「絵本」カテゴリーアーカイブ

八木田宜子/長新太『くいしんぼ らいおん』

 今日は1冊。「らいおん えほん」シリーズの第4巻。誕生日がいつだか分からない「らいおん」が「ぼく」といっしょに誕生日のお祝いをするというお話。友だちもやってきて、プレゼントにケーキ、楽しい雰囲気です。とくにケーキがすごい。巨大な三段ケーキで、「らいおん」と「ぼく」がかぶりつき顔も手もクリームで真っ白にしている画面は、なんだか幸せそう。
 ところで、「らいおん」はある意味、理想の友だちなのかもしれないと思いました。大きく力強くて頼りがいがあり、しかも茶目っ気があって、子ども以上に子どもっぽく、なおかつ少し抜けているところもある……。というか、子どもにとっては、親にこの「らいおん」のような部分があるとよいのかなとも思います。まあ、いつも「らいおん」というわけにはいかないわけですが。あるいは、親に限らず、「らいおん」のように、子どもにとって安心できて、しかも子どもが自分を解放できる、そんな人が身近にいることが大事なのかもしれません。ラストページが印象的。ニコニコした「らいおん」に抱っこされている「ぼく」、実にうれしそうな顔です。
▼八木田宜子 文/長新太 絵『くいしんぼ らいおん』徳間書店、2003年

もとしたいづみ/荒井良二『すっぽんぽんのすけ せんとうへいくのまき』

 今日は1冊。「すっぽんぽんのすけ」シリーズの第2弾。今回の舞台は銭湯、動物たちをいじめていたイヌ(?)の悪者忍者たちをやっつけます。ユーモラスな描写で、このシリーズはうちの子どもも大好き。表紙の見返しには、なんと「すっぽんぽんのすけのテーマソング」まで書かれていました。作者のもとしたさんが作詞・作曲して譜面まで付いています。私は譜面が読めないので妻に歌ってもらったのですが、これがまた実に陽気で能天気な歌。家族みんなで大受けしました。あと、ラストページ、銭湯の湯船の横の看板がおかしいです。

うつくしい看板は
荒井良二屋
すこし時間がかかります

「すこし時間が……」というのがニヤリと笑えます。こういう遊びの要素も楽しいです。
▼もとしたいづみ 作/荒井良二 絵『すっぽんぽんのすけ せんとうへいくのまき』鈴木出版、2002年

佐々木マキ『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』

 「ムッシュ・ムニエル」は魔術師のヤギ。子どもを一人さらって弟子にしようとするのですが……という物語。主人公「ムッシュ・ムニエル」は、外見が服を着たヤギそのまま(りっぱな角!)で、人間のまちをすたすた歩き、しかもホテルに部屋もとります。とぼけた様子がよいです。男の子をさらう魔法もユニーク。というか、どうしてこれでうまくいくのかよく分かりません(^^;)。冷静に考えると、けっこうこわい話なのかもしれませんが、おそろしいことはまったくなく、物語も描写もニコリと微笑が合っています。あるいは、魔術師にさらわれ弟子になって諸国をめぐるというのは、子どもにとっては(いや大人にとっても)けっこう魅力的かも。
▼佐々木マキ『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』絵本館、2000年

ジャック・デュケノワ『おばけの地下室たんけん』

 今日は2冊。「アンリ」「リュシー」「ジョルジュ」「エドワール」のなかよしおばけがトランプ遊びをしていると、夜中の12時に地下室から「どすん!「どすん!」「どすん!」とすごい音が聞こえてきます。そこで、みんなでこわごわ地下室に下りていくと……という物語。おばけなのに暗闇をこわがるのがおかしい。食べたものによって体が変わってしまうというこのシリーズの趣向もちゃんと出てきます。で、一番の注目はやはり「グリグリおばちゃん」。パンクです。原書の刊行は1996年。
▼ジャック・デュケノワ/大澤晶 訳『おばけの地下室たんけん』ほるぷ出版、1999年

車光照ほか/松岡享子『いつも いっしょ どうぶつとくらすアジアのこどもたち』

 アジアの子どもたちと動物とのふれあいを扱った写真絵本。ほほえましい写真が多く、読んでいるとき、うちの子どももニコニコしていました。今日とくにおもしろがっていたのは、水牛の背中で算数の勉強をしている写真。付けられた文章には、動物たちの声を代弁したものもあり、それもおもしろいようです。
▼車光照ほか 写真/松岡享子 文『いつも いっしょ どうぶつとくらすアジアのこどもたち』「こどものとも」1994年2月号(通巻455号)、福音館書店、1994年

井口真吾『バンロッホのはちみつ』

 今日は2冊。この絵本の主人公「バンロッホ」は、テディベアなので、もちろん表情はありません。でも、それがまた独特のおかしさを生んでいます。クスクス笑える感じです。今回うちの子どもは、ラストページの「かたつむり」に注目していました。よく見ると目も口も鼻もなんだかおかしいと言っていました。たしかに、ちょっと普通の「かたつむり」とは違っています。
▼井口真吾『バンロッホのはちみつ』学研、2001年

平山暉彦『へんてこロボットのぼうけん』

 またまた『へんてこロボットのぼうけん』。今日うちの子どもは、合体した「へんてこロボット」の足になるコンパスに興味を引かれていました。くるくるとまわるコンパスのダンス。うちの子どもはいまお絵かきに熱中しているのですが、コンパスを使ってみたいようです。
▼平山暉彦『へんてこロボットのぼうけん』「こどものとも年中向き」2003年3月号(通巻204号)、福音館書店、2003年

たむらしげる『おばけのコンサート』

 今日は2冊。子どもに言われてはじめて気が付いたのですが、この絵本では、ロボットの「ランスロット」以外にも、たむらさんの他の絵本のキャラクターが登場しています。それは『ネズミのヒコーキ』(あかね書房)の主人公の「ネズミ」。小さく描き込まれているのですが、みんなといっしょに踊っています。うちの子ども、よく気が付いたなあ、ちょっと、びっくりしました(^^;)。この絵本には、まだ他にもそういうキャラクターが出ていそうな気がします。
▼たむらしげる『おばけのコンサート』福音館書店、2004年

赤羽末吉『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』

 この第3巻では、みんなで協力して戦をやめさせます。初登場のかみなり、「へそとりごろべえ」は、「へそとりき」なんていう道具を持っているのですが、これが見たところ、まさにビールの栓抜き! これを使って、戦を起こしている赤と緑の殿様のおへそを「ぽこん」「ぽこん」と取っていきます。すると、殿様は、おなかに力が入らず腰が抜けて立てなくなるのです。いや、実におかしい。そして、呼んだらすぐ来る「ぽんた」と「こんた」の活躍もあり(たくさんのカエルとタコが大行進している画面のすごさ!)、戦はおしまい。最後に「けん」は「おとう」と再会できるのですが、その画面には小さな花が赤で描き込まれていて、なかなか印象的。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』福音館書店、1986年

荒井良二『そのつもり』

 今日は2冊。「そのつ森」の空き地で開かれていた動物たちの会議は、大きなウシが草を食べに「ニューッ」と出てきて中断するのですが、このウシが実にでかい! いっしょにいる人間と比べると、とんでもなく大きいです。うちの子どもも「大きすぎだねえ」と言っていました。あらためてよく見ると、前の方の画面にも小さく描き込まれていたことが分かります。この大きなウシが草をはみ、人間がその下でごろりと横になっている画面は、動物たちの混乱した会議と対照的に、のんびりしています。
▼荒井良二『そのつもり』講談社、1997年