今日は1冊。なんだか私の知らない間に、妻と子どもでだいぶ見つけてしまったようで、私だけ置いてきぼりになっていました。しくしく。というわけで、すでに見つけたものを教えてもらいながら、一つ一つ確認。表紙と裏表紙の「まちがいさがし ちゃう ちゃう ちゃう」も解決。残るは「ワニ」だけ。これがなかなか見つかりません。うーむ、もう少しがんばってみよう。
▼長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』ひかりのくに、2004年
Google ニュース
Google ニュース日本版がはじまりましたね。まだベータ版ですが、新聞社や放送局などいろんな報道機関の計610サイトから最新ニュースを収集・検索できるそうです。過去 30 日間に発表された記事が対象になるとのこと。
ジョナサン・アレン『メチャクサ』
今日は1冊。「メチャクサ」のくさいくさい臭いにやられて3回もダウンするオオカミ、色が変わったり体がぐにゃぐにゃ、へなへなになったり、マンガのような描写で笑ってしまいます。あらためて考えてみると、「メチャクサ」はけっこうピースフル。オオカミが襲ってきてもまったく取りあいませんし、くさい臭いに引きつけられたハエ、それを食べるカエルや小鳥をいつも自分の体に住まわせています。臭いはともかく、みんなと楽しく共生しているところは、なかなかよい感じです。考えてみれば生き物はそもそも臭いを発するものであって、くさいのは当たり前と言えるかもしれませんね。
▼ジョナサン・アレン/岩城敏之 訳『メチャクサ』アスラン書房、1993年
今江祥智/長新太『なんだったかな』
今日は1冊。「なんだったかな?」と動物園ではじめて見た「すてきな どうぶつ」を思い出そうとする絵本。カバでもない、ライオンでもない、ゾウでもない……とあれこれ思案して、最後にやっと思い出します。動物たちの太く黒い輪郭線には、他の色がずらして付加されており、隣り合ったり重なり合ったりした色が不思議な効果を生んでいます。色の付いた半透明のセロファンを重ねたような感じ、あるいはブラウン管の画像がゆれているような感じ。あと、とくに美しいと思ったのは、思い出そうとして目をぎゅっと閉じた画面と、そのあとページをめくって、ようやく思い出した動物がすっくと立っている画面。鮮烈な黒です。
今江さんの「新版/あとがき」によると、この絵本は、もともと1967年発行。このときは「カラー・ブック」という主旨で、12人の作家と画家がそれぞれの「色」を受け持って物語を考え絵をつけるという企画。今江さんと長さんのコンビは、誰も選ばなかった「黒」をやることになり、長さんはけっこう苦労されたようです。三歳児、四歳児、五歳児向きにという建前で3冊作り、その後、絶版になっていたのが理論社から一冊本として再刊。このとき長さんは絵をすべて新しく描いたそうです。で、それから15年たって、2002年にBL出版から一冊ずつ独立に復刊されることになったとのこと。今回は長さんが表紙をあらたに書き下ろしです。
うーむ、ロングセラーの一方ですぐに絶版になってしまうという絵本のきびしい出版状況がうかがえます。と同時に、時間がたっても変わらない絵本の強い生命力もまた感じ取れます。
▼今江祥智 文/長新太 絵『なんだったかな』BL出版、2002年
トミー・ウンゲラー『ラシーヌおじさんとふしぎな動物』
もと税金集めのお役人でいまは悠々自適に生活している「ラシーヌさん」、おいしい梨のなる庭の梨の木が自慢だったのですが、ある日、梨がきれいになくなっています。梨どろぼうをつかまえようと見張っていたところ、出会ったのが「ふしぎな動物」。この絵本では、「ラシーヌさん」とこの「ふしぎな動物」の交流が描かれていきます。
ちょうど仔牛くらいの大きさ。
遠くからみると、ボロ毛布の小山のようです。だらっと長い、くつしたみたいな耳が、目がついていそうもない顔の両がわで、パタパタしています。ごわごわのふといたてがみがはえていて、長い鼻を下にたらし、ふうふう息をしています。足は切り株みたいだし、ひざは乗馬ズボンみたいにだぶだぶ、うんともすんともいいません。
「ふしぎな動物」のあっと驚く正体は物語のラストで明らかになりますが、絵を見るかぎりではとにかく不気味。「ラシーヌさん」は楽しく付き合っているようですが、正直言って、あまり近くにいてほしくないタイプの動物です。でも、それがこの絵本のおもしろさですね。
あと、よく見ると、画面のあちこちに不穏なものがたくさん散りばめられています。実はスプラッター絵本かも。全体を通じて色遣いもなかなかエグいですし、ずぶずぶと深みにはまりそうなあやしい魅力に満ちています。原書の刊行は1971年。この絵本、おすすめです。
▼トミー・ウンゲラー/たむら りゅういち あそう くみ 訳『ラシーヌおじさんとふしぎな動物』評論社、1985年
赤羽末吉『おへそがえる・ごん 2 おにのさんぞく やっつけろの巻』
