今日は1冊。「らいおん えほん」シリーズの第4巻。誕生日がいつだか分からない「らいおん」が「ぼく」といっしょに誕生日のお祝いをするというお話。友だちもやってきて、プレゼントにケーキ、楽しい雰囲気です。とくにケーキがすごい。巨大な三段ケーキで、「らいおん」と「ぼく」がかぶりつき顔も手もクリームで真っ白にしている画面は、なんだか幸せそう。
ところで、「らいおん」はある意味、理想の友だちなのかもしれないと思いました。大きく力強くて頼りがいがあり、しかも茶目っ気があって、子ども以上に子どもっぽく、なおかつ少し抜けているところもある……。というか、子どもにとっては、親にこの「らいおん」のような部分があるとよいのかなとも思います。まあ、いつも「らいおん」というわけにはいかないわけですが。あるいは、親に限らず、「らいおん」のように、子どもにとって安心できて、しかも子どもが自分を解放できる、そんな人が身近にいることが大事なのかもしれません。ラストページが印象的。ニコニコした「らいおん」に抱っこされている「ぼく」、実にうれしそうな顔です。
▼八木田宜子 文/長新太 絵『くいしんぼ らいおん』徳間書店、2003年