中川ひろたか/あべ弘士『わにのスワニー しまぶくろさんとあそぶの巻』

 これはおもしろい! ワニの「スワニー」とシマフクロウの「しまぶくろさん」が、かくれんぼや、だるまさんがころんだで一緒に遊ぶという物語。全部で3つのお話が入っています。それぞれのお話の後ろには、「スワニー」と「しまぶくろさん」各々の絵日記が1ページずつ付いていて、それがアクセント。

 おかしいのは、なんといっても「しまぶくろさん」のキャラクター。茶目っ気があって、とぼけていて、「スワニー」とのやりとりはまるで漫才のよう。ついつい吹き出してしまいます。うちの子どもも、ウヒウヒ、大受けしていました。曰く「しまぶくろさんって、おかしいよねえ」(^^;)。

 いや、よく読んでみると、「しまぶくろさん」、かなり真面目で論理的なんですね。フクロウという設定にぴったりの思慮深さ。しかし、そのロジックがどこかずれているというか、真面目であるがゆえのおかしさがあるわけです。

 絵のなかでも、子どもっぽい「スワニー」に対して、「しまぶくろさん」はたいへん立派なフクロウとして描かれています。それがまた、実際の言動とのギャップがあって、おかしさを増しています。

 それはともかく、ちょっとすごいなと思ったのは、「スワニー」が子どもで「しまぶくろさん」が大人のおじさんであること。大人である「しまぶくろさん」の方がある意味、子どもっぽくて、子どもの「スワニー」に突っ込まれたり諭されたりするわけです。子どもと大人の間のこういう人間関係は、現実にはなかなかないんじゃないかなと思います。「スワニー」と「しまぶくろさん」のやりとりを見ていると、なんだか羨ましくなります。子どもと大人がこんなふうに風通しのよい友情を育むことができたなら、私たちの社会もだいぶ変わるんじゃないか、そんな気がします。

 それから、3つのお話の後の絵日記も、なかなか含蓄があると思いました。それぞれ相手のことを絵日記に書いていて、なんというか、相手とつながっていることの貴重さ、相手と共にあることの楽しさが伝わってきます。

 絵日記の絵は、サインペンやクレヨンのような画材が使われ、いかにもの雰囲気。文章の部分も、「スワニー」と「しまぶくろさん」とでは、筆跡が違っています。これ、どうやって書いたのかな。もしかすると右手と左手で書き分けたのかもしれませんね。

 あと、表紙と裏表紙の見返しには4コマ漫画が付いていて、こちらもユーモラス。全部読んで、うちの子ども共々、楽しみました。

 巻末の作者紹介の写真も必見。黒ブタ(?)の隣にうんこ座りする2人のおじさんが写っています(^^;)。

▼中川ひろたか 作/あべ弘士 絵『わにのスワニー しまぶくろさんとあそぶの巻』講談社、2001年、[装丁:山根カホリ(Layup)]

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