月別アーカイブ: 2004年7月

ユリ・シュルヴィッツ『あるげつようびのあさ』

 今日は3冊。この絵本は、視点の置き方・動かし方が特徴的かなと思いました。たとえば物語のはじまりとおわりでは、いわばカメラを前後に動かすような表現になっています。他にも、王様と女王様と王子様が現れる場面では、カメラが横移動するような描写です。映画的と言えるかもしれません。

▼ユリ・シュルヴィッツ/谷川俊太郎 訳『あるげつようびのあさ』徳間書店、1994年

アネット・チゾン、タラス・テイラー『バーバパパのなつやすみ』

 またまた『バーバパパのなつやすみ』。ラストページには、南の島からバーバパパたちが送った絵はがきが描かれています。「みんなで たのしい なつやすみ」と記され、家族勢揃い。この絵はがきの消印を見ると、94年4月10日付けになっていました。もしかすると、この絵本を描き終えた日付かもしれませんね。

▼アネット・チゾン、タラス・テイラー さく/やましたはるお やく『バーバパパのなつやすみ』講談社、1995年

飯野和好『ねぎぼうずのあさたろう その3 人情渡し船』

 わが家の定番、「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズ。うちの子どもは今日も「その5はまだ出ないの?」と言っていました。「その3」では「あさたろう」のお父さん、「ながきち」が登場します。「ながきち」とは言っても、顔はまあるい。なかなかカッコ良い男です。

 また、他の巻と同じく、「その3」に出てくるセリフのいくつかもわが家ではけっこう使います(^^;)。たとえば

「……ずず」
「あっ いきだおれだ」
「むすめさん しっかりしなせぇ」
「なんじゃな あんたたちは いきなり」
「いや なあに この まあるいかたたちがのう」

▼飯野和好『ねぎぼうずのあさたろう その3 人情渡し船』福音館書店、2001年

ユリ・シュルヴィッツ『あるげつようびのあさ』

 なんとも不思議な絵本。ニューヨークに住む男の子のところに、王様、女王様、王子様、お付きの人たちが行列を作って訪ねてくるというお話。この行列がとてもユーモラス。ラストにはトランプの絵札と人形が描かれており、どうも、ここから王様たちは抜け出してきた気がしてきます。フランスの古い民謡に基づいていると記されていました。

 訳者の谷川さんのあとがきによると、ニューヨークのソーホーの実在のまちなみが紙面の端々に描かれているそうです。原著の刊行は1967年。この絵本、おすすめです。

▼ユリ・シュルヴィッツ/谷川俊太郎 訳『あるげつようびのあさ』徳間書店、1994年

なかえよしを/上野紀子『また!ねずみくんとホットケーキ』

 今日は4冊。またまた「ねずみくんの絵本」。うちの子どもはだいぶ気に入っているようです。キリンやゾウやクマなど動物たちが出てくるのですが、「ねずみくん」の小ささが際立ちます。で、その小さな「ねずみくん」が活躍するところがおもしろさかもしれません。

▼なかえよしを 作/上野紀子 絵『また!ねずみくんとホットケーキ』ポプラ社、2003年

エリック・カール『ごちゃまぜカメレオン』

 4冊目。これぞ、まさに現代の怪物? 『かいぶつ ぞろぞろ』の「足し算のいきもの」そのままに、カメレオンにいろんな動物が混ざっていきます。北極ぐま、フラミンゴ、キツネ、魚、シカ、キリン、カメ、ゾウ、アザラシ、そして人間(!)まで。最後はまたカメレオンに戻るのですが、その変身ぶりがぶっ飛んでいて、おもしろいです。

▼エリック・カール/八木田宜子『ごちゃまぜカメレオン』ほるぷ出版、1978年

辻村益朗『かいぶつ ぞろぞろ』

 3冊目。福音館書店から新しく刊行された「びじゅつのゆうえんち」シリーズの1冊。裏表紙にはこのシリーズの案内文がありました。引用します。

ここは、子どものための美術の絵本遊園地。
美しいもの、おもしろいもの、
びっくりすること、わくわくすることを
たくさん用意しました。
感性のぐんとのびる今、一生の宝になる、
すばらしい思い出を持ちかえって下さい。

【入園できる人】
子どもからおとなまで
どなたでも。
親子大かんげい。
【開園時間】
あさからばんまで
いつでもどうぞ。
ただし、ま夜中には
おばけがでるかもしれません。

 なかなか意欲的なシリーズです。ウェブサイトもあります。

 この絵本では、神話や伝説や説話などに登場する怪物を描いた古今東西の美術作品が取り上げられています。怪物たちはいろいろな動物を組み合わせてイメージされているということから「足し算のいきもの」と呼ばれ、子どもにも分かりやすく説明されています。もちろん、大人が読んでも十分興味深くおもしろいです。巻末には、取り上げられた美術作品の詳しい説明も付いていました。

 うちの子どもには少し難しいところもあったようですが、戦隊ものやウルトラマンで怪獣になじんでいるためか、この絵本、けっこう楽しんでいました。

▼辻村益朗 構成・文『かいぶつ ぞろぞろ』福音館書店、2004年

まど・みちお/スズキコージ『おならはえらい』

 2冊目。まど・みちおさんの詩にスズキコージさんが絵を付けた「うたうたうたう」シリーズの1冊。この絵本では「ゆび」「ごはんをもぐもぐ」「くしゃみのうた」「おならはえらい」の4つの詩が取り上げられています。スズキさんの絵というとあやしい雰囲気に満ちた色鮮やかな彩色の印象が強いですが、この絵本ではいつもと違って(?)切り絵のようです。よく見るといろんな切手があしらわれていて、おもしろい。

▼まど・みちお 詩/スズキコージ 絵『おならはえらい』童心社、1990年

つちだ のぶこ『でこちゃん』

 今日は4冊。1冊目は『でこちゃん』。つちだのぶこさんは最近は齋藤孝さんが文を担当した『おっと合点承知之助』や『えんにち奇想天外』が有名ですが、この絵本は、つちださんが文も絵も描かれています。

 お母さんに散髪してもらった「てこちゃん」、前髪を切りすぎて「でこちゃん」になってしまって……といったストーリー。表紙がなかなかすごい。「てこちゃん」の顔が大きく描かれ、広い広いおでこに赤字で「でこちゃん」のタイトル。インパクトがあります。

▼つちだ のぶこ『でこちゃん』PHP研究所、2000年

中川李枝子/山脇百合子『ぐりとぐらの1ねんかん』

 3冊目。1月から12月まで、月ごとに「ぐりとぐら」の生活が描かれています。春、夏、秋、冬の四季の移り変わりが印象深いです。あと、この絵本は縦27センチに横31センチで、通常の「ぐりとぐら」シリーズよりもかなり大きめ。見開き左ページに絵、右ページに文が配置され、このゆったりとした画面の使い方もなかなかよいです。

▼中川李枝子 作/山脇百合子 絵『ぐりとぐらの1年間』福音館書店、1997年