「あしで かぞえる かずの ほん」とサブタイトルが付いています。数の絵本ですね。1からはじまって10まで数え、そのあとは20、30、……といって100まで数えます。この絵本のおもしろいところは、何の足を使うのかということ。なんと、1は、かたつむりなんです。で、奇数は、かたつむりと他の動物(人間やイヌ)を足して表現しています。いやー、すごいアイデア。あとは昆虫やクモやカニが登場。2桁の数字については、2種類の数え方を描いていて、足し算の考え方もそれとなく示しています。ラストの100は、あっと驚くオチがあって、おもしろい。原初の刊行は2003年。
ところで、奥付をなにげなく見ていて少し驚いたのですが、Printed in China と記されていました。もしかするとコスト削減などの理由から中国で印刷しているのでしょうか。印刷業界も国内の空洞化が起こっているのかなと思いました。じっさい、どうなんでしょう。
▼A・P・セイヤー、J・セイヤー 文/R・セシル 絵/久山太市 訳『いちは かたつむり、じゅうは かに』評論社、2004年
月別アーカイブ: 2004年9月
松谷みよ子/片山健『したきりすずめ』
今日は2冊。日本の伝統的昔話「したきりすずめ」の絵本です。「したきりすずめの おやど」に行くまでが苦労の連続。うーむ、こんなお話だったかな、細かいところは私も忘れていたので、けっこう新鮮でした。昔話とはいっても、いまの子どもたちは接する機会があまりないかもしれませんね。うちの子どもも、「したきりすずめ」のお話ははじめて知ったようでした。それはともかく、この絵本では、「ばあさま」が実に恐いです。もう見るからに意地悪そうで憎たらしく描かれています。で、ラストで「おおきなつづら」から化け物が出てくるシーンも、なかなか強烈。うちの子どもは「ばあさまが退治されてよかったねえ」なんて言ってましたが(^^;)。よく見ると「したきりすずめ」にはりっぱな眉毛が付いています。
▼松谷みよ子/片山健『したきりすずめ』童心社、1995年
長田弘/あべ弘士『あいうえお、だよ』
この絵本、やはり文と絵の相乗作用がすばらしい。うちの子どもは今日は、ゴリラの背中の絵に注目していました。黒く大きくりっぱな背中です。ラストページの「ねえ、みんなも みんなの すきになれる 世界を つくってみない?」という呼びかけには、「好きになれる世界っていったら、それは恐竜の世界でしょう。だって、恐竜に会えるから」なんて言っていました。うーん、そうか。ただ、「世界」という言葉の意味がまだよく分からなかったようです。いや、お父さんもよく分かっていないんだけどね。とはいえ、この絵本は、具体的な何かではなく、「世界」そのもの、より正確には徹頭徹尾ことばとともにある「世界」を目の前に差し出してくれる、そんな気がしました。
▼長田弘/あべ弘士『あいうえお、だよ』角川春樹事務所、2004年
ヘレン・ウォード/ウエイン・アンダースン『ドラゴンマシーン』
思ったのですが、この物語には、ある意味で、少年の成長と通過儀礼を描いているようなところがあります。自分なかの「ドラゴン」を最終的になくしていく、そんなイニシエーションが、あの「ドラゴンマシーン」に乗っての旅だったんじゃないか。「ドラゴン」たちがいたずらばかりしていること、幻想的で実に美しい「ドラゴンマシーン」の飛翔、そして「ドラゴン」がいなくなると同時に自分もからっぽになり「ドラゴンマシーン」の上で地平線を呆然とみている「ジョージ」、家に戻ってからのお祝い、……こうした一連の画面からは、少年が何かを捨てて成長する過程が示されているようにも思えます。とともに、一匹のイヌ(?)をプレゼントされたラストページは、捨て去りながらしかし実は私たちのそばには変わらず「ドラゴン」がいることを暗示しているようで、少し楽しくなります。それにしても、「ジョージ」が作る「ドラゴンマシーン」、かっこいいんだな、これが。うちの子どもは今日は「ドラゴン」たちの足跡に注目していました。意外なところにも付いていました。
▼ヘレン・ウォード 作/ウエイン・アンダースン 絵/岡田淳 訳『ドラゴンマシーン』BL出版、2004年
せなけいこ『おばけのてんぷら』
この絵本の主人公「うさこ」は、本当にとぼけていますね。お小遣いはすべててんぷらに使ってしまうし、メガネは落とすし……。うちの子どもも「草つみ、忘れてるやん」と突っ込んでいました。それにしても、不思議な物語。結局、「うさこ」にとって「おばけ」は存在しなかったわけで、主要な登場人物(?)のやとりがまったくありません。「おばけ」なんだから当たり前かな。
▼せなけいこ『おばけのてんぷら』ポプラ社、1976年
長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』
今日は4冊。最後に残っていたワニ、なかなか見つからなくて、私も子どももお手上げだったのですが、妻が発見しました。さすが。これで、表紙・裏表紙・見返し・本文、すべて見つけました。やったー! なんだか、とてもすっきりした気分です(^^;)。それにしても、この絵本、家族みんなでだいぶ楽しみました。もしかして、第三弾もあるかなー。このあたりは作者の長谷川さんの気力と体力しだいでしょうか。
▼長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』ひかりのくに、2004年
長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』
今日は1冊。なんだか私の知らない間に、妻と子どもでだいぶ見つけてしまったようで、私だけ置いてきぼりになっていました。しくしく。というわけで、すでに見つけたものを教えてもらいながら、一つ一つ確認。表紙と裏表紙の「まちがいさがし ちゃう ちゃう ちゃう」も解決。残るは「ワニ」だけ。これがなかなか見つかりません。うーむ、もう少しがんばってみよう。
▼長谷川義史『どこどこどこ いってみたーい』ひかりのくに、2004年
Google ニュース
Google ニュース日本版がはじまりましたね。まだベータ版ですが、新聞社や放送局などいろんな報道機関の計610サイトから最新ニュースを収集・検索できるそうです。過去 30 日間に発表された記事が対象になるとのこと。
ジョナサン・アレン『メチャクサ』
今日は1冊。「メチャクサ」のくさいくさい臭いにやられて3回もダウンするオオカミ、色が変わったり体がぐにゃぐにゃ、へなへなになったり、マンガのような描写で笑ってしまいます。あらためて考えてみると、「メチャクサ」はけっこうピースフル。オオカミが襲ってきてもまったく取りあいませんし、くさい臭いに引きつけられたハエ、それを食べるカエルや小鳥をいつも自分の体に住まわせています。臭いはともかく、みんなと楽しく共生しているところは、なかなかよい感じです。考えてみれば生き物はそもそも臭いを発するものであって、くさいのは当たり前と言えるかもしれませんね。
▼ジョナサン・アレン/岩城敏之 訳『メチャクサ』アスラン書房、1993年