月別アーカイブ: 2004年8月

トミー・ウンゲラー『エミールくん がんばる』

 主人公の「エミール」は大きなタコ。サメに襲われていた「サモファせんちょう」を助け、それが縁で地上にやってきます。どんな楽器もたちまち弾けて、8本の手でハープ(?)とドラムとチェロを同時に操り、ドビッシーの「うみ」を演奏したりします。海の監視員をしたり、警察船を助け悪者を捕まえたりと大活躍。緑色で口がなく、ちょっとなさけない顔をしていて、愛嬌もあります。見開き2ページの左上と右下、左下と右上といったように、斜めに空間を広くとった絵の配置もおもしろい。原書の刊行は1960年。
▼トミー・ウンゲラー/今江祥智 訳『エミールくん がんばる』文化出版局、1975年

堀内誠一『ほね』

 今日は3冊。人間や動物の骨の仕組みと機能を解説した科学絵本。読みながら自分たちの手の骨や筋肉、あるいは肋骨をさわって、説明を確かめたりしました。サインペンで描いたような、カラフルで軽やかな彩色がきれいです。
▼堀内誠一『ほね』福音館書店、1981年

わたなべしげお/かとうちゃこ『ぶつかる!ぶつかる!』

 こちらの絵本も、うちの子どもが小さいときに、セリフを覚えてしまうくらい何十回も読んでいます。今日はだいぶ久しぶりに読みました。イノシシの「いのっぺちゃん」が自転車に乗って走り、いろんな動物たちにぶつかりそうになりながら(何回かは本当にぶつかります)、自転車の乗り方や交通ルールを学んでいくという物語。このようにまとめると、なんだかしつけ絵本のようですが、教育的要素はそれほど強くありません。むしろ、クレヨンのような画材であたかも殴り書きのように激しく描き出された絵が、実に躍動感にあふれていて、純粋に楽しめます。ゾウやサイ、キリン、ワニ、ゴリラと、登場する動物たちも、かたちが崩れるのもおかまいなしに、ぐいぐいと描かれ、画面からはみ出しそうな勢いです。この絵本を毎日のように読んでいたころのうちの子どもの大のお気に入りは、電車の画面。

ごうごうと おとを たてて、
まんいんでんしゃが とおります。

ここが大好きだったんだよと話をしたら、うちの子どもはまったく覚えていませんでした(^^;)。
▼わたなべしげお さく/かとうちゃこ え『ぶつかる!ぶつかる!』「こどものとも」1995年6月号(通巻471号)、福音館書店、1995年

たむらしげる『きりのカーニバル』

 この絵本は、うちの子どもが小さいときから、もう何十回も読んでいます。「きりふりやまに ひのでを みにいく」「ルネくん」とロボットの「ランスロット」、途中で深い霧に迷い、「ゴンゴ族」と出会います。向こうがまったく見えない霧のなかから現れ、そしてまた消えていく、深い霧というシチュエーションだからこその不思議な邂逅がよいです。「ゴンゴ族」のカーニバルの描写は、ほとんどモノクロのような彩色、そのあとの「きりふりやま」での日の出の場面は鮮やかな黄と緑で描かれており、色の移り変わりがたいへん美しいです。
▼たむらしげる『きりのカーニバル』「こどものとも」1995年12月号(通巻477号)、福音館書店、1995年

おおたけしんろう『ジャリおじさん』

 今日は3冊。「はなの あたまに ひげのある ジャリおじさん」がピンクのワニといっしょに道を歩いていく物語(?)。「ジャリおじさん」はなかなかあやしい格好なのですが、他にも「タイコおじさん」とか「あおい おおおきな かみさん」など、不思議なキャラクターがいろいろ登場。「ジャリおじさん」の「こんにちは」は「ジャリジャリ」で、語尾には必ず「~ジャリ」が付くところは、読んでいるこちらも口癖になりそう。うちの子どももときどき「ジャリジャリ」と口に出しているくらいです。作者の大竹伸朗さんは現代美術作家で、これがはじめての絵本のようです。現代美術だから難しいということはなく、紙を部分的にコラージュして彩色された画面がとてもおもしろい。うちで持っているのは「こどものとも」版ですが、1994年に単行本化されています。この絵本、おすすめです。
▼おおたけしんろう『ジャリおじさん』「こどものとも年中向き」1993年8月号(通巻89号)、福音館書店、1993年

