「絵本を知る」カテゴリーアーカイブ

「こどもの本ブックフェア2005」

 京都新聞、7月24日付けの記事、京都新聞 電子版:児童書や絵本など10万冊一堂に
左京でブックフェア2005
。児童図書や絵本など10万冊を展示・販売するイベントです。掲載されている写真を見ても、絵本がずらりと平積みになっており、かなり大規模なブックフェアのようですね。

 主催しているトーハンのサイト、TOHAN Web Siteのなかに、案内がありました。TOHAN Web Site/TOHAN NEWS/2005年6月3日:2005こどもの本ブックフェア全国4会場で開催~子どもたちの興味や思考力を引き出す多彩な展示やイベントを展開~です。

 説明によると、今年で7回目を迎えるイベントだそうで、福岡、熊本、京都、岡山で開催とのこと。今年は、なんと、飯野和好さんの「ねぎぼうずのあさたろう」をメインキャラクターにしたのだそうで、会場には飯野和好コーナー「飯野和好わぁるど」を設置、原画風パネル展示や飯野さんのおはなし会とサイン会も開催。うーむ、これはちょっと見てみたい。

 あと、柳田邦男さんの「大人にすすめる絵本」や食育、戦後60年をテーマにしたコーナーもあるそうです。

 来場者が多くて人混みで大変かもしれませんが、子どもと一緒に遊びに行くとけっこう楽しいかもしれませんね。

紙芝居の作者を探している宮城県図書館

 河北新報、7月20日付けの記事、河北新報ニュース 紙芝居描いたのは誰? 宮城県図書館所蔵の約5万枚

 宮城県図書館には約5万3000枚の街頭紙芝居が所蔵されており、東日本最大級のコレクション。そのうち、作者が明らかになっているのは、約1300枚分のみとのこと。それ以外の作者は、ペンネームが分かっても、本名の分からないものが多いそうです。

 この記事ではじめて知ったのですが、紙芝居は、絵描き、着色、せりふが別人による共作の場合が多く、しかも、一人の作家が様々なペンネームを使い分けていることもあるそうです。なんとなくですが、紙芝居は、文字通り路上で作られ楽しまれるもの。つまり、規格された商品とはまた違った性格を持っているように感じました。

 と同時に、この紙芝居の文化がまさに路上においては消えかかっていることも確かかと思います。宮城県図書館所蔵の紙芝居は、宮城県内最後の紙芝居師である井上籐吉さんが寄贈されたものが中心だそうです。井上さんは現在、82歳。現役で街頭紙芝居を行っている方は、ほとんどいらっしゃらないのかもしれません。

 とはいえ、記事に掲載されている写真を見ても、たいへん個性的でおもしろそうな内容。当時の社会情勢を強く反映したものも多いそうです。市井の貴重なサブカルチャーとしても、紙芝居の作者の方々に光が当たるのはとても大事なんじゃないかと思いました。

 宮城県図書館のウェブサイトは、宮城県/図書館/表紙

長谷川義史さんの「目標」

 朝日新聞関西の7月20日付けの「旬の顔」、asahi.com: 絵本作家 長谷川義史さん(44)-旬の顔-関西

 これはおもしろい! 長谷川義史さんがこれまでと現在を語られています。長谷川さんが描かれた絵本、最近とても多いと思っていたら、去年は10冊、今年もすでに6冊、刊行されているそうです。うーむ、すごいハイペース。

 とはいえ、絵本を描き始めた当初はなかなか、うまくいかなかったとのこと。中川ひろたかさんの文に絵を描く仕事が一つの転機になったそうです。

背景を細部まで描きこみ、文にだじゃれをまき散らし、本の見返しまで埋め尽くす。持ち前のサービス精神が本領を発揮し始めた。

 うーむ、なるほどなあ。「どこどこどこ」の2冊なんて、超絶的なものすごい描き込みですよね。

 子どものころは絵本に縁がなく、読み聞かせなんて「気色悪い」と思っていたのも、おもしろい。小さいころ絵本に接していない方がむしろ、自由に絵本を描けるのかも。

 掲載されている写真のワークショップの様子も、実に楽しそうでよいです。

長新太さんと安西水丸さんの原画展

 朝日新聞地域情報、7月20日付けの記事、asahi.com : マイタウン静岡 – 朝日新聞地域情報:長新太・安西水丸両氏の原画展

 長新太さんと安西水丸さんの原画展が静岡県伊東市八幡野の「NPO法人アートの里 伊豆高原絵本の家」で31日まで開催されています。展示されているのは長新太さんの『おとしものしちゃった』と安西水丸さんの『あげたおはなし』の計24点で、両方とも中山千夏さんが物語を書いた絵本とのこと。中山さんのトークイベントもあるそうです。

