月別アーカイブ: 2004年7月

2004年7月のおすすめ絵本

 だいぶ更新が遅くなっていますが、7月に読んだ絵本のなかでとくにおすすめの絵本を何冊か選んでみたいと思います。

 選書の基準は、子どもといっしょに読んでいるなかで自分がとくに感銘を受けたもの。そのため、うちの子どもが好んで読んだものとは必ずしも一致しません。私自身が「これはすごい!」「おもしろい!」と思ったものを選びます。もちろん、それは同時に、子どもといっしょに楽しめるものという意味もあります。

 というか、このあたりは、若干、あいまいですね。まあ、あまり考えすぎずに選んでいこうと思います。

 というわけで、おすすめ絵本は下記です。記されている順番は読んだ順です。ランキングではありません。それぞれの絵本の紹介記事は、この記事のうしろの「関連する記事」というセクションに一覧になっているはずです(プラグインを使って自動でリンクを貼るようにしています)。

  • 長谷川義史『どこどこどこ いってきまーす』
  • 甲斐信枝『あしながばち』
  • 神沢利子/片山健『いいことって どんなこと』
  • 吉沢葉子/斎藤隆夫『おおぐいひょうたん』
  • 筒井頼子/林明子『あさえとちいさいいもうと』
  • 武田正/梶山俊夫『さるとびっき』
  • アーサー・ガイサート『洪水のあとで──ノアたちのその後──』
  • 松谷みよ子/中谷千代子『ちいさいモモちゃん1 おばけとモモちゃん』
  • 長谷川摂子/スズキコージ『たいこたたきのパチャリントくん』
  • ジビュレ・フォン・オルファース『うさぎのくにへ』
  • 瀬川康男『ぼうし』
  • くろだ かおる/せな けいこ『ゆうれいとすいか』
  • 長新太『くまさんの おなか』

 うーむ、だいぶ多くなってしまいました。もう少し絞らないと意味ないかなあ。でも、どれもおもしろい絵本です。

 ちなみに、「ぐりとぐら」シリーズや「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズは、定番中の定番なので上記のリストからはずしました。

 来月(というか実はもう8月半ばですが^^;)も、この企画、やってみようと思います。

なかえよしを/上野紀子『また!ねずみくんとホットケーキ』

 またまた『また!ねずみくんとホットケーキ』。この絵本ではほとんどのページに時計が載っており、動物たちが「ねみちゃん」のホットケーキを早く食べたくて時計を進ませる様子が描かれています。時計の読み取り方を少しは学べるかも……いや、そんなことはないか(^^;)。

▼なかえよしを 作/上野紀子 絵『また!ねずみくんとホットケーキ』ポプラ社、2003年

ジビュレ・フォン・オルファース『うさぎのくにへ』

 今日は2冊。「かあさんうさぎ」は「よなべして」(!)、「むくむくちゃん」と「ぷくぷくちゃん」に二枚の服を縫うのですが、これがまさに、うさぎのきぐるみ。ちゃんと長い耳もしっぽもついていて、かわいいです。で、物語の最後では、このきぐるみのうさぎを森番(もちろん人間)の「おとうさん」が人間の家に連れ帰ります。

ごらんよ かあさん
きょう つかまえた
森 いちばんの すてきな もの!

▼ジビュレ・フォン・オルファース/秦 理絵子 訳『うさぎのくにへ』平凡社、2003年

変更しました

 この間、記事を整理してウェブログの名前を変更しました。

 以前の絵本のカテゴリーの記事はすべて、もう一つのウェブログ「今日の絵本」に移しました。それから、このウェブログの名前を、「歯みがき前の絵本と、それから・・・」から「絵本を知る」に変えました。2つのウェブログそれぞれの内容を整理した方がよいかなと思い、上記のようにしました。

 絵本そのもののレビューや感想はすべて「今日の絵本」に集中し、こちらの「絵本を知る」では、絵本に関する本や雑誌の感想、絵本にまつわるあれこれについて書いていこうと思います。

