この絵本、最初は1979年に刊行され、うちで持っているのは2001年に発行された第3刷です。「ちいさいいもうと」の「あやちゃん」といっしょにお留守番をする「あさえ」。ところが、家の前で遊んでいるうちに「あやちゃん」がいなくなってしまいます。「あさえ」はあちこち探すのですが……といったストーリー。
林さんの絵は、小さな子どもの表情やしぐさを繊細に的確に描写していて、ため息が出ます。絵の視線はほぼ「あさえ」の目の高さにおかれ、画面からはみ出すトラックや塀や大人の大きさが、「あさえ」の不安を表しています。そして「あやちゃん」を懸命に探す「あさえ」の姿は、言葉や表情ではなく、徹底してアクションの連続で描き出されています。それも後ろ姿(!)。本当にすごい。ラストシーンもすばらしく、この絵本、おすすめです。
▼筒井頼子さく/林明子え『あさえとちいさいいもうと』「ものがたりえほん36」福音館書店、1979年