今日は2冊。昨日に続いてまたまた『おへそがえる・ごん』。この絵本では、第1巻と同じく、白と黒以外の色は緑と赤しか使われていません。しかし、これが非常に印象的。とくに山賊の頭の鬼は、なかなかの迫力です。最後の対決の場面では、タヌキの「ぽんた」とキツネの「こんた」が化けた化け物が鬼と戦うのですが、これがまたシンプルでありながら見開き2ページをいっぱいに使った描写で、しかも笑えます。うちの子どもも大受けしていました。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん 2 おにのさんぞく やっつけろの巻』福音館書店、1986年
赤羽末吉『おへそがえる・ごん 2 おにのさんぞく やっつけろの巻』
「おへそがえる・ごん」シリーズの第2巻です。図書館から借りてきました。通常とは違うところに保管されていたらしく、出してもらうのにも時間がかかりました。図書館の職員の方は「1986年の本でかなり古いので……」と言ってましたが、86年で古いということはないと思うのですが。
それはともかく、「おへそがえる・ごん」、第2巻も絶好調。今回は、子どもや女性をさらいお米やお金をうばっていく悪い山賊と対決します。いっしょに旅をする「ごん」、人間の子「けん」、手のあるへびの「どん」に加え、第1巻に登場したタヌキの「ぽんた」とキツネの「こんた」もまた登場し、みんなで力を合わせて山賊退治。前作同様、絵巻物のような趣で、ユーモラスな描写がてんこ盛り。うちの子どもにも受けていました。
今回すごいなあと思ったのは、山賊たちに捕まった「ごん」がおなかに空気を入れられて風船がえるにされ、空に飛ばされてしまうところ。残酷といえば残酷、「ごん」にとってもえらい災難なのですが、この描写がなんともおかしい。複数のページにわたって、「ごん」がひゅーっと空を飛んでいきます。風に流されてどんどん飛んでいき、だんだん「ごん」が遠く小さくなっていく画面のすごさ。なんだか気持ちよさそうにも見えてしまいます(^^;)。この絵本、おすすめです。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん 2 おにのさんぞく やっつけろの巻』福音館書店、1986年
野坂勇作『たこのえ いかのえ』
夏休み、お母さんといっしょに列車に乗っておばあちゃんの家からまちの家に帰る「みいちゃん」は、途中の海辺の駅で不思議な体験をします。海のなかから大きなタコとイカが現れ、「みいちゃん」の言うとおりに砂浜に絵を描き、どっちが絵がうまいか、「みいちゃん」に決めさせようとします。列車に乗っていた大人たちはみんな眠ってしまい、「みいちゃん」だけがタコとイカに出会うというのは、なんだか白昼夢。暗く描かれた列車の車内と明るい海辺の対比も印象的で、タコとイカが現れるとともに曇り空も晴れていきます。砂浜に描かれた絵は、何を描いても、タコはタコ、イカはイカになってしまうのですが、木の枝でなぞって描いた跡もおもしろく、波に洗われて消えて、そしてまた描くのは、遊びの楽しさが伝わってきます。
▼野坂勇作『たこのえ いかのえ』「こどものとも年中向き」1995年8月号(通巻113号)、福音館書店、1995年
直江みちる/今井俊『ペレのはなび』
今日は2冊。この絵本は、もう何十回も読んでいて、うちの子どものお気に入り。久しぶりに読みました。メキシコの小さな村に住む「ペレ」、花火職人のお父さんといっしょに隣村の秋祭りに行き、お父さんの仕事をはじめて手伝うという物語。「ペレ」はお祭りに気をとられて手伝いがおろそかになってしまい、仕掛け花火作りでは少し失敗してしまいます。その心の動きやお父さんの職人としての仕事ぶりなどが丹念に描き出されています。メキシコのお祭りの様子や日本とは違う仕掛け花火など、なかなか興味深いです。絵は、おそらく版画と思いますが、黒くがっちりとした輪郭に、かっと日に照らされて土のにおいのしてきそうな彩色。夕やみせまる村祭りの鮮やかな花火も美しいです。この絵本、おすすめです。
▼直江みちる 文/今井俊 絵『ペレのはなび』「こどものとも」1995年11月号(通巻476号)、福音館書店、1995年
赤羽末吉『おへそがえる・ごん ぽんこつやまの ぽんたと こんたの巻』
やはり、おもしろい。うちの子どももかなり気に入っています。今日も大受けしていました。
この絵本の特徴の一つは、擬態語がたくさん出てくるところ。たとえば「ぱくぱくぱく」「ふわふわふわ」「もくもく」など、フォントも他とは違っていて目立ちます。このたくさんの擬態語がリズミカルでおかしさを生んでいます。
ところで、主人公のかえるの「ごん」はふつうの人間なみの大きさで言葉もしゃべりますし、二本足で立っています。お化けがえるですね。で、「ごん」が人間のまちに行って闘鶏を見ていると、まわりの人間からこんなふうに言われます。
かえるのくせに、こんなところへ
くるとは なまいきだ。どけっ!
これに対して「ごん」は一言、
えばるな にんげん!
このセリフ、とても印象的。そうだよなあと妙に納得します。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん ぽんこつやまの ぽんたと こんたの巻』小学館、2001年