 いろいろ変えましたが、どうぞ、よろしく。

いとう ひろし『レーザーこうせんじゅうビービー』

 うちの子どもに教えられたのですが、この絵本には少し不思議なところがあります。たとえば、おもちゃ屋さんには「レーザーこうせんじゅうビービー」といっしょにヘリコプターなどが飾ってあるのですが、それとまったく同じものがあとの画面で飛んでいたりします。また、バナナを「レーザーこうせんじゅうビービー」に見立てて「ようかい」(実はネコ)を退治する画面では、木に眼が付いていてじっと見ています。見立て遊びやごっこ遊びがはじまると、まわりの世界も変わってくる、そんな感じでしょうか。

▼いとう ひろし『レーザーこうせんじゅうビービー』童心社、1998年

やぎゅう げんいちろう『あしのうらのはなし』

 今回うちの子どもの興味を引いていたのは、ゴリラの足と手、そして人間の足と手を比較したところ。ゴリラやオランウータンは、足のうらと手のひらがよく似ていて、足の親指も手の親指と同じく横に付いているのだそうです。足でモノをつかんだり木の枝をつかんだり自由にできるわけです。便利で楽しそうです。

▼やぎゅう げんいちろう『あしのうらのはなし』福音館書店、1982年

まど・みちお/スズキコージ『おならはえらい』

 今日は3冊。この絵本ではまどさんの詩が4つ収録されています。うちの子どもに一番うけていて、また私にとっても印象深いのは、やはり、タイトルにもなっている「おならはえらい」。引用します。

おならは えらい
でてきた とき
きちんと
あいさつ する
こんにちは でもあり
さようなら でもある
あいさつを…
せかいじゅうの
どこの だれにでも
わかる ことばで…
えらい
まったく えらい

 付けられているスズキさんの絵も、おおらかでインターナショナルです。

▼まど・みちお 詩/スズキコージ 絵『おならはえらい』童心社、1990年

ジョルジュ・キャストラ/ロドニィ・サン・エロワ/ルイジアーヌ・サン・フルラン/加古里子『ミラクルバナナ』

 ハイチのおばあちゃんが子どもたちに出すなぞなぞを通じて、バナナのすばらしさを描いた絵本。驚いたのは、この絵本はすべてバナナの紙で出来ていること。ハイチではバナナの木から紙を作る「バナナ・ペーパー・プロジェクト」が進められているそうです。巻末に詳しい説明がありました。バナナの茎から繊維を取り出している様子の写真も載っています。名古屋市立大学教授の森島紘史さんがプロジェクトのリーダーで、ウェブサイトもありました。活発な活動について、豊富な情報が提供されています。この絵本で使われている紙は、バナナの風合いを生かすため手すき風に製紙したそうですが、なかなか味わいがあります。

▼ジョルジュ・キャストラ/ロドニィ・サン・エロワ 作/ルイジアーヌ・サン・フルラン 絵/加古里子 文『ミラクルバナナ』学研、2001年

パット・ハッチンス『せかい一わるいかいじゅう』

 生まれたばかりの赤ちゃんかいじゅう「ビリー」とお姉さんの「ヘイゼル」。みんなが「ビリー」をかまうので、「ヘイゼル」はおもしろくありません。おかしいのは、どちらが「せかい一わるいかいじゅう」かを競ってるところ。「かいじゅう」にとっては、「かわいい」とか「えらい」ではなく、「わるい」が大事なんですね。価値の逆転がおもしろいです。

▼パット・ハッチンス/乾 侑美子 訳『せかい一わるいかいじゅう』偕成社、1990年

エリック・カール『ごちゃまぜカメレオン』

 今日は3冊。この絵本のおもしろいのは、まるで子どもがクレヨンでぬったように彩色されているところ。画面にさわると指に色がつきそうなくらい鮮やかです。カバーの説明によると、エリック・カールさんが子どもたちといっしょに動物の絵本を作ったときの体験がこの絵本のもとになっているそうです。動物の部分と部分をつなぎ合わせてごちゃまぜになればなるほど、子どもたちは大喜びしたとのこと。それがまたクレヨンのような彩色の理由なんだろうなと思います。

▼エリック・カール/八木田宜子『ごちゃまぜカメレオン』ほるぷ出版、1978年