「おへそがえる・ごん」シリーズの第三巻『おへそがえる・ごん 3 こしぬけとのさまの巻』に登場する、かみなりの「へそとりごろべえ」。どうやらこの絵本が初出のようです。
家宝の「へそとりき」を使って、タヌキやネズミやライオン、ゾウ、クジラ、桃太郎に鬼ヶ島の鬼、果ては関取から大仏まで、どんどん、おへそを取っていくという物語。最後は、あっと驚きのオチが待っています。
この「へそとりき」、「おへそがえる・ごん」シリーズでもそうでしたが、まさにビールの栓抜きなんですね。なんともおかしいのですが、妙に説得力があります。少し力を込めれば、たしかに「くりんくりんと」おへそがくり抜けそう。
また、「へそとりごろべえ」が乗っている雲は、自動車か何かのようにハンドルがついており、雷の音を出す太鼓もどうやら全自動。けっこう機械化が進んでいます(^^;)。
それから、冒頭で「ごろべえ」は、おへそについて次のように語っていました。
おれは おへそが
だいすきだ
あまくて しょっぱっくって
こーり こり
うふふ たべたいなー
コリコリしていて、しょっぱい……うーむ、なるほど。たしかにそんな気がしてきます。というか、口のなかに唾液がたまってきました(^^;)。
おへそを取られた動物や人間たちは、口をぱかっと開けて間が抜けた表情。おへそがあった辺りは赤くなっています。そして、「ごろべえ」は、取ったおへそを手に持ち、舌なんか出したりして、茶目っ気たっぷりに描かれています。
ところで、この絵本は童心社の「詩の絵本」シリーズの1冊。文中には「ごーろごろーのぴーか ぴか」「こーり こり」など同じフレーズが繰り返され、とてもリズミカル。あと、おへそを取るときの「ねいろ」が一つ一つ個性的で、こちらの表現もおもしろい。
うちの子どもは「へそとりごろべえ」がはいているパンツに注目していました。「あ、トラのしましまパンツじゃない!」。そうなんです。縞パンは縞パンですが、トラ縞ではありません。うちの子どもは、カミナリといったらトラ縞だろうと思っていたみたいです。
あと、うちの子どもは「へそとりごろべえ」が鬼のおへそを取るところにも反応していました。曰く「他のはよくないけど、鬼のおへそを取るのはいいよねえ」。なるほどね。なんだか共食いみたいですが、そんなふうにも考えられるかも。
この絵本、絵も文章も楽しく、おすすめです。
▼赤羽末吉 詩・画『へそとりごろべえ』童心社、1978年