この絵本の主人公「ヘチ」は太陽の番をする神なので、「ヘチ」と怪物四兄弟の戦いは太陽の奪い合いになっています。鎖でしばられる太陽、四つに切り分けられた太陽、一つにまるめられて投げつけられたり、「ヘチ」の口のなかに入ったりはき出されたり……。いや、よく考えると、この世の終わりのような戦いですね。だからか、この絵本には人間はまったく登場せず、神と怪物の激しい戦いが続きます。
とはいえ、読んでいて恐ろしいということはまったくなく、「ヘチ」も怪物四兄弟もなんとなくユーモラスなところがあって、おもしろい絵本です。
▼チョン・ハソプ 文/ハン・ビョンホ 絵/おおたけ きよみ 訳『ヘチとかいぶつ』アートン、2004年