今回も、うちの子どもは、サンタクロースの山に大受けしていました。巨人の顔で、内部が何かの基地みたいに描写されています。これは、うちの子どもにはたまらない魅力ですね。そういえば「プレゼントンおじさん」の村の家々も煙突が顔みたいになっています。
ところで、主人公の「メリー」が「プレゼントンおじさん」の村に行っている間、まったく外見が同じの「雪のメリー」が「メリー」の代わりに町で生活しています。「プレゼントンおじさん」曰く「メリー、ここに いたいだけ、ゆっくりしておいき」。
これは、なんというか、子どもの一つの願望を表しているかもしれないなと思いました。つまらない日常から抜け出て魔法と冒険に生きる、しかも自分の同じ姿形の分身が自分の身代わりになってくれる、誰にも帰りなさいと言われることなく楽しい毎日がすぎていく……。
それでも最後は町に戻ります。「プレゼントンおじさん」たちとも別れ、もう一人の自分である「雪のメリー」にもさよならを告げます。その心情が何か具体的に書かれているわけではありませんが、この別れの場面とそして「メリー」の手に残されたガラス玉の描写は非常に印象的。なんだろうな、考えすぎかもしれませんが、「子ども」の「メリー」にとってのクリスマスがこれで終わったのかもしれないと思いました。
▼スズキコージ『クリスマスプレゼントン』ブッキング、2003年