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中川季枝子/山脇百合子『ぐりとぐらのかいすいよく』

 3冊目は「かいすいよく」。海にやってきた「ぐり」と「ぐら」、「うみぼうず」との交流が描かれています。この絵本は、うちの子どもも私もセリフを覚えてしまうくらい、もう何十回も読んでいますが、何回読んでもあきずに楽しめます。まさに名作。

 ところで、物語のなかに出てくる歌を、うちでは「う~み~は~広い~な~」の童謡「うみ」の節で歌っています。これがぴったり合うんですね。うちの子どもは、一時期、童謡「うみ」の歌詞をこの『ぐりとぐらのかいすいよく』の歌詞で覚えていました。

 「ぐりとぐら」シリーズは、どれも必ず歌が出てくること、それも自分なりに工夫して歌えることが、楽しみの一つですよね。こういう遊びの要素もまた、絵本の大事な記憶になるのかなと思います。

▼中川季枝子 文/山脇百合子 絵『ぐりとぐらのかいすいよく』福音館書店、1976年

中川季枝子/山脇百合子『ぐりとぐらのおおそうじ』

 2冊目は「おおそうじ」。巻末の説明によると、1977年初版発行『おひさまはらっぱ』のなかの一話「ぐりとぐらの大そうじ」に加筆修正して、福音館書店50周年記念出版として刊行したものとのこと。25年のときを経て単行本化されたわけです。

 タイトルのとおり、春をむかえての大そうじが描かれています。もちろん、ぐりとぐらですから、楽しい大そうじ。これだったら、子どもたちも大喜びでしそうなくらいです。たしか、「ぐり」と「ぐら」が「このよで いちばん すきなのは」「おりょうりすること たべること」だったわけですが、この絵本では「おそうじすること みがくこと」もこの世で好きなことと歌われています。料理する、食べる、掃除する、といった生活の基本を大事に描いているのが、「ぐりとぐら」シリーズの特色の一つかもしれませんね。

 『ぐりとぐらのおおそうじ』で描かれている部屋の様子をみても、そんなにモノが多くなく、また飾られている草花、使われている食器などからは、質素で素朴、品のよい生活ぶりがうかがえます。ファッションとか流行とか大量消費などとは無縁なライフスタイルが、それとなく、しかししっかりと、しかも魅力的に描写されている。これはとても貴重なのではないかなと思います。

▼中川季枝子 文/山脇百合子 絵『ぐりとぐらのおおそうじ』福音館書店、2002年

中川季枝子/山脇百合子『ぐりとぐらとくるりくら』

 今日は「ぐりとぐら」シリーズから3冊。久しぶりに読みたくなったそうです。この『ぐりとぐらとくるりくら』では、うさぎの「くるりくら」が登場します。うさぎの手が長くなったり雲にのったりと、魔法(?)が出てくるのですが、このあたりはシリーズのなかでも異色かもしれません。で、うちの子どもの今日の疑問は、「ぐりとぐらにはお母さんやお父さんはいないのかな?」。うさぎの「くるりくら」にはお母さんがいますが、「ぐり」と「ぐら」のお母さんやお父さんはシリーズ全体でも出てこなかったと思います。たしか「ぐり」と「ぐら」は双子だとどこかで読んだ気がしますが、お母さんもお父さんもいないのはどうしてかな? 実は大きな意味があるかもしれませんね。

▼中川季枝子 文/山脇百合子 絵『ぐりとぐらとくるりくら』福音館書店、1987年