中川ひろたか/あべ弘士『わにのスワニー2 しまぶくろさんといわだぬきくんの巻』

 「わにのスワニー」シリーズの第2弾。今回は「いわだぬきくん」が新たに登場します。「スワニー」にとって、「しまぶくろさん」は年の離れた友達といった感じですが、「いわだぬきくん」は同い年くらいでしょうか。

 前作と同じく、「しまぶくろさん」が実にいい味を出しています。「スワニー」や「いわだぬきくん」との会話はコントのようで、今回もうちの子どもはクスクス笑っていました。「しまぶくろさんって、本当におもしろいねえ」。

 また、物語のはじめの方には、なんと「しまぶくろさん」が作詞・作曲した「スワニーのうた」まで出てきます。中川さんが採譜した譜面付き! 私は楽譜が読めないので、妻に歌ってもらいました。これがまた、とぼけていて可笑しくて、家族みんなで大笑いしました。しばらく我が家で流行りそうです(^^;)。

 ところで、前作もそうでしたが、今回も、3人の友情が、なんともいえない心地よい筆致で描かれています。とくに印象深いのは、「いわだぬきくん」が「スワニー」を家まで送っていくところ。2人はなかなか別れられないんですね。「スワニー」の絵日記から引用します。

いわだぬきくんと あそんだ。
たのしくて、たのしくて
きがつくと、いつも、ひがくれてしまう。
でも、いっしょに くらしてないので
どちらかが、かえらなくちゃ ならない。
そりゃ、おうちは すきだけど、
かえらなきゃいけないのって、
おやつが なくなるときくらい、
つまんない。

 あー、こういう感覚、久しぶりに思い出しました。小さい頃、いや大学生のときもそんなことがありました。友達と一緒にいろいろ話しながら家に帰るんですね。でも、なんだか離れたくなくて、ずーっと歩いていってしまう。話が尽きなくて、本当は通らなくてもいい道をわざと遠回りして歩いていく。そんなこと、ありました。上記のところを読んでいて、なんか懐かしいような、そんな気分になりました。

 「スワニー」が書いているとおり、友達というのは、たいていは一緒に暮らしていないから、別れるわけですね。でも、その別れがあるから、友達は掛け替えのないものなのかなと思います。

 あと、もう一つ、共感できたのは、「スワニー」のお見舞いに行こうとする「しまぶくろさん」が妙にうれしそうなところ。これも、なんとなく分かります(^^;)。いや、変な意味じゃなくて、子どもの頃、きょうだいが風邪をひいたりすると、なぜかこちらが張り切ってしまうわけです。なんだろうな、これ。いま思い返してみても、不思議です。

▼中川ひろたか 作/あべ弘士 絵『わにのスワニー2 しまぶくろさんといわだぬきくんの巻』講談社、2002年、[装丁:山根カホリ]

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