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シャーロット・ゾロトウ/メアリ・チャルマーズ『にいさんといもうと』

 兄さんと小さな妹の絆を描いた絵本。「にいさん」はいつも「いもうと」をからかって泣かせてばかりいます。でも、本当は「いもうと」をとても大事に思っているんですね。だから、泣かせるとはいっても、それはあくまでカッコだけ。ちゃんとフォローしていて、「いもうと」もすぐにニッコリ。

 この絵本では、そんな日々のエピソードが幾つも描かれていくのですが、二人のやりとりが実にほほえましい。一つ一つのしぐさが繊細に描き出されていて、二人がとても仲良しであることがよく伝わってきます。読んでいて、なんだか、あたたかな気持ちになります。

 とくに印象的なのは色の配置。黒以外には、明るい青と黄の二色しか使われていないのですが、それは「にいさん」(青)と「いもうと」(黄)の服の色なんですね。そして、最後に二人が一緒に描く「おひさまのえ」はまさに青と黄で彩色されています。青い空の中ほどに黄色の「おひさま」が浮かんでいる絵。

 この絵は、まさに二人の絆の深さを表現しているように思えてきます。からかってばかりいるけれども、「いもうと」をあたたかく見守っている「にいさん」。それは、裏表紙に描かれた二人の姿にも表れています。

 原書”Big Brother”の刊行は1960年。なんとも可愛い絵本です。

▼シャーロット・ゾロトウ 文/メアリ・チャルマーズ 絵/矢川澄子 訳『にいさんといもうと』岩波書店、1978年、[印刷:精興社、製本:牧製本]