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長谷川摂子/荒井良二『へっこきあねさ』

 これはおもしろい! 大工の「あんにゃ」と「ばあさ」の二人暮らしの家に嫁に来た「あねさ」、実はたいへんな屁の持ち主だったという物語。

 まずは音がすごい。品のない話で恐縮ですが、「ぷっ」とか「ぶっ」とか「ぶぶっ」とか、そんな半端なものではありません。

どっばーん!
だっばーん!
でっぼーん!

辺り一面に響き渡る、文字通り破格の音なのです。たとえば大砲をどかーんと撃つような感じでしょうか。

 活字で組まれた文章のなかで、この屁の音だけ、手書き文字。しかも、だいぶ大きく書かれています。音の豪快さがよく伝わってきます。また、声に出してみると、これが実に開放的。うちの子どもと一緒に読むとき、かなり気合いを入れて言ってみました。うーむ、楽しいぞ!(^^;)

 さらに、屁の「かぜ」が強烈。「ばあさ」は天井まで吹っ飛ばされ、柿の木にみまえば実が一つ残らず落ちてくるし、渡し船は川の向こうまで流されます。いやはや、すさまじい。というか、たいへん便利な屁です(^^;)。

 そして、何よりも驚いたのが、この「あねさ」、屁をただぶっ放すだけではないこと。こ、これは、すごすぎる! 何がすごいのかは、ぜひ読んでみて下さい。まさに驚愕、呆気にとられること間違いなしです。

 荒井さんの絵は、「あねさ」の描き方が秀逸。だってね、気立てがよさそうな可愛い娘さんが、着物の裾をまくって、白いおしりを天に突き出し、どっかーんと屁をこいているのです。絵本のなかでこんな描写、古今東西、はじめてではないでしょうか。いや、冗談抜きで、すばらしいと思います。ある意味、絵本の世界を一つ広げたと言える気がします。

 屁そのものは、当然ながら(?)主に黄色を使って描かれているのですが、汚いということはありません。少し蛍光の入った透明感のある黄色です。この彩色は、あっけらかんとした大らかな物語によく合っていると思いました。

 ところで、屁、といえば、臭いはいったいどうなのか? 絵をよーく見ると、どうやら、やっぱり臭いようです(^^;)。

 うちの子どもは、「あねさ」の豪快なおならに、ゲラゲラ、ウヒウヒ、大受けしていました。この絵本、下ネタはダメという人には向きませんが、そうでなければ、おすすめです。

▼長谷川摂子 文/荒井良二 絵『へっこきあねさ』岩波書店、2004年、[装丁:桂川潤]

長谷川摂子/スズキコージ『たいこたたきのパチャリントくん』

 この絵本、表紙・裏表紙の見返しには、得体の知れない生き物の影がたくさん描き込まれています。物語のなかで一番不気味なのが「サンヨルチュウ」。真っ黒で足が何本もあり、虫のような生き物。何十匹もいて「いつも すなに つばを まぜて くろい まちを つくっています」。「パチャリントくん」たちが壊して壊しても、別の場所にどんどん黒いまちを作っていく様子が、なんとも気味が悪い。でも、それもまた、この絵本の魅力です。

▼長谷川摂子 さく/スズキコージ え『たいこたたきのパチャリントくん』「こどものとも」2000年3月号(通巻528号)、福音館書店、2000年

長谷川摂子/スズキコージ『たいこたたきのパチャリントくん』

 2冊目。いやー、めちゃくちゃおもしろい! 「ぐしゃりとつぶれたおおきなやかん」から出てきた「パチャリントくん」の冒険物語。どこに連れて行かれるのか分からない、ジェットコースターのような展開に度肝を抜かれました。ちょっと破壊的なところもよいです。なんだかまだ続きがありそうな終わり方なのですが、もしかすると続編があるのかも。というか、ぜひ続きを読みたい(^^;)。スズキコージさんの絵も、炸裂しまくっています。空も波打ち歪んでいます。これはすごい。この絵本、おすすめです。

▼長谷川摂子 さく/スズキコージ え『たいこたたきのパチャリントくん』「こどものとも」2000年3月号(通巻528号)、福音館書店、2000年