片山令子/片山健『たのしいふゆごもり』

 今日は2冊。これからだんだん秋が深まっていきますが、この季節にぴったりなのが『たのしいふゆごもり』。久しぶりに読みました。やはり、すばらしい。
 一番最初の見開き2ページ、色づいた秋の森が画面いっぱいに広がっています。ため息の出る美しさです。子グマが暖炉の前でぬいぐるみを抱いて眠っている様子は、何度読んでも、なんとも言えないほどかわいく愛らしい。その前のページでは初雪が描かれているのですが、これがまた、最初は窓の外にそれとなく描き込まれ、ページをめくると見開き2ページいっぱいに静かに雪が降りてきます。この画面の流れにもため息が出ます。そして、ラスト、お母さんが眠ってしまったあと、ベッドのなかで子グマだけがぬいぐるみといっしょに起きているのですが、めくった次のページに描かれるのはぐっすりと眠る子グマ。閉じた裏表紙には、すっかり雪が積もっている様子が描写されています。最後の最後まで時間が流れていき、ゆっくりと眠りにつく冬ごもりが、ページをめくるというアクションのなかで浮かび上がってくるように感じます。
 ところで、読んでいて子どもといっしょに気付いたのですが、一番最初の秋の森を描いた画面やまた魚とりの画面には、川のほとりに小さく動物が描き込まれています。他の動物たちも冬ごもりの準備でしょうか。また、よーく見ると、クマの親子が住んでいる大きな木には煙突が付いており、それには目と口が描かれています。なんだか笑っているよう。
 うちの子どもが今日、興味を持ったのは綿つみの場面。「この綿にさわってみたいなあ」と興味津々でした。
▼片山令子/片山健『たのしいふゆごもり』福音館書店、1991年

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