月別アーカイブ: 2005年4月

赤羽末吉『へそとりごろべえ』

 「おへそがえる・ごん」シリーズの第三巻『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』に登場する、かみなりの「へそとりごろべえ」。どうやらこの絵本が初出のようです。

 家宝の「へそとりき」を使って、タヌキやネズミやライオン、ゾウ、クジラ、桃太郎に鬼ヶ島の鬼、果ては関取から大仏まで、どんどん、おへそを取っていくという物語。最後は、あっと驚きのオチが待っています。

 この「へそとりき」、「おへそがえる・ごん」シリーズでもそうでしたが、まさにビールの栓抜きなんですね。なんともおかしいのですが、妙に説得力があります。少し力を込めれば、たしかに「くりんくりんと」おへそがくり抜けそう。

 また、「へそとりごろべえ」が乗っている雲は、自動車か何かのようにハンドルがついており、雷の音を出す太鼓もどうやら全自動。けっこう機械化が進んでいます(^^;)。

 それから、冒頭で「ごろべえ」は、おへそについて次のように語っていました。

おれは おへそが
だいすきだ
あまくて しょっぱっくって
こーり こり
うふふ たべたいなー

 コリコリしていて、しょっぱい……うーむ、なるほど。たしかにそんな気がしてきます。というか、口のなかに唾液がたまってきました(^^;)。

 おへそを取られた動物や人間たちは、口をぱかっと開けて間が抜けた表情。おへそがあった辺りは赤くなっています。そして、「ごろべえ」は、取ったおへそを手に持ち、舌なんか出したりして、茶目っ気たっぷりに描かれています。

 ところで、この絵本は童心社の「詩の絵本」シリーズの1冊。文中には「ごーろごろーのぴーか ぴか」「こーり こり」など同じフレーズが繰り返され、とてもリズミカル。あと、おへそを取るときの「ねいろ」が一つ一つ個性的で、こちらの表現もおもしろい。

 うちの子どもは「へそとりごろべえ」がはいているパンツに注目していました。「あ、トラのしましまパンツじゃない!」。そうなんです。縞パンは縞パンですが、トラ縞ではありません。うちの子どもは、カミナリといったらトラ縞だろうと思っていたみたいです。

 あと、うちの子どもは「へそとりごろべえ」が鬼のおへそを取るところにも反応していました。曰く「他のはよくないけど、鬼のおへそを取るのはいいよねえ」。なるほどね。なんだか共食いみたいですが、そんなふうにも考えられるかも。

 この絵本、絵も文章も楽しく、おすすめです。

▼赤羽末吉 詩・画『へそとりごろべえ』童心社、1978年

「パパとあそぼう」:お父さんの育児講座

 クリップしている朝日新聞の記事、子育て支援センターで講座 asahi.com : マイタウン熊本 – 朝日新聞地域情報。熊本市の総合子育て支援センターが、毎月第二土曜日に、父親向けの育児講座「パパとあそぼう」を開いているそうです。内容は、おもちゃ作りなどで、絵本の読み聞かせ指導もあります。

 なかなか楽しそうなのですが、参加者がとても少なく、平均2、3人にとどまるとのこと。記事で取り上げられていた4月9日はたったの1人(1組)だけです。

 まあ、土曜日とはいっても仕事が忙しく、時間がとれないお父さんが多いかもしれませんね。

 あるいは、講座の存在がまだあまり知られていないのかも。検索してみると、熊本市子育て支援ホームページがありました。ざっと見たかぎりでは、4・5月の予定表には記載されていましたが、専用ページは見つかりませんでした。せっかくなので、もう少し情報を掲載した方がよいように思います。

 また、講座の内容を少し工夫すると、参加者が増えるかもしれませんね。どちらかといえば、屋内での遊びではなく、外遊びを中心にプログラムを組むと参加しやすいかもと思いました。

 あと、それなりに意識はあっても、講座にまで出かけるのはちょっと、と抵抗を感じているお父さんが多いんじゃないかな。何となく恥ずかしいとか、あるいは、講座でわざわざ「教えて」もらわなくても大丈夫!といった意識もあるでしょう。

 でも、たとえば私のばあい、絵本はともかく、それ以外の遊びについては、正直言って、あまり自信ないです。自分の父親の世代と比べるなら、遊びのノウハウが足りないなあと感じています。だから、こういう講座はとても貴重。潜在的ニーズはかなりあると思うのですが、どうでしょう。

 それに、記事のなかで紹介されている、参加したお父さんの次の言葉も大事ですね。

参加の動機は、子供を預かることで奥さんの息抜きになればと思ったからという。

 お母さんにとって、自分の時間がほしいというのは本当に切実と思います。私なんか、ぜんぜん妻の負担を軽減できていなくてダメなんですが、お父さんがこういう講座に参加して少しでも子育てに参加すると、だいぶ違ってくると思います。

 しかしまあ、よそのことをとやかく言う前に、自分こそ、しっかりしないとね。

飯野和好さんの「出会い」

 クリップしている読売新聞の記事、好きなように描いた幼時: あのころ : 育む : 教育 : Yomiuri On-Line (読売新聞)。飯野和好さんが、小さいころから絵本作家になるまでを語られています。

 秩父でのチャンバラごっこ、中学のときの初恋、高校に1日しか行っていないことなど、生活史的背景がうかがえるのですが、とくに興味深いのが数々の出会い。中学で初恋の女性に惹かれて美術部に入ったこと、高崎市のデパートに勤めて売り場の広告を描いていたころに出入りの業者に絵の勉強を勧められたこと、セツ・モードセミナーでの長沢節さんの言葉、堀内誠一さんに言われたこと、など、いろんな人との出会いを通じて、絵本作家としての飯野さんが生まれたことが分かります。

 たとえば高崎市のデパートで出入りの業者に会わなかったら……、絵の勉強でセツ・モードセミナーに入っていなかったら……、あるいは堀内誠一さんに出会ってそのファンタジー論を読んでなかったらどうなったか。最初から絵本作家を目指していたわけではなく、いわば偶然の出会いを経て、飯野さんのいまの時代劇絵本が誕生したと言えそうです。

 もともと持っている能力や素質は大きいにしても、どんな人に出会うか、またその出会いから何を自分のものとするかが、その人の人生を決めていくのかもしれませんね。