この絵本、よく見ると、絵が切り貼りでコラージュされているところがあります。英字新聞(?)の切り抜きやメンディングテープのようなものが貼り付けられていました。これがまた、画面のおもしろみを生んでいると思います。
▼二宮由紀子 作/矢島秀之 絵『けしごむくん』ひかりのくに、2002年
長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』
長谷川義史さんの「えさがし絵本」第2弾。今回は、恐竜や海賊、悪代官などを絵のなかから探します。
さあ いろんなひとが いってみたーい ばしょに、
いってみたーい じだいに いろんなものを さがしに いくぞ。
ユニークな描写は前作と変わらず、家族みんなで「どこどこどこー」「みつけた!」と楽しめます。なんとなく前作よりも書き込みの量が若干、減ったような……もしかして長谷川さんもさすがに疲れたのかもしれません。
▼長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』ひかりのくに、2004年
チョン・ハソプ/ハン・ビョンホ『ヘチとかいぶつ』
この絵本の主人公「ヘチ」は太陽の番をする神なので、「ヘチ」と怪物四兄弟の戦いは太陽の奪い合いになっています。鎖でしばられる太陽、四つに切り分けられた太陽、一つにまるめられて投げつけられたり、「ヘチ」の口のなかに入ったりはき出されたり……。いや、よく考えると、この世の終わりのような戦いですね。だからか、この絵本には人間はまったく登場せず、神と怪物の激しい戦いが続きます。
とはいえ、読んでいて恐ろしいということはまったくなく、「ヘチ」も怪物四兄弟もなんとなくユーモラスなところがあって、おもしろい絵本です。
▼チョン・ハソプ 文/ハン・ビョンホ 絵/おおたけ きよみ 訳『ヘチとかいぶつ』アートン、2004年
石津ちひろ/藤枝リュウジ『ぞうからかうぞ』
タイトルのように、上から読んでも下から読んでも同じ文章になる回文を扱った言葉遊び絵本。単語の切れ目が分からなくなったりしますが、意味というより音そのものが楽しいです。「きがはえたえはがき」(木が生えた絵はがき)とか「にじからかじに」(虹から火事に)とか、なかなかシュール。うちの子どもにうけていたのは、「がすでたぶたですか」(ガス出た豚ですか)と「におうおに」(臭う鬼)。どちらも臭そうですね。
▼石津ちひろ 文/藤枝リュウジ 絵『ぞうからかうぞ』リブロポート、1992年
にしかわおさむ『しろくまのペーター』
今日は3冊。この絵本は、白熊の子ども「ペーター」の南の国への旅行を描いたもの。はじめは氷の舟、途中からは大きな貨物船に助けられて、船員たちといっしょに南の国へ向かいます。「ペーター」が南の国にあこがれたきっかけは、ヘリコプターから落ちてきた絵はがき。ちと設定に無理があるような……。とはいえ、「ペーター」と船員たちの交流もほほえましく、楽しい絵本です。
▼にしかわおさむ『しろくまのペーター』教育画劇、2003年
ジャック・デュケノワ『おばけパーティ』
おばけの「アンリ」が友だちのおばけたちを招待したパーティのお話。登場するのは、みんな白いシーツをあたまからかぶったような西洋風のおばけ。「アンリ」が作った飲み物や料理を口にすると、白いからだ(?)の色が変わります。メインディッシュの特別メニューを食べると透明になったりして、なかなかおもしろい。うちの子どもにもうけていました。原書の刊行は1994年。
▼ジャック・デュケノワ/大澤晶 訳『おばけパーティ』ほるぷ出版、1995年
二宮由紀子/矢島秀之『けしごむくん』
今日は2冊。間違ったものの大嫌いな「けしごむくん」が、間違うのはふつうということを学ぶお話。まとめてしまうとこんなストーリーで、ちょっと道徳的ですが、「えんぴつくん」たちや「いろえんぴつくん」たちがたくさん登場して楽しい雰囲気の絵本です。「けしごむくん」は、「しろいろのいろえんぴつくん」の描いた白い絵を当てられなくて、絶対に間違わないことは無理なんだと知ります。真っ白で何が描いてあるのか、ぜんぜん分かりません。でもなあ、「しろいろのいろえんぴつくん」は、ちょっとズルしたんじゃないかなあ(^^;)。
▼二宮由紀子 作/矢島秀之 絵『けしごむくん』ひかりのくに、2002年
瀬田貞二/山本忠敬『ピー、うみへいく』
この絵本はもともとは1958年9月に『こどものとも』の1冊として刊行され、その後、2000年に『こどものとも年中向き』として第2刷が発行されたもの。港の小さな遊覧ボート「ピー」が防波堤の向こうの海に出ていく物語。嵐にまきこまれ「やっぱり港のなかがいいな」となる結末は、なかなか現実的です。人によっては夢がないと言われるかもしれません。それはともかく、波の描写が様式化されていて美しいです。
▼瀬田貞二 作/山本忠敬 絵『ピー、うみへいく』「こどものとも年中向き」2000年5月号(通巻170号)、福音館書店、2000年
林長閑/高田耕二/海野和男ほか『くわがたむし』
今日は2冊。この絵本は「プチしぜんのえほん」傑作シリーズの1冊で、もとは1985年発行を再発行したもの。クワガタムシの生態が多くの写真やイラストで説明されています。うちの子どもは、カブトムシよりクワガタムシの方が好きなようです。
▼林長閑 監修/高田耕二 絵/海野和男ほか 撮影『くわがたむし』学研、1990年
松岡達英『ぼくのロボット大旅行』
今日は3冊。これはおもしろい! 「ぼく」と「ミヨちゃん」の2人が大きなロボットを造り、それに乗って世界旅行に出かけます。1000メートルの深海から北極、アラスカ、アマゾン、オーストラリア、ニューギニア、ボルネオ、アフリカ。それぞれのページにはたくさんの動物や昆虫や植物が描き込まれています。大きなロボットがばんばん海を泳いで空を飛び、しかも画面いっぱいの動物たち、子どもにとっては(いや大人にとっても)たまらない魅力です。巻末のふろくには、登場した動物たちの名前も載っていました。この絵本、おすすめです。
▼松岡達英『ぼくのロボット大旅行』福音館書店、1984年