「絵本を知る」カテゴリーアーカイブ

五味太郎さんデザインの廣榮堂「元祖きびだんご」

 先日、岡山に出張したですが、岡山駅でおみやげを探していて見つけたのが廣榮堂の「元祖きびだんご」。店員さんの話では、岡山で数ある「きびだんご」のなかでも廣榮堂のが一番とのこと。買って帰って家族みんなで食べました。けっこうおいしかったです。それはともかく、注目はパッケージ。なんと五味太郎さんオリジナルのパッケージデザインなんですね。

 廣榮堂のウェブサイトはこちら。安政3年(1856年)創業とのこと。「元祖きびだんご」のページを見ると、いろんな種類があります。そのすべてが五味さんオリジナルのパッケージ。「桃太郎」の登場人物をモチーフにして、それ以外のキャラクターも加えられています。

 箱のなかに入っている説明書きのしおりや、一つ一つのきびだんごの包み紙にも、五味さんのイラストをあしらったオリジナルのデザイン。昔話の自由で楽しい雰囲気が出ていて、「きびたんご」という商品によく合っていると思います。

 ウェブサイトでは五味太郎さんと廣榮堂代表取締役の武田さんの対談も載っていました。五味太郎さんに依頼した経緯なども触れられています。

 五味太郎さんのお話でなるほどなと思った点が2つ。1つは子どものまわりにあるものこそデザインをよく考えないといけないということ。この点で日本はかなり遅れていていい加減であることが指摘されています。一例として通信簿のデザインが挙げられていました。うーむ、これはたしかにそうですね。子どもにとって、あたかも自分のすべてを数値化してしまうような、とんでもなく乱暴なもの。そのデザインをほんのちょっとでも神経を使って丁寧に作れば、違った世界が開けるんじゃないかということ。

 もう1つは、おとぎ話の同時代性を図るということ。五味さんのデザインでは「桃太郎」のもともとのキャラクター以外も取り入れられているのですが、その理由が説明されています。おとぎ話はそもそも語り継がれるものであり、したがって、そこでは常に新しい要素がミックスされ、いつも同時代であり続ける。逆に言えば、おとぎ話を「名作」として固定化した時点で、それはもはや「おとぎ話」ではなくなっており、その本来のポテンシャルを喪失してしまうということかなと思いました。読み継がれる、語り継がれる、というのは、すでに出来上がったものをそのまま受け継ぐことではなく、常に同時代においてアレンジし再生していくこと。

 なんと、廣榮堂にはこのパッケージに対してファンレターが届いているそうです。すごいですね。

『SKYWARD』のきたむらさとしさん関連記事

 先日(といってもだいぶ以前ですが)JALの飛行機に乗ったとき、機内誌『SKYWARD』の特集記事のなかに、偶然、ロンドン在住の絵本作家、きたむらさとしさんについての記述を見つけました。『SKYWARD』2004年11月号の特集「パブとバスと本の倫敦」です。執筆されているのは、アメリカ文学研究者で翻訳家の柴田元幸さん。

 記事の内容は、柴田さんがロンドン在住の作家や古本屋や古本市、個性的な書店などを訪ねるというもの。おもしろそうな書店が幾つか紹介されています。写真も豊富で、註もあり、一番最後のページには簡単な地図も付いていました。なんだか実際に行ってみたくなります。

 で、その記事のなかで、児童書専門店「ザ・ライオン・アンド・ユニコーン・ブックショップ」と絵本の出版社「アンデルセン・プレス」が取り上げられていました。

 「ザ・ライオン・アンド・ユニコーン・ブックショップ」では、きたむらさとしさんがトレードマークのイラストを描いているそうです。その理由についても少し書かれていました。柴田さんが訪れたときは、ちょうど、きたむらさんが本にサインをしに来ていたとか。

 そして「アンデルセン・プレス」では、社長のクラウス・フルーガーさんに話をうかがっています。「アンデルセン・プレス」は、80年代に当時まだ無名だったきたむらさんを、ハーウィン・オラムさん原作の『ぼくはおこった』の絵に起用した出版社。いわばきたむらさんを発掘したのがクラウス・フルーガーさんということになります。

 フルーガーさんの眉毛はとても太く濃いのですが、なんと、きたむらさんの絵本のなかにこのフルーガーさんをモデルにした紳士がときおり登場するとのこと。きたむらさんの『キョウリュウがほしい』の一部が小さく載っていました。たしかによく似ています。なかなか、おもしろいです。

