安野光雅の世界展 広島市 福屋八丁堀本店

 中国新聞、8月4日付けの記事、中国新聞・地域ニュース:絵本の世界 広島で安野光雅展。広島市中区の百貨店、福屋八丁堀本店で、安野光雅さんの絵本原画展「安野光雅の世界展」が開催されているそうです。会期は8月16日まで。

 これは、アンデルセン生誕二百年にちなんだ企画で、津和野町立安野光雅美術館の所蔵作品から百点を展示しているとのこと。デビュー作の『ふしぎなえ』から昨年刊行された『旅の絵本Ⅵ』まで出品されているそうです。

 福屋というのは広島では老舗の百貨店のようですね。インターネットショッピングのサイトは福屋 – インターネットショッピング福屋八丁堀本店催しご案内に今回の原画展の情報も載っています。

 それから、島根県の津和野町立安野光雅美術館のサイトは安野光雅美術館安野光雅美術館 行事予定の「館外展のお知らせ」のところを見ると、広島以外でも、夏から秋にかけて数カ所で原画展が開催されるようです。

 それはともかく、今回の記事ではじめて知ったのですが、安野さんは80歳なんですね。そんなに高齢だとは思っていませんでした。活発に作品を発表されていますし、年齢を知って少しびっくりしました。

第11回紙芝居サミット 青少年宇宙科学館

 埼玉新聞、8月2日付けの記事、実演発表通じ交流 200人集い紙芝居サミット 浦和区。7月30、31日の二日間、さいたま市浦和区駒場の青少年宇宙科学館で、「第11回紙芝居サミット」が開催されたそうです。紙芝居グループ、朗読ボランティア、児童教育・福祉関係者が集まり、内容は講演や紙芝居の実演発表など。

 韓国やインドネシアから参加された方もいたそうです。韓国の蔡京希さんは、女子大学の日本語教育の一環として学生に紙芝居を教えているとのこと。「韓国にはない日本の素敵な文化」との言葉が引用されていました。

 なるほどなあ。どこかで読んだことがありますが、紙芝居は日本独自の文化だそうです。日本国内ではだいぶ衰退してきたと言えるでしょうが、むしろ、海外では注目されつつあるのかもしれませんね。

紙芝居の伝承と発展 駒ヶ根高原美術館

 長野日報、8月2日付けの記事、長野日報 (Nagano Nippo Web) – ニュース – 童謡の世界を絵に 駒ケ根高原美術館。長野県駒ヶ根市の駒ヶ根高原美術館で、学校の美術部に所属する中学生を対象に、童謡や小説をモチーフにした紙芝居制作が行われたそうです。約50人が参加。

 地元の女性合唱団が「春よ来い」「七つの子」「ふるさと」など十数曲を歌い、これを聴きイメージをふくらませて、9つの班に分かれ共同制作。聴いたばかりの童謡を1曲選び、歌詞の1番や2番や段落ごとに1枚の絵を描いて、それを紙芝居にまとめたそうです。

 これ、非常におもしろいワークショップですね。どんな紙芝居になるのかな。ストーリーも抽象化されたかなりユニークな作品が出来上がるのではないでしょうか。また、出来上がった紙芝居を上演するのも、楽しいかもしれませんね。モチーフに使った童謡を流しながら、あるいは合唱付きの紙芝居になるかも。

 この催しでは、さらに、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』や『杜子春』の紙芝居作りも行うそうです。こちらもおもしろい。一見、紙芝居のモチーフにはなりにくいものであるがゆえに、独創的な作品が出来るのかもしれませんね。

 駒ヶ根高原美術館のサイトは、駒ヶ根高原美術館。今回の催しは、駒ヶ根高原美術館「NPOホットコミュニティーサポート」に情報が掲載されています。NPO法人による事業なんですね。過去にも、なかなか意欲的な事業を幾つもされているようです。

アンソニー・ブラウン『こうえんのさんぽ』

 この絵本、どうやら先日読んだ、アンソニー・ブラウンさんの『こうえんで…4つのお話』の元になったもののようです。登場人物も基本的なストーリーも同じ。うちの子どもも、冒頭の文章を少し読んで、すぐに気が付きました。「スマッジ」という女の子の名前でぴんときたようです。

