デイヴィッド・ウィーズナー『セクター7』

 ある日、学校の課外授業でニューヨークのエンパイア・ステートビルを訪れた男の子。展望台で小さなの雲の子と出会います。雲の子に載って空に飛び立った男の子がたどり着いたのは「セクター7」、ニューヨークの周辺地域にさまざまな雲を送り出し管理する空中浮遊施設。そこで巻き起こる騒動が描かれています。
 この絵本は、文字がなく絵のみ。そのため、絵を見ながら自分でストーリーと会話を考えて読み聞かせをしました。これがなかなかおもしろい。なにより絵がとても魅力的で、まるで一編の映画を見ているよう。文章を考えるのにも、まったく苦労しません。いろいろ細部を発見しながら読み聞かせに工夫することもできます。
 絵は、ふわふわ浮かぶ雲の描写も表情豊かで素晴らしいのですが、心引かれるのはやはり、タイトルにもなっている「セクター7」。お城のように巨大な空中浮遊施設で、そのメカニックな造形は、ハイテクというよりは、どことなく懐かしさを感じます。プロペラや風車、人力の大きなボード、職員たちはクリップにコルクボードで鉛筆を使い、古い型の受話器にスタンド、雲のスタイルが描かれた青写真の図面……。施設の内部は古いつくりの大きな駅を思い起こさせます。こういういわば人間(?)くさい部分が物語の楽しい結末にも生きているような気がします。
 カバーの著者紹介によると、ウィーズナーさんは、この絵本のために視界ゼロの日を選んでエンパイア・ステートビルを訪れたのだそうです。その日にビルの展望台にはウィーズナーさん一人だったとのこと。原書の刊行は1999年。この絵本、おすすめです。
▼デイヴィッド・ウィーズナー『セクター7』BL出版、2000年

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