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ふじかおる/梶山俊夫『へっぴり』

 千葉県の民話を元にした絵本。浜辺の村で「へっぷりしてはおどけてみせる」男の子。ある日、「おっかあ」といっしょに鬼にさらわれてしまいます。すきを見て逃げ出した二人ですが、気が付いた鬼が迫ってきます。そこで男の子は鬼に向けて「へっぷり」。笑い出した鬼は力が入らず、二人は宝を手に入れて無事に村へ戻るという物語。

 なにより「へっぷり」のかけ声と音がおかしい。

へっぷりどりで ござあい
めくそ はなくそ けつのくそ
おんどり いっぱつ
ときのこえー
プップ ピッピ ボーン

 これに、おしりを「ぷぷりん」と突き出した男の子の絵が付いています。いやはや、なんともユーモラス。これにはさすがの鬼もかないませんよね。うちの子どもも、ウヒウヒ受けていました。

 彩色の基本は緑がかった黄色と黄土色。もしかすると、おならというモチーフに合わせたものかもしれません。と同時に、昔話の雰囲気をかもし出していて、あたたかな色合いです。登場するキャラクターのなかでは、鬼だけが他と違って赤色でなかなかの迫力。とはいえ、その豪快な笑い顔がよいです。

 あとがきでは、水谷章三さんが物語の元になった民話について説明していました。水谷さんによれば、屁の話は民話や笑い話にはたくさんあるとのこと。そのなかでも、この千葉県の民話は、お話の舞台が海辺から山奥へそしてまた海辺へと展開すること、また屁の主が男の子であることが珍しいそうです。

 ところで、この絵本は、鳥越信さんと松谷みよ子さんが監修された「ぼくとわたしのみんわ絵本」シリーズの1冊。奥付の注記によると、もともとは1981年に第一法規出版より刊行されたものを改訂復刊したものだそうです。

▼ふじかおる 文/梶山俊夫 絵『へっぴり』童心社、2000年、[装丁:杉浦範茂]

武田正/梶山俊夫『さるとびっき』

 この絵本では、地の紙の肌色と黒以外の色は、ごく一部にしか使われていません。そのため、たとえば「さる」と「びっき」が作るお餅の白や「さる」の顔やおしりの赤、季節の移り変わりを表す一筆の緑や茶が、印象深く鮮烈です。それがこの絵本の魅力の一つと思います。

▼武田正 再話/梶山俊夫 画『さるとびっき』「こどものとも(年中向き)」福音館書店、1982年

武田正/梶山俊夫『さるとびっき』

 山形の昔話をもとにした絵本。原話の語り手もおられて、山形県小国在住の川崎さんという方だそうです。最初は1982年に刊行され、その後、「こどものとも(年中向き)」1993年10月号で第2刷が発行されました。うちで持っているのはこの第2刷。「さる」とカエルの「びっき」が田んぼを作るというストーリーで、なぜサルのほっぺたとおしりが赤いのか、その由来がおもしろく語られています。

 物語はもちろん、梶山さんの絵がまたすばらしい。シンプルな線がユーモラスに「さる」と「びっき」を描き出し、肌色の地の紙面に限定された色使いで季節の移り変わりが表現されています。この絵本、おすすめです。

▼武田正 再話/梶山俊夫 画『さるとびっき』「こどものとも(年中向き)」福音館書店、1982年