今日は2冊。この絵本はラストもなかなかユニーク。まちのみんなを起こす仕事を終えて、「メアリー・スミス」が家に帰ると、娘の「ローズ」が学校から家に帰されています。その理由を聞いた「メアリー・スミス」がどうするかが話のオチでおもしろいです。と同時に、いかに「メアリー・スミス」が自分の仕事を誇りに思っているかが伝わってくるようです。
▼アンドレア・ユーレン/千葉茂樹 訳『メアリー・スミス』光村教育図書、2004年
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アンドレア・ユーレン『メアリー・スミス』
主人公の「メアリー・スミス」は、ロンドンに住んでいた実在の人物。裏表紙には、1927年当時のスミスさんの写真が載っています。で、この絵本では、そのスミスさんの仕事が描かれているのですが、それがなんと、朝、まちのみんなを起こすこと。ノッカー・アップ(knocker-up)、めざまし屋と言うそうで、信用できるめざまし時計が安く手に入るようになる前に、じっさいにイギリスに存在した仕事だそうです。巻末に説明がありました。ノッカー・アップで一番多かったのは、長くて軽い棒でベッドルームの窓をたたいたり引っ掻いたりする方法でしたが、この絵本の「メアリー・スミス」は違います。かたいゴムチューブに乾いた豆をこめ、それを「プッ!」と豆てっぽうのように吹いて飛ばし、窓にカチン!コツン!と当てて起こすのです。すごいですね。裏表紙の写真も、スミスさんがゴムチューブに口をあてまさに吹こうとしているところ。絵本のなかでは、こうした仕事ぶりがユーモラスに描写されています。最初のページには次のような献辞がありました。
メアリー・スミスその人へ捧げる
[中略]
それから、メアリーのことを教えてくれた母さんには
特別のありがとうを。
原書の刊行は2003年。この絵本もおすすめです。
▼アンドレア・ユーレン/千葉茂樹 訳『メアリー・スミス』光村教育図書、2004年