼松岡達英『ぼくのロボット大旅行』福音館書店、1984年
大月ヒロ子『まるをさがして』
福音館書店の「びじゅつのゆうえんち」シリーズの1冊。20世紀の芸術作品に描かれた「まる」が全部で14作品、集められています。巻末には、取り上げられた作品の基本情報と説明が載っていました。はじめて接する作家さんの名前もたくさんあります。
「まる」という一見したところ単純なかたちでありながら、実に多様な表現があり、おもしろいです。大月さんのあとがきから少し引用します。
まるをかくには、とてもかんたんです。どこからかきはじめても、はじめとおわりをむすべば、ほら、できあがり。[中略]たくさんかけば、もようをつくることだってできます。まるに線をつけくわえると、人やモノのかたちにちかづきます。まるはたんじゅんですが、わたしたちに、いろいろな想像をさせてくれる、ふしぎな力をもったかたちです。
この絵本、裏表紙には「読んであげるなら 4才から じぶんで読むなら 小学校初級から」と記されていましたが、うちの子ども(5才)にはあまりうけませんでした。文章がほとんどなく、かたちや色を楽しむことからすると、むしろ、もっと小さい子どもやあるいは赤ちゃんの方が楽しめるかもしれません。
▼大月ヒロ子 構成・文『まるをさがして』福音館書店、2004年
馬場のぼる『11ぴきのねこ ふくろのなか』
「11ぴきのねこ」シリーズの1冊。このシリーズは、うちの子どもも大好きです。今回は、遠足に出かけた11ぴきのねこたちが、「ウヒアハ」という化け物につかまってしまい、山のお城で働かされてしまうという物語。
「はなをとるな」「はしをわたるな」「木にのぼるな」といった立て札がポイントです。「~するな」と言われるとついやりたくなってしまったり、あるいは他の人が楽しそうにやっていると自分も試してみたくなるのが、人情というもの。そのあたりが、とてもユーモラスに描かれています。
ところで、11ぴきのねこたちを奴隷みたいに働かせる「ウヒアハ」、なんだかお茶目です。ポーチを下げていて、しっぽにはリボンの飾りまでつけている。あんまり悪そうに見えません。よく見ると、裏表紙にも隠れていました。
▼馬場のぼる『11ぴきのねこ ふくろのなか』こぐま社、1982年
チョン・ハソプ/ハン・ビョンホ『ヘチとかいぶつ』
今日は3冊。「ヘチ」というのは、韓国で昔から伝わってきた想像上の動物で、正義と平和を守る神、太陽の光がこの世のすみずみに届くように番をする太陽の神だそうです。巻末には、詳しい説明がありました。で、この絵本で描かれているのは、「ヘチ」と、地の底の恐ろしい怪物四兄弟、「ムンチギ大王」「プンギ大王」「トンチギ大王」「パクチギ大王」の戦い。
ザラリとしたタッチの迫力のある絵がとても美しい。もしかすると韓国の伝統的な手法でしょうか、渋い色合いで神話の雰囲気もあります。著者紹介によると、絵を担当されたハン・ビョンホさんは、現代韓国を代表するイラストレーターの一人で、いろんな賞を受賞されています。原書の刊行は1998年。この絵本、おすすめです。
▼チョン・ハソプ 文/ハン・ビョンホ 絵/おおたけ きよみ 訳『ヘチとかいぶつ』アートン、2004年
飯野和好『わんぱくえほん』
この絵本は飯野さんがはじめてすべてを手がけた絵本のようです。見開き2ページをひとまとまりにして、「わんぱく」な子どもたちの様子が描写されています。1981年刊行で、いまとはだいぶ作風が違いますね。なんとなくヨーロッパの雰囲気が感じられます。
文もまだ手書き文字ではありません。そのかわりに(?)、手書きのローマ字がたくさん描き込まれています。これがまた独特の書体なんですね。手書き文字へのこだわりがうかがえて、おもしろいです。でも、このローマ字、まだ解読できないところがあります(^^;)。
巻末の「あとがき」を読むと、この絵本の絵はわらばん紙に描かれているとのこと。なかなか味のある色合いです。あと、カバーには飯野さんの写真が載っていたのですが、これが実に若い!
▼飯野和好『わんぱくえほん──ひとつひとつのひとくちばなし』偕成社、1981年
長新太『ぼくのすきなおじさん』
今日は4冊。いやー、この絵本はすごい。おすすめです。「ぼくのすきなおじさん」はものすごい石頭で、車も月も、巨大なダイヤモンドも、大きなピラミッドのような「オバケのしろ」(!)もそして「オバケ」も、全部あたまで「ドーン!」とぶっとばしてしまいます。見た目ははげ頭のふつうのおじさんなのに、とんでもなく固いアタマなのです。というか、驚きと脱力で、こちらのアタマのなかはぐにゃぐにゃになってきます(^^;)。そういえば、長新太さんの『ゴムあたまポンたろう』とはアタマの設定がちょうど逆ですね。ラストの文はなかなか味があります。
ぼくのしってる おじさんは、
こんな すごい あたまをしています。
あたまのなかみは わからないけど、
ぼくは みんなに じまんしてるんだ。
ぼくは、このおじさんが
だいすきです。
▼長新太『ぼくのすきなおじさん』童心社、1993年