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赤羽末吉『おへそがえる・ごん ぽんこつやまの ぽんたと こんたの巻』

 やはり、おもしろい。うちの子どももかなり気に入っています。今日も大受けしていました。
 この絵本の特徴の一つは、擬態語がたくさん出てくるところ。たとえば「ぱくぱくぱく」「ふわふわふわ」「もくもく」など、フォントも他とは違っていて目立ちます。このたくさんの擬態語がリズミカルでおかしさを生んでいます。
 ところで、主人公のかえるの「ごん」はふつうの人間なみの大きさで言葉もしゃべりますし、二本足で立っています。お化けがえるですね。で、「ごん」が人間のまちに行って闘鶏を見ていると、まわりの人間からこんなふうに言われます。

かえるのくせに、こんなところへ
くるとは なまいきだ。どけっ!

これに対して「ごん」は一言、

えばるな にんげん!

このセリフ、とても印象的。そうだよなあと妙に納得します。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん ぽんこつやまの ぽんたと こんたの巻』小学館、2001年

赤羽末吉『おへそがえる・ごん ぽんこつやまの ぽんたと こんたの巻』

 いやー、やっぱり、おもしろい。うちの子どもも、この絵本、気に入っているようです。この絵本では、白黒以外の色は緑と赤しか使われていません。しかも、ごく一部だけに彩色されています。もちろん、主人公の「おへそがえる・ごん」には緑が使われているのですが、限定された色づかいがとても印象的です。また、基本的に背景や舞台の描写は省略され、登場する動物や人間や化け物だけがシンプルに描かれており、紙面が横長に広く活用されています。空間の使い方や動物の描き方など、なんとなく昔の絵巻物(たとえば鳥獣戯画とか)を彷彿とさせ、加えて現代のマンガのような味わいもあり、おもしろいです。それはまた、物語の内容にもぴったり合っています。
▼赤羽末吉『おへそがえる・ごん ぽんこつやまの ぽんたと こんたの巻』小学館、2001年