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スズキコージ『クリスマスプレゼントン』

 これはおもしろい! スズキコージさんのクリスマス絵本です。全体で5つの章に分かれ、絵本というよりは(岸田衿子さんがカバーで書かれていますが)絵入り物語。
 はじまりは雪がしんしんと降り積もる夜の町。広場に座っていた「雪だるま」がゆっくりと歩き出し、レストランの前に雪で「ラッパ男」を作ります。非常にスリリングな導入。ここでもう、うちの子どもはこの絵本の魅力にとりつかれたようです。事情があって、最初の1章でいったん中断したら、「早く先を読んで!」とせがまれました(^^;)。
 2章で登場した主人公の「メリー」は、「雪だるま」や「ラッパ男」とともに、サンタクロースのおいの「プレゼントンおじさん」の村へとやってきます。トナカイにまたがってサンタクロースにも会いに行き、最後はみんなでクリスマスのプレゼントを配ります。
 ストーリーも絵も幻想的で魔法のよう。と同時にユーモラスなところがあって、楽しいです。うちの子どもにとくに受けていたのは、サンタクロースの山とドラゴンのエピソード。
 読み終わったあと、うちの子どもは「雪だるまって、こんなふうに歩くんじゃない?」と言って、なんだか関取がしこをふんだような姿勢のまま歩いていました。おもしろいぞ、うちの子ども(親ばか^^;)。
 この絵本は、基本的に見開きの左ページに絵、右ページに文章というつくり。絵はカラーとモノクロが交互に出てきます。とても印象的なのは、雪景色が黒っぽい青と白で描かれているところ。モノクロのページは濃い青で描かれ、カラーのページも雪の風景は青と白で彩色されています。この色合いがとても美しい。私は雪国出身なのですが、降り積もった雪はたしかにこんな色だったなあと思い出しました。なんというか、雪は光るんですね。とくに夜の雪は、ぼぉっと光を発します。この絵本の色彩は、その雪の光をよく表しているように感じました。
 ところで、この絵本は、もともと1979年に旺文社より刊行され、一時、絶版になっていたもの。復刊ドットコムで117票のリクエストを得票し、2003年にブッキングより復刊されました。
 巻末のスズキコージさんのあとがきも加筆されています。スズキさんは1979年の冬にヨーロッパを旅したそうで、そのときの印象がこの絵本のもとになっているとのこと。スズキさんによれば、その旅の「おみやげ」がまさにこの『クリスマスプレゼントン』。印象深いタイトルです。
 この絵本、おすすめです。
▼スズキコージ『クリスマスプレゼントン』ブッキング、2003年