 『こうえんで…4つのお話』の原書の刊行が1998年で、この『こうえんのさんぽ』の原書は1977年の刊行。およそ20年ぶりに描き直したと言っていいでしょう。

 ストーリーはおおむね同じなのですが、描写はまったく異なります。なにより目に付くのは、登場人物が人間であること。アンソニー・ブラウンさんの絵本と言えば、ゴリラがトレードマークですよね。『こうえんで…4つのお話』もそうでした。これに対し、『こうえんのさんぽ』ではごく普通の人間が描かれています。ゴリラのキャラクターを発見する前の絵本と言えそうです。

 それから、『こうえんで…4つのお話』は、同じ公園での出来事が4人の登場人物それぞれの視点から語られるという非常に多元的で重層的なつくりになっていましたが、『こうえんのさんぽ』はごく普通の直線的なストーリー展開になっています。

 そうであるがゆえに、『こうえんで…4つのお話』に見られたような、4人の登場人物それぞれの情感の描写は、相当に希薄です。もちろん、「チャールズ」と「スマッジ」の出会いと交流もきちんと描かれているのですが、しかし、『こうえんで…4つのお話』ほどエモーショナルではありません。

 また、アンソニー・ブラウンさん独特のスーパーリアリズムもまだ見られません。毛の一本一本まで描いていくという過剰なまでの描写はまだなく、割と平板な描き方になっていると思います。ほとんど同じ構図でありながら、描き方がぜんぜん違っていたりします。あえて言うなら、「チャールズ」と「スマッジ」の髪の毛の描き方に少しだけ、その後のリアリズムの片鱗が表れているくらいでしょうか。

 その一方で、その後のブラウンさんの絵本と共通する部分もあります。それは、ディテールの遊び。『こうえんで…4つのお話』ほどではありませんが、『こうえんのさんぽ』にも画面のあちこちに、おもしろい仕掛けがたくさんあります。うちの子どももかなり楽しんでいました。こういう細部へのこだわりは、ブラウンさんがずっと以前から持っていたものなんですね。

 なんとなく思ったのですが、20年たって描き直したというのは、アンソニー・ブラウンさんがこの物語とモチーフにかなりの思い入れを持っていたということかもしれません。社会階層をまったく異にする二人が、あるとき、ある場所で偶然に出会い、心を通わせる……。

 2冊の絵本ともラストページは同じです。「チャールズ」がつんであげた花を、家に帰った「スマッジ」が窓辺に飾ります。その花の美しさは、二人の出会いの掛け替えのなさを表していると言えるのかもしれません。

 原書”A Walk in the Park”の刊行は1977年。

▼アンソニー・ブラウン/谷川俊太郎 訳『こうえんのさんぽ』佑学社、1980年、[印刷・製本:共同印刷株式会社]

田島征彦さんの個展 京都府八幡市の松花堂美術館

 京都新聞、8月1日付けの記事、京都新聞 電子版:田島さんの絵本原画展
八幡・松花堂美術館 2日から

 田島征彦さんの絵本原画を含む個展が、京都府八幡市の松花堂美術館で2日から始まるそうです。代表作『じごくのそうべい』、『祇園祭』、『みみずのかんたろう』の原画や型紙、版画など、約60点を展示するとのこと。田島さんの絵本制作の技法は型絵染というそうで、型紙を布にのせて染めるやり方。その詳細が分かる展示になるのかなと思います。これは、ちょっと見てみたいですね。

 松花堂美術館のサイトは、■□□温かタウン八幡□□■という財団法人やわた市民文化事業団のサイトのなかに、八幡市文化センターと一緒に掲載されています。■□□温かタウン八幡-松花堂弁当の起源□□■という記事もありました。はじめて知ったのですが、なかなか、おもしろいです。美術館は松花堂庭園のなかにあって、庭園内では松花堂弁当も食べられるそうです。美術館も、 松花堂弁当の元になった松花堂昭乗ゆかりの美術品を展示するのが基本のようです。

 田島さんの企画展については、■□□温かタウン八幡-主な催物□□■に載っています。会期は9月19日まで。8月7日には、田島さんと桂文我さんによる講演会「そうべえ こぼれ話」もあるそうです。