 きたむらさんを起用したときの経緯や「アンデルセン・プレス」の出版方針についてもごく簡単に触れられていました。なんとくロンドンの絵本文化の一端がほんの少しですが、かいま見えるような気がします。

 今回の特集は全体で13ページとそんなに長くありませんが、本好きな人にはとても興味深いと思います。おすすめです。

大分空港の書店

 先日(といってもかなり以前ですが)大分空港を利用したのですが、そこの2階の書店がなかなかおもしろい品揃えです。

 書店とはいっても、本当に小さくて、売店と言った方がよいかもしれません。本棚も小さいものが4つか5つくらいで、あとは雑誌の棚と平積みの棚があるくらい。

 ところが、よく見ると絵本と絵本に関連する本が妙に充実しています。雑誌やマンガ雑誌や文庫やベストセラーといった定番に混じって、さりげなく絵本が置いてあります。しかも、そのセレクトがかなり確信的。

 たとえば、子ども向けの雑誌が置いてある棚には、一番手前に荒井良二さんの新刊が2冊と中川ひろたかさんの絵本が、表紙を表に出して並べてあります。文庫本の棚の一番上には、100%ORANGEさんの絵本や荒井さんの絵本が複数冊、これも表紙を表に向けて置いてありました。さらには、絵本のガイドブックも、日本子どもの本研究会絵本研究部『えほん 子どものための300冊』(一声社)があったり、なんとマンガ雑誌の横には絵本ナビの『幸せの絵本』が平積みになっています。その横には『うずらちゃんのかくれんぼ』。

 もっとよく探すと、他にも発見がありそうです。いや、空港の小さな書店とはとても思えません。たぶん選書を担当されている方がかなり意識的に棚を作っているのではないかと思います。ちょっと注目かもしれません。

映画の『11ぴきのねことあほうどり』

 以前、映画の『11ぴきのねこ』を見ましたが、先日(といってもだいぶ前ですが)その続編『11ぴきのねことあほうどり』を見ました。今回も地域の映画鑑賞会の上映で、うちの子どもといっしょに見に行きました。

 1986年の作品で上映時間は90分。大まかなストーリーは原作通りですが、いろいろエピソードが追加されています。たとえば「あほうどり」の島に到着する前に山猫の島に不時着してそこで山猫とやりあったり、「あほうどり」の島に着いてからも原作にはないエピソードがあり、島を離れるところまで描かれています。「11ぴきのねこ」の一匹と「あほうどり」の一羽のロマンス(!)まであって、ちょっとびっくり。

 前作では「とらねこたいしょう」の声を郷ひろみが担当していて驚いたのですが、今回は郷ひろみではなく、プロの声優さんが声をあてていました。その代わりというか、ネコと恋に落ちる「あほうどり」の声を三田寛子さんが担当していました。いや、これまたびっくり。でも、割と合っていたと思います。

 今回もうちの子どもは大満足。私自身は、どちらかといえば前作の『11ぴきのねこ』の方がよかったかな。なんというか、前作の方が11ぴきの連帯感がよく出ていたような気がしました。とはいえ、こちらも、(もちろん子ども向けですが)アニメ映画としては比較的良心的と思います。

 この映画の基本情報は下記のサイトに掲載されています。

絵本ナビ『幸せの絵本』第2弾

 ちょっと気付くのが遅いですが、絵本ナビの絵本ガイドブック『幸せの絵本』の第2弾が刊行されるようですね。

 絵本ナビのサイトにすでに11月12日付で告知が出ていました。もう第2弾というのはすごいなあ。いや、じっさいかなり売れているようですし、この前の日経新聞でも大々的に取り上げられていましたから、当然かな。

 今度はどんな絵本が取り上げられるのでしょうか。楽しみです。

日経新聞の記事「パパも絵本」

 11月27日の日経新聞、土曜日の別刷り「NIKKEIプラス1」11面に載っていた記事。リードを引用します。

「絵本は子供のもの」。そんなふうに思っている人は少なくない。だがその絵本が最近は大人の男性の間にもじわりと広がりつつある。子育てにかかわりたいパパの強い見方として、自らと深く向き合う時間を提供するものとして、絵本が再認識されている。

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