おなかにチャックがついたテディベア、「バンロッホ」、いつものようになんとなく歩いていると、蜜を集めているミツバチを見つけます。蜂蜜をなめたくなった「バンロッホ」はいろいろ探しているうちに木のてっぺんに登るのですが、このあとの物語の爆走ぶりがおかしい。上へ上へと上昇していき、自分の住んでいた世界がどんどん相対化されていきます。しかし、最後は戻ってきて、やはり蜂蜜。絵はシンプルで色合いも均一的、グッとクローズアップしたり遠くを俯瞰したりする画面もおもしろいと思います。
▼井口真吾『バンロッホのはちみつ』学研、2001年