穂高順也/石井聖岳『ヤドカシ不動産』

 虫や動物に新しい家を紹介する「ヤドカシ不動産」のお話。うちの子どもは最初、不動産屋がどんな仕事か、よく分からなかったようですが、少し補足説明して読んでいったら、だいたい理解できたようです。

 物語は、「ヤドカシ不動産」の仕事ぶりを幾つかの仲介例から見ていくかたちになっています。お客さんとして登場するのは、「ちょうちょおくさん」「ホタルのきょうだい」「いばりんぼのバッタ」「ひよこぼうや」。それぞれの希望にそって、たいへんユニークな家々が紹介されていきます。

 うちの子どもに一番受けたのは、「ホタルのきょうだい」。おしりの光が目立つ暗い家で、しかも、けんかしなくてもすむように別々の部屋を準備してほしいという希望なのですが、これに「ヤドカシ不動産」がどう応えるか。ちょっと他にはない、たいへん個性的な住まいです(^^;)。うちの子ども曰く「このお家には前にも住んでいた虫がいるのかな。たぶん、カメムシだと思うよ。だって、○○○○が好きじゃないとダメだから」。

 絵は、画面の端々にいろんな虫が小さく描き込まれ、楽しい雰囲気。主人公の「ヤドカシ不動産」は、いつも目と口もとに笑みが浮かんでいて、なんとなく安心して家探しを任せられそうな感じです。一カ所だけ、不穏な表情をしている画面があり、これもおもしろい。不動産屋さんにはこういうところがあるなあと妙に実感できます。

 そして、物語の最後の最後に明かされるのが「ヤドカシ不動産」の意外な正体。あっと驚きのオチで、うちの子どもも大受けでした。

 あと、表紙と裏表紙の見返しには連続した迷路が描かれています。うちの子どもは、絵本を読む前に、まずはこの迷路を解いて楽しんでいました。

▼穂高順也 文/石井聖岳 絵『ヤドカシ不動産』講談社、2003年、[装丁:羽島一希、写植印字:オフ・デザイン]

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