「絵本を読む」カテゴリーアーカイブ

松谷みよ子/中谷千代子『ちいさいモモちゃん1 おばけとモモちゃん』

 2冊目。 おばけがほしくて仕方がない「モモちゃん」、10円玉を握りしめ、おばけを買いに出かけます。これはおもしろい! おばけを買うという発想がまずすごいです。究極の消費社会(?)。しかも、「モモちゃん」はぜんぜん、おばけを怖がらず、おばけとのやりとりがおかしいです。

 巻末の説明によると、この絵本は昭和47年(1972年)に発行されたものを元に、有山達也さんがブックデザインして復刻したものだそうです。他にも数冊、復刻されているようなので、今度また読んでみたいと思います。この絵本、おすすめです。

▼松谷みよ子 文/中谷千代子 絵『復刻版 ちいさいモモちゃん1 おばけとモモちゃん』講談社、2003年

やぎゅう げんいちろう『あしのうらのはなし』

 今日は3冊。1冊目は『あしのうらのはなし』。「かがくのとも傑作集」の1冊で、動物と人間の足の裏を比べたり、走るときの足の裏の動きやつちふまずの説明もありました。それほど詳しくはありませんが、読みながら足の裏を見てみたり、画面に足の裏を合わせたりして、なかなかおもしろいです。

▼やぎゅう げんいちろう『あしのうらのはなし』福音館書店、1982年

アーサー・ガイサート『洪水のあとで──ノアたちのその後──』

 以前読んだ『ノアの箱船』の続編。アララト山にたどり着いたその後が描かれています。人間も動物もみんなで協力し合いながら、新しい世界を築いていく姿が印象的。箱船を山からおろし、ひっくり返して家にしていくところは、視覚的にもおもしろいです。遠くから雄大に描写したり近くに接近したり、視点の移動もダイナミック。

 美しい銅版画には、前作と違って全体にわたり彩色がほどこされています。それは、虹が神の祝福、希望のしるしであったことと関連し、また洪水をへて世界がいわば浄化され、そして復活したことを表しているかのようです。

▼アーサー・ガイサート/小塩節、小塩トシ子 訳『洪水のあとで──ノアたちのその後──』こぐま社、1994年

なかえよしを/上野紀子『また!ねずみくんとホットケーキ』

 「ねずみくんの絵本」シリーズの1冊。「ねみちゃん」が3時にホットケーキを作ってくれるというので、動物たちは時計の針をわざと動かします。このシリーズは色使いが印象的。ホットケーキのおいしそうな色に合わせて、絵のページはすべて黄色で縁取られています。カバーの説明で知りましたが、ねずみくんのウェブサイトもあるようです。なかえよしをと上野紀子の絵本

▼なかえよしを 作/上野紀子 絵『また!ねずみくんとホットケーキ』ポプラ社、2003年

せなけいこ『はらぺこゆうれい』

 せなけいこさんの「おばけえほん」シリーズの1冊。お腹がすいてフラフラになった幽霊の物語。墓場でばったり倒れている姿がおかしい。トレードマークのあたまにつける三角巾が取れています。

 巻末の説明によると、この絵本の前半の物語は、中国の『幽明録』という本から取られたそうです。後半はせなさんのオリジナル。『幽明録』、タイトルからしておもしろそうですね。機会があったら読んでみたいです。

▼せなけいこ『はらぺこゆうれい』童心社、1999年

長谷川義史『どこどこどこ いってきまーす』

 今日は4冊。表紙・裏表紙の見返しの「まちがいさがし ちゃう ちゃう ちゃう」、ようやくすべて見つけました。これで安心して眠れます(^^;)。それにしても、作者の長谷川さんのご苦労は半端じゃないですね。すでに第二弾が刊行されているようですが、そのことを話したら、うちの子どもはやる気満々でした(←しばらく休ませてくれえー)。

▼長谷川義史『どこどこどこ いってきまーす』ひかりのくに、2003年

アンソニー・フランス/ティファニー・ビーク『ともだちからともだちへ』

 今日は2冊。1冊目は『ともだちからともだちへ』。「ともだち」と記されていますが、それだけでなく、人が人といっしょに生きていることのかけがえのなさを描いているように思いました。この絵本、おすすめです。

おひるのあと、クマネズミは また、てがみをかいたひとを
さがしに でかけました。だれかが じぶんを たいせつに
おもってくれているって、なんだか いいきもちです。
そのことを かんがえていると、だんだんと せかいじゅうのひとが、
じぶんを たいせつに おもってくれているような きもちになるのです。

▼アンソニー・フランス さく/ティファニー・ビーク え/木坂涼 やく『ともだちからともだちへ』理論社、2003年

長新太『こんなことってあるかしら?』

 今日は1冊だけ。この絵本、画面に付いた文はどれも「こんなことってあるかしら?」で締められています。これに「ない、ない!」「ある、ある!」と突っ込んで楽しんでいました。

 ところで、巻末の著者紹介のところを見ると、次のように書いてありました。

長新太
ちょう・しんた 1927年東京生まれ。ナンセンスってこういうことではないかしら、と生まれた作品は、たくさんのナンセンスファンを生む。……

 たしかになあ。長さんの作品ではじめてナンセンスの神髄を知る、そんな感じがします。

▼長新太『こんなことってあるかしら?』クレヨンハウス、1993年

なかえよしを/上野紀子『それいけ!ねずみくんのチョッキ』

 2冊目は『それいけ!ねずみくんのチョッキ』。この絵本は、紙面の使い方に加えて、色使いも特徴的。登場する動物たちはどれもモノクロで描かれ、色がついているのはチョッキやリボンの赤と、プレゼントのうすいピンクだけ。すべてのページが緑でふちどられており、この緑とチョッキの赤との対照が強調されています。

▼なかえよしを 作/上野紀子 絵『それいけ!ねずみくんのチョッキ』ポプラ社、1997年