 「NPO法人アートの里 伊豆高原絵本の家」のサイトは、伊豆高原 絵本の家。写真を見る限りでは、とてもアットホームで居心地がよさそう。

山中恒さんの「原点」

 読売新聞、7月18日付けの記事、大人なんか信用しないと誓った : あのころ : 育む : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)。「児童読み物作家」、山中恒さんの「原点」が語られています。

 戦中から戦後にかけての社会全体の転換のなかで、大人は信用しないと誓ったことが「原点」。その上で、山中さんが「児童読み物」を書き続けたモチーフがたいへん印象的です。

価値観は時代とともに変わる。それは嫌になるほど味わった。それだけに、あらゆる時代の子どもをドキドキさせるような作品を書きたい。それが願いでした。

 信用できない大人なんか関係ない、そんなものには左右されない強さのある物語……。

 あと、気になったのは戦中の絵本のこと。山中さんは、軍国主義を賛美する絵本に没頭したそうです。絵本というのは、それを取り巻く社会に強く影響を受ける表現形態なんだなと思います。

ひたすら穴を掘る「遊びのプログラム」 愛知こどもの国

 7月17日付けの朝日新聞の地域情報の記事、asahi.com : マイタウン愛知 – 朝日新聞地域情報:「無意味なこと」楽しもう/こどもの国

 子どもたちが2日間、ひたすら穴を掘り続ける「遊びのプログラム」を、幡豆町の愛知こどもの国(財団法人愛知公園協会)が企画している。こどもの国で開くのは今年が2回目で、すでに定員はいっぱいになった。

 これはおもしろい! 8月23日と24日の2日間、ただひたすら穴を掘り続けるというプログラム。キャンプ場に宿泊し、食事と睡眠時間以外は、ずっと掘り続けるとのこと。

 ねらいは、意味のあることに追い立てられている子どもたちに、「全く無意味なこと」を楽しんでもらうこと。アイデアの元は、谷川俊太郎さんと和田誠さんの絵本『あな』。

 なるほどねえ。『あな』、とてもおもしろい絵本です。哲学的で寓意的な物語に、和田さんのシンプルな描写。いろいろ考えてしまうような深みがあって、なおかつ軽やかなんですね。

 というか、「無意味なこと」を楽しむというのは、けっこう大事かなと思います。意味あることで埋め尽くされた日常にとって、何かエアポケットのようなもの、まさに「あな」が必要。

 2日間掘り続けると、穴は直径2メートル、深さ1.5メートルくらいになるそうです。絵本の『あな』のように、穴のなかに入ることができますね。

 最後には、掘った穴を埋め戻して解散とのこと。無意味さが徹底していて、なんだか爽快。

 愛知こどもの国のサイトは、愛知こどもの国。今回のプログラムについて、とくに説明は見あたりませんでした。

「和田誠の絵本の仕事」ふくやま美術館

 7月16日付けの中国新聞の記事、中国新聞・地域ニュース:絵本原画175点 和田誠の世界

 和田誠さんの絵本原画展。7月16日から9月25日まで、ふくやま美術館で開催。『あめだまをたべたライオン』などの原画175点が展示。8月27日には安西水丸さんの講演もあるそうです。

 ふくやま美術館公式ホームページ和田誠の絵本の仕事に詳しい説明が載っています。『あな』や『ねこのシジミ』の原画も展示されるんですね。見てみたいなあ。

親と子の絵本ワールド・イン・いしかわ2005

 北國新聞社の記事、きょうのニュース:夢の1万8千冊ずらり 絵本ワールド、きょう16日開幕 金沢と鳥越

「親と子の絵本ワールド・イン・いしかわ2005」(同実行委員会、北國新聞社主催 )は十六日、金沢市文化ホールと白山市鳥越小の二会場で開幕する。「絵本のまなざし、 つながる世界」をテーマに、絵本や児童図書の展示即売、絵本が育てる心についての講演 会などを三日間にわたって繰り広げる。