沢田俊子さん、『もじゃもじゃペーター』との出会い

 産経新聞、読書欄、7月31日の記事、Sankei Web 読書 【この本と出会った】童話作家・沢田俊子 『もじゃもじゃペーター』(07/31 05:00)。童話作家の沢田俊子さんが、ハインリッヒ・ホフマン『もじゃもじゃペーター』との出会いを語られています。

 『もじゃもじゃペーター』、実は私はまだ読んだことがありません。いろんな方が言及されていますし、一度は読みたいと思っているのですが、(沢田さんも語られているとおり)かなり強烈な内容なんですね。私一人ならいいんですが、子どもと一緒に読めるかなあという疑問が少し。まあ、あまり気にする必要はないかなとは思っています。

 それはともかく、沢田さんのお話で非常に印象深いのは、絵本を買ってくれていたお母さんのエピソード。これはぜひ読んでみて下さい。戦後の社会において、たとえ貧しいとしても、可能なかぎり子どもに絵本を与える、ほんの少しでも文化に触れさせる。沢田さんのお母さんの愛情が感じられるように思いました。

 沢田俊子さんのサイトは、沢田俊子のホームページ。日記や童話作家になるまでの経緯なども掲載されています。

絵本カーニバル2005山都町

 熊本日日新聞、7月30日付けの記事、くまにち.コム:一般:絵本カーニバル 400冊の“絵本の森”楽しんで 山都町で開幕

 熊本県上益城郡山都町大平の「道の駅清和文楽邑」で「絵本カーニバル2005山都町」が始まったそうです。会期は7月30日から8月7日まで。約400冊の絵本をキーワードやカテゴリーで分けて展示した「絵本の森」が設置され、自由に手に取れるようになっているとのこと。他にもさまざまなワークショップや講演会が予定されるそうです。

 「絵本カーニバル」というと、たしか去年は東京で開催されていました。そのサイトは、絵本カーニバル。左記のサイトでも、去年の「絵本カーニバル2004」の案内しか掲載されていないようですし、今年は東京ではやらずに地方開催のみなのかな。

 それはともかく、「絵本カーニバル2005山都町」の会場は、なんと道の駅。うーむ、これはおもしろい。いや、道の駅、私もけっこう好きなのですが、農産物の直売やレストランなどは馴染みがあるものの、「道の駅」で絵本のイベントというのは、かなり珍しいのではないかと思います。この「道の駅清和文楽邑」の説明は、道の駅 清和文楽邑にあります。九州では唯一の専用劇場文楽館があり、江戸時代から伝わる文楽人形芝居が上演されているそうです。文化施設としての性格もあるんですね。

 それから、もう一つ気になったのは、このイベント、九州大学の研究機関・ユーザーサイエンス機構の「子どもプロジェクト部門」が主催していること。「九州大学ユーザーサイエンス機構」のサイトは、Kyushu University User Science Institute。説明を読んでもいまいち分かりにくいのですが、どうやら、一般の人びと(ユーザー)の感覚により即した研究や技術開発を進めていこうという主旨のようです。

 えー、上記のまとめ、あまり自信ありません、すいません。だって、サイトを見ても、何がやりたいのか分かりにくいです。なんだか、このユーザーサイエンス機構のサイトそれ自体、もっとユーザーの感覚に即してほしいです(なんてね)。

 で、このユーザーサイエンス機構のプロジェクトの一つに「子どもプロジェクト」があります。九州大学 ユーザーサイエンス機構 USI | プロジェクトの説明によると、「子どもをユーザーとする育成の場、ミュージアム、病院など、子どもの問題の総合的な研究開発」だそうです。

 この「子どもプロジェクト」のウェブログは、Kodomo Project。まだあまり記事がありませんが、いろいろ企画が動いているみたいです。8月24日から9月4日まで九州大学で開催される企画では、1000冊の絵本による「絵本カーニバル2005in 福岡」も同時開催されるそうです。「地球(テラ)へ―子どもたちと」インゴ・ギュンター展 地球108の顔、これが本来の企画ですが、なかなか面白そうですね。

