北海道の野生のアザラシを撮影した写真絵本。写真を撮られた寺沢さんが生活する天売島では、毎年、冬になると、ゴマフアザラシの群れが上陸するのだそうです。この絵本の前半は、天売島でのアザラシの様子が紹介されています。
そして後半は、知床半島の流氷の上での赤ちゃんアザラシ。ゴマフアザラシは2月から4月にかけて出産するのですが、天売島には赤ちゃんアザラシがいません。というのは、ゴマフアザラシは流氷の上でしか出産と子育てをせず、そのため、流氷の来ない天売島には赤ちゃんアザラシはいないそうです。北海道でゴマフアザラシが出産と子育てをするのは、流氷が流れ着く知床半島周辺の海に限られるとのこと。
このアザラシの写真、とてもかわいいです。遠くから群れを写した写真、泳いでいるときの海中写真、眠っているときの写真、クローズアップもあります。つぶらな瞳と表情ががなんとも愛らしい。
もちろん、野生のアザラシなので、撮影には苦労されているようです。写真に付けられた文章は、基本的に寺沢さんの視点から語られており、アザラシに近づいたときの出来事や知床で赤ちゃんアザラシを探したときのことを、自分も寺沢さんと一緒に撮影に参加しているような感覚で読んでいけます。
ところで、ゴマフアザラシは、冬に南下し、春になるとまた北に移動するそうです。そのルートを示した簡単な地図も付いていました。注記によると、千キロ近くも移動するため、その調査は難しく、移動のすべてが解明されているわけではないとのこと。そんなに長距離を移動するなんて、はじめて知りました。しかも、まだ分かっていないことが多い。すごいですね。
うちの子どもは、アザラシの写真をニコニコしながら見ていました。とくに裏表紙。横になったアザラシが顔を上げて振り返っている写真が載っているのですが、これが気に入ったらしく、自分でもまねをしています(^^;)。ごろんと腹ばいになって、顔を上に向けニコリ。うちの子ども、かわいいぞ!(親ばか^^;)。
▼寺沢孝毅 文・写真『アザラシに会いたい』「たくさんのふしぎ」2005年3月号(第240号)、福音館書店、2005年、[地図作成:ジェイ・マップ、レイアウト:三村淳]