 7月16日から18日の開催。サイトは絵本ワールド・イン・いしかわ

 黒井健さんや長谷川摂子さん、佐々木正美さんの講演、松居直さんも加わってのパネルディスカッションと盛り沢山の内容。石川県に住んでいたらぜひ参加したいくらい。

 子どもの読書推進会議の説明によると、「絵本ワールド」は、2000年の「子ども読書年」に民間の読書関連14団体で結成された「子どもの読書推進会議」が主催している事業。絵本ワールドに記されていますが、石川県の他に全部で13地域で開催予定だそうです。

アンソニー・ブラウンさんの絵本原画展 円山川公苑美術館

 7月15日付けの神戸新聞の記事、神戸新聞ニュース:但馬/2005.07.15/大人も楽しめる83点 英国の人気作家 豊岡で絵本原画展

 会期は9月11日まで。「ウィリー」シリーズなど、13作品の83点を展示。最新作の『おんぶはこりごり』の原画もあるそうです。

 ブラウンさんの原画展は、日本では2003年以来2年ぶり。あまり開催されていなかったんですね。

 美術館のサイトは、円山川公苑美術館。今回の企画展についてとくに説明はないようです。

 ブラウンさんの絵本は視覚的な仕掛けがたくさんあって、原画展はとてもおもしろいんじゃないかと思います。

こどものとも50周年記念ブログを企画・制作、Dcube Co., Ltd.(株式会社ディキューブ)

 ネットをさまよっていて偶然見つけたのですが、こどものとも50周年記念ブログの企画・制作は、Dcube Co., Ltd.(株式会社ディキューブ)という会社が担当されたそうです。ディキューブのブログ、Dcublogにプレスリリースも含めた記事、Dcublog: 福音館書店「こどものとも50周年記念ブログ」をリリースしましたが掲載されていました。

 会社・事業案内 Dcube Co., Ltd.を見てみると、ディキューブは書籍の印刷を中心とした萩原印刷の子会社で、出版社のサイト構築、ネット上での出版社の事業展開や販売促進のサポートが主要業務のようです。

 それで、こどものとも50周年記念ブログですが、上記のプレスリリースでは、今回のウェブログの記事管理の特徴についても説明されています。トップページに時系列で記事を並べるのではなく、カテゴリー別の最新記事1件を載せるというやり方です。これは、ウェブログの活用法としては、なかなか新鮮で、おもしろい試みと思います。

 福音館書店で担当されている販売促進部宣伝企画課の方のコメントも掲載されていました。少し引用します。

「こどものとも」バックナンバー全点の紹介を、1週間毎に少しずつ公開していくという今回の企画は、図鑑や百科事典を週刊誌として少しずつ刊行していくというかつて流行った出版形態を、ホームページでやってみたらどうなるか、という試みだったわけですが、ブログを利用することで、読者からの反応をビビッドに受けとめることができ、非常に刺激的です。

 週刊誌スタイルの出版形態をウェブサイトでやってみるとのこと、なるほどなあと納得しました。このやり方、他の出版社のサイトでもウェブログの導入を促すかもしれませんね。

 ただ、ちょっと気になるのは、このまま各カテゴリーの記事がどんどん増えていったとき、過去記事へのアクセスがきちんと確保されるかどうか。1年間限定、50回分なので大丈夫なのかもしれませんが、たとえば「こどものとも」バックナンバー 過去の話題のページだと、過去のバックナンバーの紹介がどんどんページ下部に下がっていきます。なんとなくですが、更新を重ねるごとにアクセスしずらくなるように思いました。

 それと、たとえば刊行年や絵本作家名をキーにして、該当するバックナンバーがリスト化されていると便利かなという気もします。もちろん、Movable Type の標準機能で記事検索が可能なので問題ないとも言えますが、とはいえ、何か一工夫あると、もっとよいような……。