岩陰に隠した肉を取られてしまったコンドル君、いったい誰が盗んだんだろうと犯人を捜す物語。
この絵本、かなり凝っています。一つは読者参加型であること。地の文の多くはコンドル君の語りなのですが、読者に話しかける調子になっており、それが面白い効果を生んでいます。読み聞かせをしていて、コンドル君になりきる感じで楽しいです。
絵も、コンドル君が読者の方を真正面から向いているページがあったり、読者(子ども)の反応を前提にして作られているページがあったりして、ユニーク。絵本としては珍しい表現かもしれません。
で、読者は、コンドル君の肉を見張っていたという設定になっています。だから、タイトルの通り「きみは しっている」というわけなのですが、ここがとても重要なポイントです。
これ以上はネタバレになるので書けません。ぜひ、読んでみてください。あっ!と驚くこと請け合いです。うちの子どもも大受けでした。いや、面白い絵本です。
▼五味太郎『きみは しっている』岩崎書店、1979年、[印刷所:光陽印刷株式会社、製本所:小高製本工業株式会社]