車光照ほか/松岡享子『いつも いっしょ どうぶつとくらすアジアのこどもたち』

 ヒヨコ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、ゾウ、そして水牛と、いろんな動物たちとアジアの子どもたちの生活のなかでのふれあいを写し取った写真絵本。写真は、ユネスコ・アジア文化センター主催の第16回ユネスコ・アジア太平洋写真コンテストの応募作品だそうです。中国、ベトナム、バングラディシュ、パキスタン、モンゴル、インド、タイ、ネパール、インドネシアと、各国の全部で22人の方の写真が掲載されています。遊んでいる写真、働いている写真、寝ている写真、動物とのいろんな関係が描かれています。とても、ほほえましい。なかには、頭のノミをサルに取ってもらっている写真もありました。
▼車光照ほか 写真/松岡享子 文『いつも いっしょ どうぶつとくらすアジアのこどもたち』「こどものとも」1994年2月号(通巻455号)、福音館書店、1994年

平山暉彦『へんてこロボットのぼうけん』

 この絵本もうちの子どもの大のお気に入りで、もう何回も読んでいます。うちの子どもは本当にロボットが好き。子ども部屋の机の下に落ちて忘れられてしまった、ビー玉、画鋲、コンパス、窓の取っ手、積み木、みんなで一つに合体してロボットになり、机の下から明るい世界に脱出するという物語。コンパスが足、ビー玉が目、といったふうにそれぞれを生かしたユーモラスなロボット。絵は割と写実的に描かれていて、アメリカの郊外の住宅地のような舞台設定です。
▼平山暉彦『へんてこロボットのぼうけん』「こどものとも年中向き」2003年3月号(通巻204号)、福音館書店、2003年

秋山あゆ子『くものすおやぶん とりものちょう』

 今日は3冊。この絵本は、虫のまちを舞台にした時代劇。「くものすおやぶん こと おにぐもの あみぞう」と同じくクモの「はえとりの ぴょんきち」が、「かくればね さんきょうだい」という蛾の盗人を相手に大捕物帖です。たくさんの虫たちが江戸時代の格好をして登場します。「かくればね さんきょうだい」にねらわれるのは、「あまい ものなら ありがたや」というアリのお菓子屋さん。設定がおもしろいです。建物の描き方も、なんとなく昔風な構図。うちの子どもによると、「はえとりの ぴょんきち」は、ぽよんとしているところが自分に似ているとか。たしかに、目が大きくて、かわいいです(親バカ^^;)。
▼秋山あゆ子『くものすおやぶん とりものちょう』「こどものとも」2003年2月号(通巻563号)、福音館書店、2003年

長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』

 家族みんなで探して、だいぶ見つけました。さすがに第2弾ともなると、探すのにも慣れてきますね。うちの子どもも自分でどんどん見つけています。とはいえ、まだ分からないものがけっこう残っています。今日、笑ったのは、学校の画面。教室のうしろの壁には、こんな標語が貼ってありました。

今月の目標
さいごまで あきらめずに さがそう

▼長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』ひかりのくに、2004年

小長谷清実/ペテル・ウフナール/ふりやなな『びっくり ぎょうてん』

 今日は2冊。月曜日から日曜日まで、草原にいろいろ不思議な出来事が起きるという物語。空からテーブルやイスが降ってきたり、テーブルに大きな花瓶が生えてきたり。最後の日曜日にはごちそうが次々に空からテーブルに降ってきて、みんなでいっしょにお食事会になります。どの画面にも小さく、ネズミとハリネズミとモグラが書き込まれていて、それが全体のアクセント。うちの子どもは、日曜日に集まってくるお客さんに注目していました。言われて気付いたのですが、よくみると、ふつうの動物たちに混じって、あやしい怪物たちがいっぱいいます。
▼小長谷清実 文/ペテル・ウフナール と ふりやなな 絵『びっくり ぎょうてん』「こどものとも年少版」2004年2月号(通巻323号)、福音館書店、2004年