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ボニー・ガイサート/アーサー・ガイサート『マウンテンタウン』

 今日は1冊。今回はハイイログマの着ぐるみ(?)を探したり、修理された煙突を見つけたりして楽しみました。「あとがき」に書かれていた「モービルホーム区画(移動式の家の区画)」、まだ分かりません。たぶん、あそこだと思うんだけどなあ。
 ところで、この絵本では、クローズアップのときも誰か特定の人に焦点が当てられるのではなく、まちとそこで生活する人びとの営みが少し距離を置いて描かれています。そこには、農業や鉱業や商業などの日々の労働と生活のさまざまな楽しみが、一つ一つはとてもささいだけれども、しかし、かけがえのない大切なものとして描写されている、そんな印象を持ちました。
▼ボニー・ガイサート 文/アーサー・ガイサート 絵/久美沙織 訳『マウンテンタウン』BL出版、2002年

ボニー・ガイサート/アーサー・ガイサート『マウンテンタウン』

 19世紀後半、アメリカの「ゴールドラッシュ」の時代にロッキー山脈にできた小さなまち。なかには、鉱物が掘り尽くされたあと姿を消してしまったまちもあったそうですが、いまに至るまで残っているまちもあります。この絵本が描くのは、そんな山のなかの小さなまちの1年。あたかもカメラを近づけたり遠ざけたりするかのようにして、自然のなかに抱かれたまちとそこでの人びとの生活が、時間の流れのなかで浮かび上がってきます。
 遠くからまち全体を俯瞰した画面には、冬から春へ、夏から秋をへてまた冬へ、といった四季の移り変わりが美しく描写されています。粉雪の舞い降りる冬やうすく緑が広がる春先、そして夏の終わりの嵐……繊細なエッチングがすばらしいです。
 まちの住民の生活ぶりも、たとえば7月4日の独立記念日や「伝統の日」の岩の穴あけコンテスト、秋のアメリカンフットボールなどの行事とともに描かれ、興味深い。古くからの鉱山の様子も断面図になっており、しかも銀行強盗付き(!)でこれもおもしろいです。巻末の解説(?)にも書いてあるのですが、生活の変化についていろいろと細かに描写されており、ぜんぜん見飽きません。
 ちょっと絵探し絵本の趣向もあります。うちの子どもといっしょに「青い車」を探したりしました。とくにうちの子どもに受けていたのは「ハイイログマ」。意外なところにいるんですね。原書の刊行は2000年。この絵本、おすすめです。
▼ボニー・ガイサート 文/アーサー・ガイサート 絵/久美沙織 訳『マウンテンタウン』BL出版、2002年