2冊目は「おおそうじ」。巻末の説明によると、1977年初版発行『おひさまはらっぱ』のなかの一話「ぐりとぐらの大そうじ」に加筆修正して、福音館書店50周年記念出版として刊行したものとのこと。25年のときを経て単行本化されたわけです。
タイトルのとおり、春をむかえての大そうじが描かれています。もちろん、ぐりとぐらですから、楽しい大そうじ。これだったら、子どもたちも大喜びでしそうなくらいです。たしか、「ぐり」と「ぐら」が「このよで いちばん すきなのは」「おりょうりすること たべること」だったわけですが、この絵本では「おそうじすること みがくこと」もこの世で好きなことと歌われています。料理する、食べる、掃除する、といった生活の基本を大事に描いているのが、「ぐりとぐら」シリーズの特色の一つかもしれませんね。
『ぐりとぐらのおおそうじ』で描かれている部屋の様子をみても、そんなにモノが多くなく、また飾られている草花、使われている食器などからは、質素で素朴、品のよい生活ぶりがうかがえます。ファッションとか流行とか大量消費などとは無縁なライフスタイルが、それとなく、しかししっかりと、しかも魅力的に描写されている。これはとても貴重なのではないかなと思います。
▼中川季枝子 文/山脇百合子 絵『ぐりとぐらのおおそうじ』福音館書店、2002年