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八百板洋子/T・マノーロフ『むくどりとぶどうのき』

 今日は1冊。ブルガリアの昔話をもとにした絵本です。ブドウ畑で働くお百姓さんとむくどりとのやりとりが、四季の移り変わりのなかで描かれています。お百姓さんはいつも、いっしょに農作業をしようと誘うのですが、むくどりは、巣作りをしていたり卵をあたためていたりと大忙しでブドウ畑には行きません。そして、最後、秋のブドウ摘みのときだけ、むくどりは子どもたちといっしょに参加。甘いブドウをおなかいっぱい、ごちそうになります。むくどりの親子は一番よいところだけもらうわけですが、だからといって、何か道徳的な含意があるわけではありません。むしろ、お百姓さんもむくどりも満足そうです。
 絵は水彩画でしょうか。繊細にリアルにブルガリアの自然が描き出されています。四季の自然の変化と、ブドウ畑の農作業の様子、そしてむくどりの巣作りと子育て、これらが一つになり1年間のときの流れが実感できます。ページのつくりも、複数ページを単位にして、これらを一つのまとまりとして示すようになっています。お百姓さんをはじめ、登場する人物が着ているのは、もしかするするとブルガリアの民族衣装かも。
 ところで、うちの子どもは、梅雨(?)の描写に反応していました。

6がつが きました。
なんにちも あめの ひが つづいて、
のはらも はたけも みずびたしになりました。

うちの子ども曰く「でも、この雨があるから、作物は育つんだよねー」。おおっ、いつの間にそんなことが分かるようになったんだ! と、ちょっと親ばかになりました(^^;)。
▼八百板洋子 再話/T・マノーロフ 絵『むくどりとぶどうのき』「こどものとも年中向き」1994年11月号(通巻104号)、福音館書店、1994年