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ジョン・バーニンガム『ショッピング・バスケット』

 今日は2冊。この絵本で描かれる動物たちと「スティーブン」の会話は、なかなか緊張感があります。なにせカツアゲをしようとする動物と「スティーブン」の対決ですから、当然ですね。子どもに読むときも、ついつい、なんとなくドスをきかせたような声と間合いになってしまいます。うちの子どもは別に恐くはないみたいですが(^^;)。
 それはともかく、気になるのが物語のラスト。家にたどりついた「スティーブン」にお母さんは「いったい、なにしてたんだい、スティーブン」「……いったい、なにをぐずぐずしてたんだい」。またもや訪れた危機を「スティーブン」はどう切り抜けたんだろう、もしかしてお母さんもやっつけてしまうのかなあと思ったのですが、うちの子ども曰く「動物たちのことを説明したんじゃないの」。あ、そうか、そうだよねえ。でも、めくりのリズムがどうもアタマに残っているので、何か起こりそうな気になってしまいます。
 うちの子どもは今回、ブタが引っかかってしまう柵に注目していました。ブタは「スティーブン」に会う以前にも柵を通り抜けようとして、だから、少しすきまが空いているんじゃないか、とのこと。うーむ、どうだろうね。
▼ジョン・バーニンガム/青山南 訳『ショッピング・バスケット』ほるぷ出版、1993年、[表紙デザイン:羽島一希]

ジョン・バーニンガム『ショッピング・バスケット』

 今日は2冊。お母さんにおつかいを頼まれた「スティーブン」、ところが途中でいろいろな動物たちが品物をよこせと言ってきます。それを切り抜けていく物語。どの動物もけっこう乱暴で、なんというか、まちなかでカツアゲをしているような描写。「スティーブン」の肩に手をおいて顔を近づけ、すごんでいます。うーむ、こういうのって私が中学生のときにもいたなあ。これに対し「スティーブン」はいつも沈着冷静、創意工夫で突破していきます。でも、結局は、買ったばかりの品物を一つずつなくしていくのですが……。
 基本的に見開き2ページで動物たちが「スティーブン」にすごんでいる場面が描かれ、めくった次の見開き2ページで「スティーブン」がそれをどう切り抜けたのかが描写されています。緊張と解放が交互に現れ、次はどうなるんだろうと楽しめます。最初の方のページには「スティーブン」が動物たちに出会う場所があかじめ描写されており、また一つずつなくなっていく品物もそのつど描かれていて、これもおもしろい作り。あ、カツアゲなんて書きましたが、絵はとてもユーモラスで、恐いということはないです。原書の刊行は1980年。
▼ジョン・バーニンガム/青山南 訳『ショッピング・バスケット』ほるぷ出版、1993年、[表紙デザイン:羽島一希]