秋山とも子『ふくのゆのけいちゃん』

 この絵本は、うちの子どもに絵本を読み始めてからの大のお気に入りで、何十回、いやもしかすると百回も二百回も読んでいます。文章を覚えてしまうくらいです。だいぶ長く読んでいなかったのですが、今日は久しぶりに読みたいとのこと。
 タイトルのとおり、「ふくのゆ」という銭湯が舞台。5月5日の子どもの日に菖蒲湯をするのですが、その1日の様子がていねいに描写されています。ペンキ屋さんが1年に一度、お風呂場の絵を描き換えにやってきたり、廃材屋さんが薪にする木を持ってきたり、「けいちゃん」のお父さんとお母さんのいろいろな仕事も、銭湯を開ける前の準備からお客さんが帰ったあとのお風呂場の掃除に至るまで、一つ一つ描かれています。とくに家事や育児とお風呂やさんの仕事をうまく調整しながらやっている様子がそれとなく示唆されていて、興味深い。一口に仕事といっても、いろいろあるわけですね。お風呂でお客さんが菖蒲湯を楽しんでいるところもセリフの書き込みがおもしろいです。この絵本、おすすめです。
▼秋山とも子『ふくのゆのけいちゃん』「こどものとも」1993年5月号(通巻446号)、福音館書店、1993年

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