「赤ちゃん絵本を考える」を作成:京庫連

 京都新聞、7月29日付けの記事、京都新聞 電子版:幼児の絵本 350冊紹介 京庫連、冊子を作製 研究成果まとめる

 京都府内の「子ども文庫」のネットワーク「都家庭文庫地域文庫連絡会」(京庫連)が、2歳以下の幼児向け絵本を紹介する冊子「赤ちゃん絵本を考える」を制作されたそうです。絵本ボランティアや図書館司書の方が2年前から毎月一度、絵本の勉強会を開いており、その成果として、約350冊の「赤ちゃん絵本」を15のジャンルに分けて意見や感想をまとめたものとのこと。

 非常に素晴らしいと思うのは、実際に読み聞かせをした経験をふまえて、率直に評価を記しているところ。絵本ガイドというと、基本的にはポジティヴな意見しか載らないと言えますが、この冊子は違います。問題があるところ、おかしいところは、厳しく指摘しているそうです。

 赤ちゃん絵本やその読み聞かせがある種ブームになっているなか、こういう取り組みはとても重要なのではないかと思います。できたら私もぜひ読んでみたいです。

「韓国絵本展」 逗子文化プラザホール

 在日本大韓民国民団中央本部、民団新聞、7月27日付けの記事、mindan:夏休みこどもフェスティバル「韓国絵本展」

 アジア絵本ライブラリーを開設している絵本作家の和歌山静子さんが、今年6月に開館した逗子文化プラザホールで、「韓国絵本展」を開かれるそうです。韓国の絵本に加えて、日本の絵本の韓国語版など、123タイトル。記事では、和歌山さんがアジアの絵本を集めるに至った経緯やこれまでの取り組みについても詳しく記されています。

 和歌山さんのアジア絵本ライブラリーのサイトは、和歌山静子 アジア絵本ライブラリー。韓国、中国、台湾、日本の絵本が合計412タイトル、集められており、貸し出しも行っているとのこと。

 今回の絵本展については、逗子文化プラザホール逗子文化プラザホール>催しの案内(自主事業)/8月に情報が載っていました。「世界中のこどもたちが 103」絵本原画展と同時開催です。8月11日から20日まで。

 去年、アートン韓国の絵本のシリーズから何冊か読んだのですが、非常におもしろかったです。物語はもちろんですが、絵がとても魅力的。伝統を感じさせると同時にかなりラディカルで、すごいです。

外国絵本のキャラクターを商品化する動きが加速

 産経新聞、7月27日付けの記事、Sankei Web 産経夕刊 【暮らしと経済】いま、はやりもの 外国絵本キャラクター(07/27 15:00)。リードを引用します。

外国の子供向け絵本に登場するキャラクターを商品化する動きが加速している。豊かな色彩や物語のおもしろさに裏打ちされ、子供や親世代、さらには若い女性が注目したのがきっかけで、商品群がどんどん拡大している。グッズ人気が絵本の知名度を押し上げるなど相乗効果も手伝い、今後も新しいキャラクター発掘競争が激化しそうだ。

 具体例として挙げられているのは、「リサとガスパール」シリーズ、「ぞうのエルマー」シリーズ、『ラチとらいおん』。「リサとガスパール」の場合、関連商品を扱う企業は36社、バッグに子供服に食器類など、様々な商品が開発されているそうです。「ぞうのエルマー」の商品化も今年中に30社に拡大するとのこと。うーむ、すごいですね。このあたりにも、近年の絵本ブームが現れているような気がします。

 記事にも書かれていますが、こういう商品を購入するのは、もちろん子どもではなく、若い女性。なんとなく、おしゃれで品のよい小物として消費されているような印象を受けるのですが、どんなものでしょう。

 あるいは、これも記事に書かれていますが、子どものときに読んだ絵本のキャラクターを懐かしむということもあるでしょうね。それだけ長期にわたって受け継がれてきた絵本ですから、キャラクターの力に普遍性があると言えるかもしれません。

 純日本製の絵本で、こんなふうに商品化が進んでいるものは何かあるのでしょうか。私はちょっと思い浮かばないのですが、なんとなく海外絵本に片寄った現象のような気もします。