宮城県美術館の絵本原画コレクション

 先のエントリー、絵本を知る: 「こどものとも」の絵本展が新潟県立万代島美術館で開催、で紹介した『こどものとも』の原画展ですが、サイトの「こどものとも」の絵本展に掲載されている情報をよく見ると、多くの原画が宮城県美術館所蔵となっていました。

 そこで、宮城県美術館のサイト、宮城県美術館をのぞいてみると、今度、彫刻家の佐藤忠良さんの絵本原画展が開催されるようです。サイトの該当箇所は、最新ニュース – 展示です。「彫刻家が描く 佐藤忠良の絵本原画」と銘打たれ、会期は2006年1月21日(土)から3月26日(日)まで。展示されるのは、14の作品の208点。有名な『おおきなかぶ』も含まれています。これらの原画もすべて、宮城県美術館所蔵だそうです。

 宮城県美術館は、どうやら、かなりの数の絵本原画を所蔵しているようです。サイトの所蔵作品の特色のページによると、福音館書店『こどものとも』の原画を中心に204作品(2890枚)の絵本原画コレクションがあるとのこと。で、どうも、これらはすべて寄贈のようなんですね。

 美術情報サイト eArt-美術館展覧会情報【宮城県美術館】によると、1998年に「絵本原画の世界「こどものとも」の絵画表現1956-1997」を開催し、それを契機として、177タイトル、2800点余りの絵本原画の寄贈を受けたとあります。2002年に開催された「はじめての美術 絵本原画の世界」に出品された絵本作家さんのリストも載っていましたが、そうそうたる顔ぶれ。同じく、美術情報サイト eArt-美術館展覧会情報【宮城県美術館】をみると、長新太さんの代表作も初期から最近まで数多く所蔵し、2004年には「おしゃべりな絵 長新太展」を開催。うーむ、これはすごい。

 それで、宮城県美術館がこのように絵本原画をコレクションしている背景について、少しネットで検索してみました。すると、国際子ども図書館のサイトの国際子ども図書館:これからの国際子ども図書館、「国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会」の第三回議事要旨第3 回国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会 議事録(PDFファイル)に関連情報を見つけました。

 この「国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会」の説明は、サイトの国際子ども図書館:これからの国際子ども図書館 国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会とはに載っています。国立国会図書館が国際子ども図書館の開館に向けて当初策定した諸計画のなかで、まだ十分に展開できていないサービスがあり、しかも現行の国際子ども図書館の書庫は平成24年前後には満杯になってしまうそうです。そのため、施設の増設も考慮しながら今後の図書館サービスの方向性について調査審議するために設置されたとのこと。国際子ども図書館:これからの国際子ども図書館 調査会委員名簿を見ると、会長代理には松居直さんが就任されています。

 それで、平成16年9月12日に第一回の会議が開かれ、平成17年3月16日の第3回では、絵本の原画の取り扱いに関連して、松居直さんから「宮城県美術館 絵本原画コレクションの現状と課題」というレポートが提示されたとのこと。(おそらく)松居さん自身の報告とそれをめぐる議論が議事録に残されています。全12ページのうち6ページ目からです。

 ざっと読んでみたのですが、きわめて興味深く、また重要な問題がたくさん指摘されています。答申の文言を作っていくという議論の議事録ではありますが、そのためにむしろ、絵本の原画をめぐってクリティカルな点がかなりはっきり出されている気がします。これはぜひ一読をおすすめします。

 とりあえず、宮城県美術館の絵本原画コレクションについてだけまとめてみると、コレクションは1998年から本格的に開始。福音館書店では「こどものとも」を発刊した当初、創刊号から原画を残す方針だったそうです。これはきわめて先駆的な取り組みかなと思います。原画倉庫を用意して、そこで保管していたそうですが、すべてを収蔵するのは困難となり、その結果、宮城県美術館に1号から100号までの原画が預けられることになったとのこと。その後も寄贈され、1998年から7年間で8000点に及んでいるそうです。ただ、絵本の原画の保存はたいへんな手間がかかり、宮城県美術館でもかなり苦労されていることが記されていました。

 で、今回ネットで検索して発見した「国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会」の議事録と答申、非常に重要な資料だと思いました。あらためて全体に目を通してみたいと思います。それにしても、こういう資料をPDFファイルでネットに公開しているのは素晴らしいですね。

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